─第8話 作戦─
「ん...」
目を覚ますと、ベッドの上だった。先程の王の寝室ではないところから推測するに、来客用の部屋といったところだろう。壁に掛けられた時計の針は、既に夕刻を指していた。
「...おや」
ふと視線を右側に移すと、椅子にもたれかかって寝ているリベラの姿があった。私が意識を失っている間、ずっと看病してくれていたのだろうか。手からタオルが落ちそうになっている。
「...まだこんなにも幼いというのに、弱音一つ吐くことをしない。リベラ、キミはもう少し年相応に振舞ってもいいんだよ」
そっと亜麻色の髪を撫でる。すると、紅色の瞳がこちらを捉えた。
「サフィラス...?」
「ああ、起こしてしまったかい?」
「ううん、大丈夫。それより、サフィラスは平気?」
「うん。リベラが看病してくれたおかげで、もうだいぶ良くなったよ」
眠そうに目をこする彼女に、自然と笑みがこぼれる。その様子を見たリベラは、安心したと微笑んだ。
「ふふっ、よかった。私、みんなを呼んでくるね」
「いや、私から向かおう。案内してくれるかな?」
立ち上がった彼女を制止し、サフィラスはベッドから降りる。
「はーい!あ、そうそうこれ。寝てる時はいいかなって、取っちゃった」
「うん。ありがとう」
リベラに手渡された帽子を深く被り直し、二人はその場を後にした。
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広間には仲間達と王、それに王妃がいた。目線が合うや否や、玉座を離れ王妃が駆け寄ってくる。
「ああ、サフィラスさま...!お会いできて嬉しいですわ。この度は、夫を助けて下さりありがとうございます」
ドレスの裾を開いて、深々と頭を下げる彼女は涙ぐんでいた。
「礼には及ばないよ。私もここには用があって来たからね」
その取引の前報酬さ、と彼は答える。それを聞いた王妃は思い出しましたと手を打った。
「その件ですが、お仲間さんから聞かせてもらいましたわ。ルベールへの対策ですよね?」
「そうなんだ。可能なら早急に案が欲しいのだけれども、どのくらいかかりそうかな?」
「心配には及びませんわ。既に用意してありますから、どうぞこちらに」
そう言うと、王妃は王に目配せをした。すると広間の床下から、巨大なテーブルと椅子が現れた。
「これはすごい。こんな仕掛けがあるなんてね」
「ふふっ、大したことありません。ただの機械仕掛けですわ」
照れくさそうに王妃ははにかむと、振り返ってリベラ達と王を手招く。そして全員の着席を確認すると、早速作戦を語り始めた。




