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オタクと美少女はバンドでギャルゲーソングを知らしめたい?!  作者: 獅子尾ケイ
最終章!僕らのギャルゲーソングを紡ぐ物語が終わらない!ミニコンサート準備編
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第百三十三話「金本監修!芹沢さんのギターパワーは化け物か?! 」

 ミニコンサートで演奏をする曲の練習は、ここまでは問題も起きずにうまくいっている。

 

 僕がボーカルの特訓をやっていた間に、みんなは自分のパートを難なく弾けているくらいだ。その演奏のすごさに、僕はおどろかされている。


 ――ギュワワァァァン!


 その中でも芹沢さんの弾くギターのアレンジが、群を抜いてすごいと感じた。


 そもそも、バンドでやるこの曲にギターが入っているところは少ない。ほとんどがシンセサイザーのような電子音で構成されたものだ。


 それをうまい具合にギターでアレンジをさせているし、原曲のイメージを崩していない。


 ギターサウンドだけで、これがその曲だと理解できる。


「すごいなあ。まだそこまで日数は経っていないのに、ここまで弾けるなんて」


「まー、あたしらの中で一番たくさん練習をしていたのは芹ちゃんだからねー。やる気は誰よりもすごいもんよー」


「ですね。俺らのベースやドラムの構成を一部変えなきゃ、ついていけないレベルですよ」


「そうなのか? うーむ……ということは、僕もギターを少しアレンジを変えるべきか」


 瑠偉たちにそう言われるくらい、芹沢さんのギターは他のパートを食うほどのものになっていたことに僕はおどろく。


 どれくらいの練習量だったのだろうか。芹沢さんのミニコンサートに対する思いがそこまですごいというわけではないはず。


「ふふふふ! そこ答えは、ずばりこの金本様のおかげであろう!」


「うわぁ……出た。ここのところ、ほとんど部室に顔を出していますね」


「当たり前であろう! ミニコンサートで大成功となるまで、この金本様が最後まで見届けてやろうということだ」


「「すでに、大学の受験は諦めたのかー」」


「きええええい! 諦めなどおらんわい! 善意でバンドの強化をしてやるんだから、大感謝くらいせんかい」


 部室にいる金本が自慢げに話していると、僕と響子がそうどこか憐れむ目で答えた。けど、金本が言うように彼がいるといないではバンドの練習が大きく変わっているのも事実だ。


 曲の楽器パートをすべてどういった音で構成されているかや、その音の特徴を気持ち悪いくらい熟知している金本からのアドバイスは僕だけでなく瑠偉たちにも大いに役立ていた。


「うん。わたし……金本先輩からいろいろギターの弾き方を教えてもらえて、もっとみんなの演奏にうまく合わせられるようになりたいな」


 ――いやいや、芹沢さん。君はすでに僕らを追い越すくらいにまでなっているギターを弾けているよ。


 そう僕だけでなく、みんなも同じようなことを思っているだろう。


「けど、実際のところはやっぱり金本先輩が芹沢さんにギターをあそこまでレベルを引き上げたんですか?」


「いや……僕も芹沢さんはかわいいだけで、ギターはそこまでとは思っていなかったから、心を鬼にしてビシバシとやるつもりだったんだが……」


「やるつもりが?」


「僕が教えようとした時にはすでに完成されていたくらいで、教えるところがあまりないほどギターがうまくなっていたのだよ!」


 あの金本がギターに関してなにもすることがないのは珍しい。というよりも、そう言われることが僕にとっては衝撃的なことだ。


 芹沢さんは本当にどれくらいギターを弾き続けたのだろう。かなりの時間を費やさないと、そこまで至ることはないのに。


 もしくは芹沢さんの中でギターの才覚がさらに発現したとも思えてくる。


 それと同時に、僕のギターに焦りも感じてきた。僕は彼女のギターについていけるのだろうか。


「ということで、岩崎君。」


「……はい? なんでしょうか?」


「芹沢さんのギターを軸として、君のギターを大幅に修正しなければならない。貴様には、くたばるくらいにギターを弾いてもらうから覚悟をしてもらおうか!」


 金本はうっぷんを晴らすような言い方で、僕をにらみつけるようにそう口にした。ボーカルに続きギターの練習を見てもらうのだが、さらなる地獄の特訓になりそうだ。


 こうして、金本の指導によるギターレッスンやらを受けつつみんなと音を合わせる段階まできていた。


 数日が過ぎて、この日は初めてみんなと曲をひとまず演奏をしてみることとなった。


「よし、やってみるか……」


「「おー!」」


 ギターを構えてマイクスタンドに立つ僕はそう話すと、かけ声と共にみんなもそれぞれ楽器を構える。


 もちろん金本は椅子に座り、腕を組みながら僕らの演奏を聴くつもりでいるようだった。


「ふふふふ。それでは、君たちの演奏を聴かせてもらおうか」


「一応言っておきますけど、あくまで音合わせですからね? ミスとかあっても強烈なダメ出しとかはやめてください」


「はっはっは! わかっているわい。今日はなにも厳しいことを言わず、君たちの練習を確認するだけだわい」


「奇声を上げるのも……ダメですからね!」


「ええい! 何度も尋ねてくるんじゃあない! さっさと弾けーい」


 僕は念を押すように金本に言い、金本にそう言い返されみんなは気持ちを切り替えて弾く態勢を整え直した。


 ――ギュワワァァァン! ドンッ、ドン!


 曲のイントロ部分を弾き始めるのは、瑠奈のドラムと僕のギターからだ。その後に、ベースとサブのギターが入ってくるというアレンジでいく。


 瑠奈のドラムは一打一打としっかりたたかれ、リズムに乱れはない。僕のギターも、そのドラムの音に合わせて丁寧に弾いていく。


 イントロの途中に、瑠偉のベースラインと芹沢さんのギターが合流する形で入ってくれば曲の形が現れてくる。


「ふむ。まあ、イントロはこんな感じだろう」


 金本が僕らの代わりに、そう音を聴きながら口にする。もちろん、僕らもそれと同じことを思っている。


 最初の手ごたえを感じた僕らは、そのまま曲を弾き続けていった。

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