「覚えててね。」
それから僕の、シュウイッカイのタビがはじまった。
はんぶんは、パパがオシゴトで行けなくて、
ママがうんてんして、僕はじょしゅせき、ってとこにいた。
きゃりーのなかだけど。
僕はせんせいのチリョウが終わると、必ずハナのあたりから、
たらーってなにかが垂れてくるようになった。
それを見て、パパもママも、見るたびにふいてくれてた。
「まあ膿が出てるようなモンなのかな。」
あいかわらずダルイのも続いてた。
それなのに、シュウイッカイのタビは続いてる。
「さて、行ってくるねー!」
「はーい、気をつけろよー。」
パパが行けないときは、そうやって、ママとふたりでおでかけする。
お出かけする先が、楽しいところだったらいいのに。
そして、これも相変わらず、セドにはしゃーーー!ってされる。
「行こうか、リオ。」
ママが笑って、僕のきゃりーを入れるフクロをちょっとあけてくれて、
僕がいつでもママの顔を見られるようにしてくれる、いつも。
まるで大丈夫だからね、って言ってるみたいに。
うんてんしてる間にも、オンガクをカケテくれて、
僕を楽しくさせてくれるみたい。
あとはね、とちゅうでとまると、何かしら話しかけてくれる。
「リオー!」
「ヤだねぇー」
「ツラいよねぇー」
「お前はどうしたい?」
「このままつかなかったらいいねぇー」
僕はすかさずお返事してる。
それでもやっぱり、びょういんにはついちゃって。
シュウイッカイの、ママのよろしくお願いします、と。
シュウイッカイの、せんせいのお預かりしますと。
シュウイッカイの、マスイチュウシャで、
僕はイヤでも眠りに落ちる。
そして毎回、目を覚まして、ぼんやりした中で、
きゃりーのなかから、よく見えるママのにっこりしたかお。
うけつけのひとに呼ばれて、ママがナニカヤッテル。
「すいません、カードでお願いします。」
僕はぼんやりが続いたまま、ママがきゃりーごと、よいしょ、
って言いながら、よろよろとしたあしどりで、クルマにもどる。
ゴメンね、ママ。
僕、重いよね。
コメブクロフタツブン、だからね。
「さーて、帰ろう、リオ。」
にこにこ。
ママのかお。
また、来るときと同じみたいに、クルマに乗って、イエに帰る。
ただいまーってママが言ってから、きゃりーをあけると、
僕はイチモクサンに出るんだ。
そして、またまったりとしたまいにちが続く。
シュウイッカイのタビの日のほかは。
僕はね、ママのひざとか、ママのそばがだいすきなの。
いくらワルイコトして、こらー!ってシカラレテも、
やっぱりママだいすきなの。
ママがユカにぺたん、ってスワルと、いそいそと乗っちゃうんだ。
ここは僕の、僕だけのバショだから!
ムイシキにのどがごろごろぐるぐるしたって、
それもしようがないことなんだ、
だって僕はママがだいすきだから!
そしたらママはね、しようがないなぁ、なんていっときながら、
パパにこういわれてる。
「リオはママが大好きなんだなぁ。」
「ママもリオが大好きなんだなぁ。」
だから、ふとした時には、ママのことじっとみてるの。
ママはそのたび、にこにこしてくれるから。
でも、僕がチリョウをはじめてから、ママがフシギなことを言い出した。
「リオ。」
僕の目をじっとみて。
「覚えててね。」
って。
「覚えといてね。」
って。
それは、ジュモンみたいなヒビキの、新しいコトバ。
イミはわからないけれど。
そのコトバのヒビキと、ママのかおが、僕の中で重なった。
初めまして、読んでくださってありがとうございます。
好意的なご意見も、否定的なご意見も持たれやすいですが、
それでも読んだぜえええええ!!!とひとこと、お願いいたします。




