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草案  作者: 禄星命
第4章
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─第5話 対価の依頼─

そして迎えた翌朝。丸一日もてなしを受けた彼らは、夫妻へ自分たちにできる事はないか尋ねる。チルアは遠慮がちに首を横に振ったが、ヴァイドの強い意向により、一行はディエム村へと赴くことになった。

「お前ら全員これを装着しろ。⋯ここから先は、防具の有無が命取りになる」

「ありがとう」

ヴァイドから手渡された防具を、サフィラス達は顔に固定させる。そして、あらためて村へと目を向けた。

辿り着いた先に広がっていた光景は、実に野性味のあるものだった。屈強な男たちは皆一様に鶴嘴や縄を背負い込み、トロッコで鉱山内部へ駆け込んでいる。山からは白色のガスが噴出しており、時折地鳴りが起こる。麓には煉瓦で造られた建物が並んでいた。女性や老人、子供の姿は見えない。

「⋯ここが目的地、ディエム村だ。古くから鉱業が盛んでな、その質の良さは折り紙付きだ。俺も作品に使う金属の大半は、ここで揃えている」

「要となる宝石も、この地で採掘されたものなのかい?」

「そうだ。鉱山を一山丸ごと買い取った。当然所有権は俺にあるんだが⋯最近賊が出入りするようになってな」

サフィラスの問いに、ヴァイドは頷く。そして、チルアとリベラを留守番にさせたのはその為だと補足した。

「なるほど、つまり不届き者を捕らえればいいということか。ならば俺の出番だな」

拳を左手の平に当て、意気軒昂とアルディは名乗りを上げる。

「⋯そうだな、この面子だとお前が適役かもしれん。一番体格が良いからな」

肉体労働者で埋め尽くされたこの村では、アルディが最も周囲に溶け込める。サフィラスとヴィオラも同意した。

「無論だ。アーテル国騎士隊長の誇りにかけて、見事成敗してくれよう!」

「お話が盛り上がっているところ申し訳ございませんが。その前に賊の人数や手口、出没時間などを教えていただけないでしょうか」

すると、今まで口を噤んでいたフレイアが声を上げた。ヴァイドは歩きながらそれに答える。

「ああ、判っている範囲で伝えさせてもらう。⋯まず人数だが、確認がとれた奴だけで二十人。戦力は大した事ないだろうが、数で攻めてくる分厄介だ。⋯手口は現場に残された発破の跡をみる限り、火薬による短時間でのやり方。そして時間帯は深夜だ」

「ふむ、犯人を直接見たわけではないんだね」

「⋯普段は工房に篭っている。仕入れに来るのもひと月に一度。ピンポイントで遭遇するのはまず無理だ」

「では何故人数や犯行時刻が判るんだい?」

サフィラスは重ねて問い掛ける。

「見張りを雇っている。賊自体はそう珍しいものではないからな、一人二人湧いたときには対処してもらってるが⋯流石に一度に二十人はお手上げだ。無闇に反発して見張りを怪我させない為にも、奴らが現れた場合は監視だけさせている」

「そういう事だったのね⋯」

ヴィオラも相槌を打ちながら、ヴァイドの更なる語りを待つ。

「考えあぐねている時、偶然お前らがやって来た。腕に覚えもあり、性格も噂と違いまともな連中。⋯何より、チルアが心を許していたからな」

そうして心情と経緯を語っているうちに、人通りの少ない鉱山へと辿り着いた。ヴァイドは振り返ると、改めてサフィラス達に依頼する。

「⋯ここが俺の鉱山だ。今日から三日、見張りは出払っている。その間に賊を捕らえてほしい」

「私も協力します。彼一人では不安ですので」

フレイアは一歩前に出ると、自らも力を貸すと志願する。

「そうか、戦力は多い方が良い」

「なっ───」

「安心してください。足を引っ張るのは貴方ですから」

戸惑いを見せるアルディに、フレイアは冷たく言い放つ。その態度に彼は顔を顰め、不満を零しながら鉱山の内部へと潜って行った。

「⋯ヴィオラとサフィラスには別の指示がある。着いて来い」

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