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ランorデス  作者: 二ノ瀬 敦
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バスの中そして始まり

 五月のゴールデンウィーク初日。

 俺はまだ日が昇ってからすぐの時間から、学校に向かっていた。

 今日からサッカー部の合宿である。

 俺の入っているサッカー部は、県大会で準々決勝行くか行かないかレベルである。

 まぁ強くもなく弱くもないといったところだろう。

 だから強くなるために合宿に行くのだが、行き先がどうやら金をかけたくないとかで、山の中になったのだ。

 本当にサッカーをそんなところでできるのか?

 にしても、何でこんな時間から外を歩かないといけないんだよ。


「おぉー、早いじゃないか。やる気入っているな。」


 そんなことを車に乗っている顧問に言われ、まだ集合時間より10分早い時間を指している時計を見て、ため息をついた。

 

  さぁ長い1日の始まりだ。



「あー暇だ暇だ、何もすることがない。あーあー耐えきれねぇーよ。」


 と隣の奴が小学生かのように、文句を言っている。

 何だこいつ、本当に高校一年か?こんな奴がバイトしたら、そのバイト先間違えなく終わるよ。


「なぁー春樹よー。暇すぎて死にそうだよー。」


 そんなことで死ぬなら、さっさと死んでしまえ。


「なぁー春樹ー。暇だから、あっち向いてホイしよう。」

「嫌だ。」


 何なんだこいつは?そんなに小学生みたいなことをしたいなら、小学生でも連れてきてあっち向いてホイでもしとけよ。俺にそんな小学生らしいことに、付き合わそうとするな。

 そんなことで、精神年齢が低い隣のやつを無視しながら、窓の風景を見ることにした。

 外は、なんかでそうなくらいの森林と、時々小さな農村が見え、田や畑があるくらいだった。

 本当にこんなところにサッカーができるところなんかあるのだろうか?


「じゃあさー。春樹て好きな人いるのー?」


 次は中学生レベルか。いや恋愛は全年齢対象か。まぁ、どうせこいつのことなんか無視しとけばいいだけだ。


「あっれー。黙っているてことは春樹さん好きな人いるのー。」


 あー、うっとしい。なんなんだ、そのうっとしいニヤニヤ顔や喋り方などお前の全て。


「いねーよ。そんなの。」


 俺はそういい、水筒のお茶を飲む。


「 いやいや、嘘は駄目だよ春樹ー。俺は知ってるんだぞ。春樹が我らのアイドル明ちゃんを倉庫で押し倒したこ…。」

「『プシュー』」


 俺は飲んでいたお茶を見事に吹いた。


 えっ、なんで知ってんのこいつ?まさか、覗き……。ていうかそんな場合じゃねー。


「いやいや、待て待て。そう、あれは不可効力だったんだ。わざとじゃないんだ。倉庫で掃除していたら、上にあったバスケットボールが複数俺の頭に落ちてきて、その反動で倒れた時に一緒に掃除していた西園を結果的に押し倒しただけだよ。」

「いや、結果的に押し倒してるじゃん。」

「だがわざとではない。俺は断じてそういう意味で押し倒したのではない。」

「すぐどかなかったのは?」

「……。」


 なんなんだこいつは。俺が西園を押し倒したことがそんなに駄目だったか。いや、完璧駄目だけどさ。


「よかったね春樹好きな人を押し倒せて。しかも結構長い間至近距離で入れて。」

「べっ、別にあんな奴好きでもなんでもないから。」

「出たー、春樹のツンデレー。もうちょい素直になれよ。」

「殴るぞ、お前。」


 駄目だ、俺。このままではただのツンデレ主人公みたいなやつじゃないか。

 なんなんだ本当にこいつは。どうしてこんなにうざいんだよ。


「なら、お前はどうなんだよ。好きな人いるのか?」


 そう聞きまた俺はお茶を飲む。


「ああ。ていうか俺リア充だよ!!」

「『プシュー』」


 また俺はお茶を吹いた。

 なんで俺はこんなにお茶を吹くんだ。


「really?」

「汚…。後なんで英語?」

「あっ、ごめん。で本当なの?」

「ああ、そうだけど。」


 なぜこいつがモテる!?

 こいつなんか、頭お花畑の精神年齢が実年齢より低い少年じゃねーか。


「やはり今時の若い子はわからん。」

「えっ。お前バリバリ高校生だぞ。」


 あっ、声に出てた。にしてもいうことが子供だよな。

 まぁ、子供だけど。いや待てよバイトできるし、している人はしているしな。


「俺は子供なのかー」

「知るか。」


 また声に出てた…。



 あれから15分くらいたった。

 隣のやつは諦めたのか寝ていた。

 ていうか初めから寝ろよ。

 にしてもほんと外はど田舎だなー。合宿先が、もうちょっと開けたところであることを俺は願う。


『休憩場所に近づいてきました。皆さんは周りの人を起こしてください。』


 はぁーやっと半分か。後半分乗り切るぞ。

 とりあえず、こいつ起こすか。


「おい、リア充起きろ。起きないと殴るぞ。」

「それ今まで寝ていた人に言うこと?もっと優しく『そろそろ起きないと駄目だよ(笑顔)』といった感じで起こしてよ。」

「お前きもいな。ホモなのかお前?」

「冗談に決まっているだろ。それより前の人たちは起こさなくていいのかな〜春樹くん〜。」


 そう言いながらにやにやしているよリア充野郎を無視し、前のやつが誰だっか考える。

 うーん……。て、あれ前の人たちやばくね。


「前の人だから誰が起こしてくれるよな。」

「チャンスなのになー。」


 くそっ、そうなんだよ。ある意味チャンスなんだけど、ある意味地獄なんですよ。

 だって、前の人マエージャー2人=西園がいるなのである。

 なんなんだこの強制バスイベントは。

 俺はどうするべきなのだろうか…。

 まぁ考えるだけ無駄か。よしいくぞ。

 俺はビクビクしながら立ち上がり、少しずつ前の席へと足を運ぶ。

 とりあえずこのことで何としてもしなくてはいけないのは……


  西園からの好感度下がる!!!


 である。よし九重春樹、サッカー部、童貞、少しコミ症。ここで下がってたら悔いが残るぞ。

 起こすことを決心し、頰叩く。

 よし、行くぞ。


「早よ起こせよ。」

「だっ、黙れ。せっかく決心したのにお前のせいでまた気が緩んだじゃないか。」

「へいへい。」


 ほんとなんなんだこいつは。そんなに俺をイライラさせたいのか?

 とりあえず後でこいつは殴るとして。今は西園だ。

 ゆっくりと前の席へ進むと、そこには白雪姫が……に見えるくらい可愛いマネージャー達がいた。

 やばい、この光景を写真に撮って部屋に飾りたい。

 駄目だ、駄目だ。これではただの変態ではないか。

 にしてもどうやって起こせばいいのだろ……。

 次の瞬間、久しぶりの信号にバスが捕まり、その振動で前に倒れる。


「うわー。」

「うんー…えっ…。」


「痛ってー。あっ、大丈夫か西ぞ……。」


  俺は西園の上にのしかかっていて、そして自分の手には柔らかい感触があった。

  あっ、ヤバい俺でも未来見えた。


「キャーーー。」


涙目の西園はそう叫んだ。ですよね、そうなりますよね。

で、俺はというとまだ、両手に柔らかいものを挟み(少し揉んでいる)、足で体をどうにか支えていた。

寝起きだからか抵抗がそこまで強くない。あっ、西園の髪いい匂い。


「変態、スケベ、クズ、ハゲ、コミ症、春樹のおたんこなすー。とりあえず手をどけろー。そして死ね。」

「いやいや、何個か関係なくねー。しかも俺坊主でもねーし。」

「ほら、すぐ謝らない。」

「あっ、ごめ…すいませんでした。」

「言われて、謝るんじゃ遅いの。」

「どう春樹、好きな人の二度目の押し倒しは?」

「最こ…じゃなくて、なんなんだよお前は、黙れ。」

「ハァウッ、ちょっと、春樹、そこ触らないで。」

「あっ、ごめん。」


そう言い俺はいつ間にかまた触っていた(わざとじゃないよ)柔らかいものから手を離した。

あれはDくらいあるのではないか。しかも今の声ちょっと興奮した。

後で自分を殴ろう。


「ラブラブだね〜。お二人さん。」

『お前は黙っとけ。』

「仲良いね。」


そう言われ俺は黙り込む。

あれ、西園顔が赤い…ってあんなことが起きて赤面しない人なんていませんよね。

別に期待なんかしてなかったからね。ほんとだよ。


「で、いいのお二人さん?」

『何が?』

「ここ、バスだよ。」

『……………。』


あっ、すっかり忘れてた。

冷静になってみると、横に座っている五十嵐先輩はニヤニヤしながら俺たちのことを見ていた。

変なこと考えていないよな。

そして周りは、『リア充死ね』や『爆発しろ』などの意味を込めた目で見ている。

やめてくれ、そんな目で西園を見るな。西園は何も悪くない、悪いのは俺なんだ。

そう、全て俺のせいである。


あっ、終わったな俺。これで完璧西園からの好感度が下がったな。

よし、死のう。いっそ死のう。




謎のイベント?から約1時間。

さっきより外はど田舎だった。

もはや、農村さえも見えなかった。

うわ、今の祠絶対苔が生えてた。ここら辺人住んでないんじゃねないのか。

そんな風景に見飽きたのか、周りの奴らは全員寝ていた。

リア充野郎もよだれ垂らして寝ていた。

くどいかもしれないけど、本当にこんなところにサッカーができる場所なんてあるのだろうか?

崖の下が見えないくらい高いしここ。

あれ、気のせいかなんか少し臭いような。

まぁ、誰かが屁でもこいたの…

『キイィィィー』という音が鳴り響きバスは急に不安定な動きをし始めた。

何かあったと思い、運転席の方に行くすると運転席では、倒れ込んでいる運転手がいた。


「えっ…。」


そんな言葉が口からこぼれた。

死んで…いや、息はしているから気絶か、寝ているのだろう。

いやいや、そんなことより、今は……


遅かった。


前を見る頃にはもうバスは空中にいた。

ていうか先生や他のみんなはなぜ…『風景に見飽きたのか、周りの奴らは全員寝ていた。』。

よく考えたら、普通何人か起きているよな。


「そうだ、西園だ。おい、西園起きろ、起き…。(グサッ)。」


熱い。熱い熱い熱い熱い熱い…


「グハァッ。」


そんな音とともに俺は何かを吐いた。

何が起きたのか理解していないまま、熱いと感じる場所に視線を落とす。


「えっ、ナ……オエッ。」


胃のある場所くらいにそれは刺さっていた。

そして、ぼんやりとてきた視線には、大量の血が血だまりを作っていた。

どうやら痛いのを熱いと感じとっていたようだった。


ナイフで刺された?なぜ?なんで?いや、そんなことより止血を…


「ブシャー。」


ナイフを取ると大量の血が出てきた。

そうだった。

刺されたら、抜いたらダメだったんだった。

クソ、痛えよ。

とりあえず…西園でも……クソッ、体が思う様に動かない…。

遠くなって行く意識。見えなくなった目。動かない口。

俺はこんなところで死んでしまうのか。

ハァー俺の人生短かったな。結婚とかしたかったな。


『春樹……。ゴメンネ……。』


あれ、なんだったけこの言葉。

とても大切で、何か、悲しいことだった気が……。

まぁどうせ死ぬんだしどうでもいいか。


そして、春樹はバスが地面に落ちる衝撃と痛さで意識を失ったのであった。


「九重春樹…、お前は一体何者なんだ。」


とバスの中で響いた最後の声は、春樹には聞こえていなかった。




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