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隣のイケメン君  作者:
2/13

寝起きと彼

つんつんと彼をつついてみるが、まったく反応はない。どうしたものか。



教師は俺に任せることに決めたのか、また授業を再開した。おいこら、俺に丸投げかよ。なら自分で起こせよ、と文句も言いたくなるのを我慢して隣のイケメンに向き直る。


イケメンは寝てても姿勢がいいのか。普通丸まってもいいだろうに、その背中はどこかピンとものさしが入ったみたいにまっすぐで、どこかおかしかった。


ふふ、なんだよそれ。寝てるときくらいリラックスすればいいのに。




…いかん、なごんでいる場合ではない。

そうこうしているうちに、授業は進むわ、教師にまた催促されそうになるわでメリットなんかないのだ。嫌なことは早めに済ませよう。



その時、不意にある作戦を思いついた。



一昔前に流行ったアレだ。






思いついたら実行したくてたまらなくなった俺は、すやすや眠る綺麗な梅田の横顔にえいっと人差し指をつきたてた。

…そう、肩をトントンとしてから人差し指でほっぺをぷに、と押すあれだ。

まあ…ニュアンスとか云々がずれているのはこの際無視してくれ。俺はやりたかったからやったんだ。




その瞬間、隣の席のイケメンはぱちりと目を覚ました。うわ、予想以上に効いたのか、この作戦は。起きないかなとか思ってたので、これは案外起きてくれて、竹本は嬉しかった。



なんとなく離せなかった人差し指は、離すことができなくなった。

だって、イケメン…もとい梅田が俺の右手首をがっしり掴んで離さなかったからである。


梅田は寝起き独特の、焦点の合わない、けれどどこか真を見据えた綺麗な瞳で俺を凝視していた。寝起きだからだろうか、いつも以上に色気が半端ない。イケメン恐るべし。



「え、と…おはよう?」



俺が初めて梅田と交わした言葉は、ほぼ同時に鳴ったチャイムの音にかき消されて、おそらく梅田には届かなかっただろう。

ちなみに、先ほどの数学の授業は後半全く聞くことができなかった。

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