─第6話 古代種─
「無理ですね」
「なんですって!?」
兵士のあまりの一蹴っぷりに、思わずヴィオラは愕然とする。
「手紙があってもかい?」
「はい、国王は闘病中ですから」
「ふむ。回復の見込みはあるのか?」
一方で、サフィラスとアルディは冷静に尋ねる。
「それが、国中の医者が手を尽くしたものの一向に快方に向かうことはなく...」
「具体的な症状を聞かせてくれないかい?」
「はい、信じてもらえるか分かりませんが。...身体が徐々に木になっていくのです」
ハッと、リベラはサフィラスと顔を見合わせる。
「えっ、それって───」
「うん。ウペルで聞いた病と同じだね」
「サフィラス様はご存知なのですか?」
「そうだね。一応、治療法も知っているよ」
「本当ですか!?」
やり取りを聞いていた兵士は、その言葉に歓喜の声を上げる。
「ただ、そのためにはある植物が必要でね。この辺りに生えているといいのだけれど」
サフィラスはバッグに入れていた紙を取り出し、さらさらと筆を走らせる。それを受け取った兵士は、嬉々として城内へと駆け出した。
「ありがとうございます!早速植物に詳しい学者に調査に当たらせます!」
「では、私達は出直すことにしよう」
手を振る兵士を見送り、サフィラス達は一度城下町に引き返すことにした。
──────────
「国王がまさか病気だったなんて...。城下町が活発だったから分からなかったわ」
「それはそうだ。民の不安を煽るようでは、王は務まらないからな」
喫茶店の窓から見える景色。そこには、ボールを持ってはしゃぐ子供達や食料を品定めしている女性の姿といった、平穏な日々が写っていた。
「サフィラス様は、病の治療法についてご存知だったのですね。医者ですら解明出来なかったというのに」
流石旦那様、と尊敬の眼差しをフレイアは向ける。
「そういえば、サフィラスはなんであの時“あの花が薬草だ”って分かったの?」
リベラは、ふと疑問に思ったことを投げかける。その問いにサフィラスは一瞬目を泳がせる。しかし、瞬きを一つすると普段の調子で答えを口にした。
「そうだね。私の持つ術で調べたのさ」
「ふむ。よく分からんが、貴様は万能なのだな」
「───こちらにいらっしゃいましたか!」
すると、個室のドアが勢いよく開いた。先程城門で出会った兵士だ。彼は乱れる息を必死に整えようと、膝に手をついて呼吸をしている。
「あら?アナタはさっきの兵士さんじゃない」
「何かあったのかい?」
そのただならぬ様子に、サフィラス達は彼の答えを待つ。
「それが、先程教えていただいた植物なのですが...。あれは古代種でした」
「えっ、それって───」
ヴィオラとアルディの表情が曇る。
「...はい。該当の植物は絶滅しているため、手詰まりとなってしまいました」
「サフィラス。貴様はこの事実は知らなかったのか?」
詰め寄るアルディに、サフィラスは頷く。
「...こうなったら仕方がない、か。私を王の元へ案内してくれないかい?」




