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隣のイケメン君  作者:
5/13

帰り道と彼

今日はどっと疲れた気がする。

それもこれも隣のイケメンに振り回されたおかげだ。やっと帰れる、そう思っていたのだが…




「あの、」


はー…今日確かあの漫画の発売日だったか。本屋寄ってこ。


「ねぇ、」


てか喉乾いたからジュースでも買おうかな…あ、でも今月お小遣いちょい節約したいから我慢するかな…


「ちょっと、た、竹本!」


「へ」




名前を呼ばれた方に向き直ると…本日俺を悩ませたイケメン、梅田様の麗しいお顔がありましたとさ。


いつもならば隼人と一緒に即行で帰るのだが、今日は先生からの呼び出しがあるとかなんとかで、先に帰ってて、と言われたのだ。


それにしても梅田が俺に何の用なのだろうか。疑問に思ってじっと凝視していると、目を逸らされた。



「あの、俺、梅田に何かしちゃった?」

「いやいやいや、全然、なにもしてない!」

「そう、それなら…いいけど、」



何かしたから俺は梅田にこうやって話しかけられているのではないのだろうか。じゃなきゃ、今までただのクラスメイトだったのに話しかけられやしないはずだ。


用がないなら帰っていいかな…かばんを引っ掛けて俺は帰宅しようとした。


「ま、待って!」

「え」


なぜか梅田は焦って俺をまたもや引き留めた。いったい、なんなんだ。イケメンの考えることはわからない。


「あの、一緒に、帰らない?」

「は?」



ほらな、イケメンの考えることはわからないって言っただろ。









勘弁してくれと言いたい。

かれこれ数分、無言が続いている。

ちらり、隣を見れば、教室でもないのに綺麗な横顔が覗いた。

はぁ…どうしてこんなことに。

俺はまた、溜め息を吐いた。






「一緒に帰らない?」



そう言われて、俺は正直困惑しかしなかった。

だって…想像できるか?今日初めて話したのに。というか、話した、と言っても二言くらいで…事務的な話くらいなのに。

それが一緒に帰ろう、だなんて、ハードルが高すぎる。

ハイスペックイケメンな梅田には、帰ろうぜ!って言うのは気軽に言えるんだろうけど。コミュニケーション能力が人並みな俺には厳しいんだぞ!


「いいけど…」


しかし、目の前のイケメンの迫力には勝てず、俺はしぶしぶ承諾したのだった。

だが…

いやいや…この空気どうにかならないのかよ。

耐えられないよ…まじ助けてください。



「あのさ、竹本…」

「ん?!なに?」


やばい。

空気をどうにかしてとは願ったけど。急だとちょっと対応に困ってしまった。ごめん梅田。


「竹本は、俺のこと、どう思う?」

「へ?」

「どう、おもう?!」


真剣な梅田の視線とかち合う。

唐突な質問の意味がよくわからなかったが、素直な意見を伝えておこう。きっと梅田はチャラチャラしてそうな見た目だが、案外自分に自信がないのだろうか?偏見ってよくないな、ごめん。ならば自信のつくようなことを言ってあげよう。まあ、梅田の場合、お世辞じゃなくて、事実を言うだけになるけど。



「梅田はかっこいいと思うよ、すごく」

「ま、まじで?!」

「まじまじ。男の俺から見てもすげーかっこいいよ」

「…」



悔しいけど間違いなく事実だし。真正面から見ると、更に整った顔であることが判明した。いつも寝てるもんなぁ…こんなまじまじと見つめたことなかったし。


俺がそう言うと、梅田はぱくぱくと口を動かして、顔を両手で覆ったと思ったら、その場に蹲ってしまった。あれ、俺なんか失言した?

梅田は蹲ったまま、「あー」とかなんか呟いてるようだった。どうかしたのだろうか。


梅田ってイケメンだけどなんか変わってるよな、ということを再認識した。

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