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草案  作者: 禄星命
第2章
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─第1話 普通とは─

「ん...」

「おはよう、リベラちゃん。具合はどうかしら?」

船内に戻って暫く経った後、ベッドに寝かされていたリベラが目を覚ました。

「あれ?ここは...」

「そう、船の中よ。アタシたち、あの後ちょっと色々あって戻ってきたの」

ヴィオラは水の入ったコップを、起き上がったリベラに手渡す。

「何があったの?」

「...それは」

「村人達に、犠牲者が出たことを咎められてね。簡潔に言うと、あの場には居られなくなったのさ」

言い淀むヴィオラの代わりに、青年が説明する。

「そんな...!サフィラスは何も悪くないのに!」

「いいんだ。あの村で術を使った際に、私の姿も見られてしまったからね。いずれにせよ、同じ結末だったよ」

「...サフィラスは、それでいいの?今までずっと、どこに行ってもひどいことを言われて。これからも、そうやって耐えるの?」

淡々と答える青年に、リベラは声を震わせる。

「そうさ。私が“普通ではない”限り、避けられないものだからね」

「...普通って、なんなんだろ」

「そうだね、定義は曖昧かもしれないけれど。平たく言うならば、ありふれた平凡なものかな。これといって特徴がなく───」

「違う、私が言いたいのは!どうして見た目が違うだけで、こんなに苦しまなきゃいけないの?なんで、悪いことしてないのにみんなに嫌われなきゃならないの?」

「...」

沈黙する青年に、リベラは泣きながら訴える。

「サフィラスは優しくて、良い人なのに!なのに...!こんなの、あんまりだよ!」

「リベラ」

青年は中腰になり、リベラと目線を合わせる。

「私のために怒ってくれているんだね。...けれど、負の感情に支配されてはいけないよ。大丈夫、安心して。どのくらい時間がかかるかは分からないけれど、いつかきっと、私の存在を認めてくれる人は現れるさ」

「...本当に?」

「うん。あの村の店主だって、私の容姿に嫌悪することなく接してくれた。それに今は、リベラとヴィオラがいる。今まで孤独だった私にとって、充分過ぎるくらいの幸運さ」

「サフィラス...」

青年は懐からハンカチを取り出し、リベラの目元にそっとあてがう。

「さあ、涙を拭いて。気持ちを切り替えて、エレウスに向かおう」

「そうよ、リベラちゃん!気分転換に、エレウスに着いたら美味しいパンケーキでも食べに行きましょ!」

「───うん!」

『...ホント、“普通”ってなんなのかしらね』

いつもの明るさを取り戻したリベラに喜びながらも、ヴィオラは複雑な心境になった。

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