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隣のイケメン君  作者:
4/13

視線と彼

『無視しとけば』と隼人は言ってのけたが…

この視線はそうやすやすと無視できるものではない。


ただいま午後の授業の真っ最中である。隣の席からの見られている感じはあまり居心地の良いものではない。

これが可愛い女子ならまだしも、クラス一、いや…下手したら学年一のイケメンに見られているのはたまったものではない。

午前から続くこの嫌がらせには正直辟易していた。


5時間目はそれに悩まされていたら終了した。今日は6時間目までしかないから、あと一コマ耐えれば終わる。…のだろうか。

終わると信じたいぞ、俺は。


6時間目はそれまで遠慮がちに向けられていた視線は、もう容赦ないものに変わった。ガン見ってこういうことなんだろうな。

もはや目からビーム出すんじゃないの?て感じで視線が俺の右半身に突き刺さっていた。


いよいよ居たたまれなくなってきた俺は、ついに覚悟を決めた。



授業に集中させてくれ、って言うぞ、言うぞ!





それから5分くらいタイミングを見計らう時間があったのちに、ようやく決心がついた。

ビビりとか言うな。イケメンは意味のわからん破壊力があるんだからな!



よし、深呼吸して…

いくぞ!





俺は右隣の梅田を見ると、予想通り、彼と見事に目と目が合った。ああちくしょう。目が合わなければよかった。こんな形で見られていたことが実証されるとは。

梅田は少し虚を突かれたように、目を丸くしていた。きちんと見たらやっぱりイケメンで…目を見ただけで先程までの俺の決心は萎んでいった。


見つめ合うのもなんだかおかしいし、やっぱり無視するのも…今後が怖い。これだけガンつけられてるんだし。



俺はできるだけ愛想のよい笑顔を浮かべて、「何か言いたいことがあるなら言って来いよちくしょう」と心に思いながら会釈をした。



その瞬間、梅田はガンッ!と大きな音を立てて机に突っ伏した。

えええ?一体何が起こったんだ?

突然寝た、にしては…すごい音したし…てか絶対デコ打ってるんじゃぁ…痛そう…

授業中だから梅田の発した音は響き、クラスメイトはざわざわとどよめいた。



「梅田…大丈夫か?」


俺が何かをしてしまったのだろうか?

怖くてたまらなかったが、一応俺は未だ突っ伏する彼に話しかけてみた。


「だ、大丈夫だから!」

「ほんとに?」

「ああ、大丈夫!」



依然として突っ伏したままで、梅田ははっきりとそう言った。本当に大丈夫か、こいつ。

不信には思ったが、周りのクラスメイトも、本人がそう言うなら…とすぐに気にしなくなったようだった。


それから残りの授業時間、梅田は突っ伏したままで。視線を感じることのなくなった俺は、今日初めて肩の力が抜けた気がした。

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