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オタクと美少女はバンドでギャルゲーソングを知らしめたい?!  作者: 獅子尾ケイ
再始動!新しいギャルゲーソングバンド編
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第一話「始まりはバンド解散の危機!グッバイ、金本たち」

 ギャルゲーソング。それは、隠れた名曲が揃うマイナーなジャンル。


 しかし、流行りのアイドル歌手が歌うよりも上手く、その辺のメジャーアーティストがやる曲なんか霞むくらいのクオリティがあったりする。


 美少女ゲームを嗜む人ならば、理解できるだろう。だがしかし、その特殊がゆえに世間では認知されず。ごく一部のマニアックなオタクしか聴かない音楽。


 ギャルゲーの存在を知らぬ一般人からは、あまり好まれない印象が強い。だが、そんなギャルゲーソングを世の中に広めようとする連中がいた。


「よおぉぉし! 今日も、さっそく弾こうではないかー!」


 目の前で叫ぶ男。金本(かねもと)は、ギターを持ち意気揚々としていた。


 僕、岩崎恭介(いわさききょうすけ)はそんな彼を見ながら、大きくため息をついた。


「金本先輩……ギャルゲーソングを弾くのは結構ですけど、勉強は大丈夫なんですか?」


「なにを言うか岩崎君! たとえ受験シーズンだろうが、僕はギャルゲーソングを弾かなければならない!」


 季節はすでに秋。


 金本を含む上級生たちは、進学や就職のために忙しい時期だ。


「いや……同好会だって、本来なら引退しているはずでしょう? なんで、いまだに部室に来てるんですか!」


 僕ら、音楽研究同好会はいろんな音楽を研究する活動をしている。名ばかりで本当の活動はギャルゲーソングなどをバンドで弾き、その良さを知らしめるのが目的だ。


 そんな活動をするメンバーは、金本の他に三人の上級生。僕ともう一人の同級生を加えた、六人の同好会員が在籍している。


 本来ならば、上級生は部室でクラブ活動をしてはいけないのだが、金本だけは毎日のように部室に入り浸っていた。


「ふっ、岩崎君。世の中にギャルゲーソングを広めるためならば、進学などクソくらえだよ」


「いや……進学したほうが将来的に良いに決まっているでしょう」


 そう僕が口にすると、金本は話を聞かずにギターを豪快に弾き始める。


 ーーギュイィィン! ジャカジャカ!


 ギターからは、これまた懐かしいギャルゲーソングのフレーズが鳴っていた。


「それって……かなり古いタイトルでしたよね? たしか、ツンデレヒロイン四天王の金髪ツインテールで」


「さすがは岩崎君! ギターだけで、この曲がなんのゲームかわかるだなんて、成長したなあ」


「……はあ、それをわかってしまう自分に複雑な気持ちですよ」


 同好会で演奏をする曲のほとんどがギャルゲーソング。いくつもの楽曲を弾いてきたから、頭がすでにインプットされている。


「さあさあ、君もギターを持ちたまえ! そして、弾きながら歌うのだ」


「いや……それよりも、同好会の会員募集をするポスターを作らないと」


 僕は机に置いてある紙を見ながら、金本に答える。


「ポスターなんぞ書くより、実際にギャルゲーソングを弾いて魅了させればよかろう?」


「……前にそれをしても、誰一人として部室に現れなかったでしょうが」


 新入生へ向けた部活紹介の時、僕らは新一年生の前でギャルゲーソングを演奏した。


 高い演奏レベル。軽音学部に負けないくらいの、ド派手なパフォーマンス。


 しかし、やはりギャルゲーソングなど知るものは存在しなく、その甘い歌詞に会場はドン引き。


 ただの変なオタクが、イキってバンドをやっていると、後に噂で聞いたくらいだった。


 そんな連中がいるおかしな同好会に興味がある生徒はおらず、いまだに入会希望者がいない。


「選曲は最高だったじゃないか! なぜ、新一年生は魅了されんのだ!」


「いや……ギャルゲーソングだからでしょうよ」


 やはり、まだギャルゲーソングなどを世に知らしめるには道が険しい。そう思いながらも、諦めずに募集のポスターを書いている。


「はあ、誰か新しく入ってくれないかなあ」


 結局、ポスターを大量生産して校内に貼り付けたが、部室の扉を叩く生徒は現れなかった。


 かつて、ギャルゲーソングを弾く同好会で活動していた僕らにとってそれは最大のピンチ。


 同好会解散が、頭をよぎった。

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