─第7話 真相解明─
『...おかしい、もう“薬”が効いてもいい頃なのだけれど...』
「ふふふ、くすぐったいわぁ」
サフィラスは王の太腿に口づけをする。彼女の様子は、瓶の中身を飲む前と特に変わりはない。
「...ねえ?いつまで焦らすつもりかしらん?」
王は顔を顰め、身に付けている腕輪に触れる。すると、ベッドから勢いよく手錠が現れた。そしてそれは生物のようにうねり、瞬く間にサフィラスの両手を拘束する。
「なっ───」
「ふふっ。形勢逆転、ねぇ?」
「...こういう装置も備えてあるんだね」
「ええ。私、襲う方が好きなのよねぇん」
妖艶な笑みを浮かべると、王は自身の頭部につけていた銀の髪飾りを引き抜く。そして、それを振りかざし一気にサフィラスのシャツを切り裂いた。
「うふふ...!いいわ、いいわぁその表情...!もっと、もっと見せて...!」
何が起こったのか。理解が追いつかぬ彼をよそに、王は続け様にサフィラスの下衣を切り裂いていく。
「っ───」
「あらぁ、手が滑っちゃったわぁん」
スッ、と一筋の紅い線がサフィラスの太腿に浮かび上がった。息を荒くする彼女に、思わず身体が硬直する。
『まずい、このままでは───』
「───サフィラスちゃん!」
身の危険を感じたその刹那。扉を蹴り飛ばす音と、仲間の声が聞こえた。
「...もう、せっかく人が楽しんでるのに。何か用かしらぁ?」
王はその手を止め、声のする方へ目を向ける。
「サフィラスちゃんを助けに来たのよ。それと、アナタの“裏の顔”を暴きにね」
「...何のことかしらぁ?」
「とぼけても無駄だ。証拠は既に押さえてある」
そう言うと、アルディは手に持っていた透明な袋を突き出す。中には小瓶とフラスコがひとつずつ入っていた。それを見た王は、声を震わせながら魂胆を問う。
「どうして“それ”を貴方が───」
「坊主に詰問させてもらった。───貴様、“ホムンクルス”を創ろうとしていたな?」
「...」
黙り込む王に、二人は追い討ちをかける。
「およそ十年前、何故か少年だけが忽然と姿を消す事件があったわ。通称“神隠し事件”ね。それは何百人がほぼ同時期に各地から行方不明になった大きなものだったのに、未だに未解決のままなのよ」
「坊主達の外見を見るに、恐らく皆二十代だろうな。若者しかいない不自然さにも説明がつく」
「そうそう、あの部屋には蒸留器も置いてあったわね。アタシ、色んな本を読んでたから知ってるんだけど。ハーブとか保温器とかも揃えてあったし、絵に描いたようなホムンクルスを創る環境だったわ」
「...私も詰めが甘いわねぇ」
王は溜息をつく。そして、目を伏せて頷いた。
「───そうよん。あの事件は私が首謀者よぉ」




