表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
草案  作者: 禄星命
第3章
26/49

─第6話 少女の血─

百合の描かれた、汚れ一つない純白の扉をフレイアは勢いよく蹴り飛ばす。その先には、全身真っ赤な衣服に身を包んだ中年の男がいた。

「な、なに事ざんす!?」

「布と鎮痛薬はどこにある!」

ぐったりとした少女と、それを抱える女。それを見た男は、胸元から鍵を取り出した。

「...ふむふむ、状況が把握できたざんすよ。ここにあるざんす。好きなだけ使うがいいざんすよ」

「助かる!」

男は鍵を棚に差し込む。すると、中から大量の布や薬草が現れた。早速その一部を手に取り、フレイアはリベラのもとへ駆け寄る。

「う、うう...」

「リベラさん、これを。あとはワンピースを少し捲らせてもらいます」

男に見えないよう配慮をしつつ、迅速に清潔な布をあてがう。そして、薬草をリベラの口に含ませた。

「...よし、これでひとまずは大丈夫でしょう。王よ、礼を言います」

「困った時はお互いさまざんす。ささ、早くお嬢さんをそこの暖かいベッドに寝かせてあげるざんす」

フレイアは頷くと、そっとリベラを持ち上げベッドに寝かせる。すると、男は次いで質問を投げかけてきた。

「───して、お嬢さん方。ボクちんに何か用があるらしいざんすね?兵からは既に聞いてるざんすよ」

「はい、実は───」

フレイアはここに来た理由を説明する。すると、男は手紙に書かれていた通りだと頷いた。

「なるほどなるほど。お易い御用ざんす。きちんと“交渉材料”も持ってきてくれてることだし、すぐにでも同盟を結ぶざんすよ」

「...?交渉材料と呼べる物は今手元にありませんが...」

「いやいや、何を言ってるざんす?もう“そこ”にあるざんしょ?」

「っ───!?」

男が指を指した方向。それは、リベラの眠るベッドだった。そしてようやくフレイアは思い出す。先程のおぞましい部屋と、ニーエ達とのやり取りを。

「貴様!あの子に何をするつもりだ!!」

「危害は加えないざんす。ただ───」

両手を合わせ、満面の笑みで男は言い放った。

「お嬢さんから“紅月の血”を貰うだけざんす」

「なっ───」

ニコニコと目を細める男に、フレイアは激昂する。

「ふざけるな!あの子に触れてみろ、この手で貴様を殺すぞ!」

「そんなことしていいざんす?不利になるのはお嬢さん方ざんすよ?」

「くっ...」

男はフレイアにゆっくりと歩み寄る。

「考えてもごらんなさい。あのお嬢さんの血で、お嬢さん方の望みは果たされるのざんすよ?ボクちんは、自然に流れ出たものを得る。お嬢さん方は、我が国の後ろ盾が得られる。まさにwin-winざんす!」

「だが───」

「ボクちんを殺しても、トツの王の承認が得られれば...。とかは考えても無駄ざんすよ?オウとトツは二人で一人の王。片方だけの意思で国の印は押せないざんす」

男はくるくると指で髭を触る。

「っ...」

「フレイア。私は、大丈夫だよ」

すると、リベラが起き上がった。浅い息をする彼女に、フレイアは眉を下げる。

「ですが───」

「王様。私の血、あげるね。...けど、約束は守ってね」

少女はその身を差し出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ