プロローグ
****プロローグ****
高倉健一は、いわゆるニートだ。
決して働かず、3度の飯よりもネトゲに明け暮れる日々。
けれども一応、その生活に疑問は持っていた。
「俺、いつまでこんな生活してるんだろう……」
そろそろ祖父母も長くはない。いつまでも頼っているわけにはいかないのだ。
「アルバイトくらいは考えてみるか―― けどなぁ。働きたくないんだよな」
「きっとこんな時、トラックにでも轢かれれば異世界に…… いや、ないない」
俺が異世界に行くだと?? そんなベタな展開、何も面白くないじゃんか!!
もっと刺激がほしいよなぁ。そう、自分が自分じゃなくなるみたいな、そんな刺激が。
そんなときだった。アイツが来たのは。
「高倉健一さん、で合ってますよね?」
「そうですが……って、え゛?」
夜、コンビニに週刊雑誌を買いに行く途中、不意に呼び止められたと思ったら、そこに立っていたのは自分にそっくりな青年だった。
「ボク、ケンイチといいます。違う世界から来ました」
「は? ケンイチ? 異世界から来た? 何が言いたいんだ、馬鹿馬鹿しい」
「まぁそうでしょうね。で、健一さん、頼みがあります。この世界を、ボクと一緒に救いましょう」
「…………」
目眩がした。ヤバい。コイツはヤバいやつだ!
いや、でも待て。なぜコイツは俺の名前を知っている? なぜここにいるとわかった?
考え出すと、ますます謎は深まる。
「わけがわからん……」
このときは、誰も知らなかった。二人の出会いが、世界を変えてしまうなんて――――