表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
草案  作者: 禄星命
第1章
2/49

─第2話 決意─

“───しい──しい子よ───”

...声が、聞こえる。

“───ふふっ、よく寝てるわ───”

優しい、鈴の音のような声。柔らかく、温かな手。淡雪の如く美しい髪。...顔が思い出せない。誰だっただろうか、この人は。

“───この命を犠牲にしてでも、私は───”

紫色の瞳。...そうだ、思い出した。この人は私の。

“───やめて!この子には手を出さないで!ああ...!だめ、逃げて───”

私の、償うべき過去。

“───ごめんね。でも大丈夫よ。石になっても、あなたを守るから。...だから───”

何年前のことだろうか。母親を、この手で殺めてしまったのは。あの頃の自分は、まだ幼く。大人達に逆らうことなんて、できなかった。言いなりになるしかなかったのだ。───後悔、悲しみ、憎み。負の感情に支配された私は、その日から使えるようになっていた術で、檻から逃げた。...私をいいように利用した、全ての人間を殺してから。

「...私は」

人間が嫌いだ。...嫌いだった。けれど、今はその思いが揺らいでいる。

「...リベラを、助けるべきなのだろうか」

最初は、同情から始まるものだった。己の境遇と重ね、つい手をとってしまった。しかし、今日に至るまで寝食を共にしたためだろうか。気がつけば、親愛の情がわいていた。ヴィオラに対してもそうだ。利点が無いのにもかかわらず、親身になって接してくれている。

「...私は、今度こそ彼女達に真実を告げよう。信頼しよう。そのためにも...、助けるんだ」

───たとえ、この命を削る行為だとしても。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ