─第2話 それは貴方の─
彼女の一声で、部屋の明かりが一斉に消えた。カーテンも音をたてて陽射しを遮断する。すると、作品達が淡い光を放ち始めた。
「キレイ...」
「見事なものだな」
警戒していたアルディでさえ、その色めきに心を奪われていた。海をそのまま切り取ったかのような指輪。雪のように白く美しい手袋。森と同化してしまいそうな深緑のコート。一つとして同じ色を放つものはなく、一行は時が経つのも忘れて堪能した。
「ふふふ、どうでしょうか?気に入ったものはありますか?どれでもお譲りしますよー!」
サフィラスは横目でリベラの様子を窺う。少女の瞳は、あるものに向けられていた。
「では、これをもらえるかな?」
「あっ───」
「“ウルライア”ですね!かしこまりました!」
ランプを点け、いそいそと店主の女性は硝子の箱から薄紫色に灯る銀のネックレスを取り出した。
「ありがとう。ではそれを、この子に着けてあげてくれないかな?」
「はーい!ではではお嬢さん、髪を持ち上げて〜」
「...えっ?あっ、はい!」
戸惑いながらもリベラは髪を軽く持ち上げる。女性は背後にまわると手際よく少女の腕の間からチェーンを通し、留め具を繋げた。
「はい、こちらをどうぞ!ご自身でも確認してみてください!」
手渡されたのは、仄暗い部屋でも姿が映る鏡。そこには、胸元に灯る宝石に頬を緩ませる少女がいた。
「似合っているよ」
「───ありがとう、サフィラス」
サフィラスも満足気に頷いた。
『あら、あらあらあら?』
『どうかしたのですか?』
小声で喜ばしげにはしゃぐヴィオラに、フレイアはそっと声をかける。
『んーん、何でもないわ!』
ヴィオラは微笑む。少女が無意識に選んだ宝石が、彼の瞳の色と同じだといういじらしさを噛み締めながら。




