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第八話:近未来のあの真ん中ポキッと折るアイス

「…暑い」


あまりの暑さにぐてーと机に突っ伏す。


一応商品が駄目にならないように冷房は入れてあるのだが、それでもこの暑さ、さすがにそろそろ変え時だろうか…。


「いや、でも金無いしなぁ」


「お客様を前にしてよくもまぁ、ぶつぶつと言えますね」


俺としては一人言のつもりだったのだが、律儀に返事を返してくらる人物が1人。


呆れた目で俺を見てくるのは西園寺のお嬢さんだ。


例によって秘書だろう海燕さんとメイドロボを引き連れてウチの店に来ている。


「客?どこに客が居るんだよ…、まさか自分がそうだって言うのか?」


店に来て琴音が居ないとわかるとあからさまにしょんぼりして、しかも帰ろうとしない、営業妨害で訴えられる暴挙をされている。


「………」


「………」


夕飯の買い出しを琴音に頼んだので、店には俺1人だけ、そして俺が西園寺のお嬢さんと軽快なトークなんぞ出来るはずもするつもり無いので、自然と店には会話が無くなる。


つーか、横の海燕さんとメイドロボももっとなんか喋ろよ、毎回居る癖に一言も話さないのでまるで置物だ。


もっとこう…、話してくれないと居るのか居ないのかもわからんぞ、…誰に?


しかし琴音が居ないとどーにもこいつの対応に困るな。


「…暑いですね」


しかし、それは向こうも同じなのか、ボソリと一言だけ漏らすと俺の方をみる。


日常会話の中であまり親しくない人物との会話の糸口率ナンバー1の天気の話題が出るのがそれを物語っている、ちなみに俺調べ。


しかし暑いのは本当なんだろう、見ればお嬢さんの頬を汗がスーッと流れていた。


「…どうしました?」


「いや…」


なんとなく見ていたのだがそれを気付かれるのは嫌だったので、慌てた視線をそらす。


「何か冷たい物でも…、いえ、あなたにそれを期待するのは間違いですね」


「おい…、それはどういう意味だ」


「だってあなた、自分の店の商品をよくわかってないんでしょ?」


こいつの俺に対するこの信用の無さ、一応はここの店長なんですが?


「前の粉のジュースの時みたいになるのがオチでしょう?」


よし、ここは前回のリベンジを踏まえて真面目にやるか。


「ったく…、だったら良い物を紹介してやる」


「へぇ…、あなたが、ですか?」


その目は全く期待してないな…、だがアレを見せればすぐに俺を認めるはずだ。


最近、俺もよくハマっているアレ。


えーと…、アレだよアレ、暑い夏に最適のアレだ、あの…なんだっけ?チューブの形してて真ん中ポキッて折れるアイス。


…うわ、名前わからん。


「…どうしました?やっぱり何も思い付かないんじゃないですか?」


「あ、慌てんなよ、すぐに出してやるから」


ま、まぁ、名前わからんでも形はわかるんだ、得に問題は無いはず。


と、俺は数ある駄菓子の中からその真ん中ポキッて折るアイスを取り出した。


と言っても今は凍らせてないんで中身は液体のままなのでアイスというよりジュースなんだが。


ついでだ、この家に帰って凍らせる必要のあるこいつで今日はさっさと帰って貰う事にしよう。


「ほれ」


袋から一本取り出し、お嬢さんに渡してやる。


「…なんですか?これ」


案の定、これが何か知らないお嬢さんはそのアイス…、まぁ今はジュースだけど、それを見て首を傾げた。


「そいつは真ん中をきって食べれるアイスだ」


「アイス?これがですか…?なんか妙な色ですが」


疑うようにアイスをぷらぷらとさせる。


「色によって味が違うんだよ、それにその大げさな色こそこのアイスの醍醐味だ」


「へぇ…そうですか、アルファ、ハサミ」


『イエス、マスター』


「だから今日はさっさと帰ってそれを冷凍庫で凍らせ…、えっ?ハサミ!?」


気付いた時にはもう手遅れだった。


西園寺のお嬢さんのハサミがそのアイスのチューブの真ん中、くびれになっている所を。


「おい馬鹿!!」


「…はい?」


バスンッと真っ二つに両断。


これが凍らせてあるものならば、なんの問題も無かったが、今チューブの中にあるのはただのジュースの液体なのだ。


そんな物両断すれば、同然のようにその液体は西園寺のお嬢さんへと降りかかる。


「あ…、あぁあ…」


身体中にジュースを浴びる西園寺のお嬢さん、ちなみに知ってる人は知ってるだろうが、この液体、けっこうべたべたしてる。


「~~~~~!」


もう服も髪も顔をべたべたな西園寺のお嬢さんはグッと顔をあげると今にも泣き出しそうな顔で俺を睨み付けてきた。


「よくも…、よよよよくも」


わなわなと怒りに震えているのはいいけど、あれ…、俺のせいなの?


「よくも騙してくれましたね!!」


「いやいや!騙してないから!!」


俺悪くないよね?これ!?


















ーーー


ーー


「では…、あとはよろしくお願いします」


ペコリと頭を下げ、海燕さんは車に乗り込むとすぐに発進させた。


店のカウンターにはメイドロボのアルファがチョコンと座り、キョロキョロと、物珍しそうに店内を見回している。


さて、そんな中俺と西園寺のお嬢さんといえば。


「…覗かないで下さいね」


「アホか…、そう言う台詞は覗かれる価値のある身体になってから言え、仮にも会社経営してんだろ、お前」


「なっ!?し、失礼ですね!私の身体だって少しは…、少しは…、うっ、無いのかな…」


「あー、なんかすまん、あっ!ほら…、一部のマニアとかになら高値が付くんじゃないか?」


「それがフォローのつもりですか!?本当最低ですね!あなた!!」


「ウチのシャワー貸してやるんだ、少しは感謝しろよ…」


とまぁ…こんな訳だ。


西園寺のお嬢さんをそのままにしておく訳にはいかないので、海燕さんは着替えを取りに戻り、店番はあのメイドロボに任せた。


あいつが接客できるのかどうかも不安だが…、まぁいいか。


「もう良いです…、さっさとシャワーを浴びたいのでお借りします」


「自分の家みたいに贅沢に使うなよ、水道代ってのがあるんだぞ」


「セコい…、朝河さんもよくこんな人と住んでられますね」


はぁ…、とため息一つついて西園寺のお嬢さんは風呂場へと入って行った。


さて…、店に戻る前にタバコで一服でもするかと戻ろうとすると。


「きゃぁあっ!!」


風呂場からお嬢さんの叫び声が聞こえてきた。


おいおい…、なんだ?虫でも出たのか?


「どうした!何かあったのか!?」


脱衣所の扉の前で声をかける。


「み…、水が、お湯が出ないんですが…、壊れてませんか!これ!!」


いや…、そんなはずは無いと思うが。


「いや、普通に出るはずだぞ」


「だって、いくらひねっても冷たい水が出てくるだけですよ!!」


ははぁ…、なるほど、だいたいわかった。


「ちゃんとお湯は出してんのか?冷水と同時にひねって温度を調整するんだよ」


「な、なんですか…、それ!?」


「もう一つ蛇口があるだろ、それをひねれば熱湯が出てくる、それを水と混ぜてお湯にするんだよ」


ウチの古い風呂場では機械で温度を設定できるような設備は無い。


冷水の出る蛇口と熱湯の出る蛇口を同時にひねって上手く温度を調整する必要があるのだが、このお嬢さんは冷水の蛇口だけをひねったらしい。


「えと…、こっちの蛇口をひねって、まだ温い…ですね、だったら水の方を弱くしてみたら…、きゃっ!今度は熱過ぎですか!!」


おぉ…、苦戦してんな、日頃から最新技術に囲まれてるからそうなるんだよ。


慣れればすぐに適温を作り出せるのだが、まぁ頑張って貰おうか。


「くしゅんッ…、うぅ…、寒い、でも…まだお湯が」


「………」


ったく…、世話がやける。


「入るぞ」


ごしごしと頭をかくと脱衣所に入り、バスタオルを取ると風呂場のドアを少しだけ開けて放り込んだ。


「な!やっぱり覗きに来たんですね!!」


「違うわ!さっさとそのタオルで身体を覆って隅っこにでも居ろ、お湯作っから」


「そ、そんな事言って…私に変な事をーーーくしゅんッ」


喋ってる最中に大きなくしゃみ、まぁ冷水を思い切り浴びたんだ、身体が冷えたんだろう。


「しないから、こんままじゃ風邪引くぞ」


「………」


西園寺のお嬢さんは少し考えているのか、風呂場からの返事が聞こえなくなる。


「…どうぞ」


だが少し間を置いて風呂場からそう返事が返って来たのを確認すると、遠慮気味にドアを開ける。


パッと見てお嬢さんの姿は見えないので隅っこの死角になりそうな所に居るんだろう。


「へ、変な事したらアルファを呼びますからね!アルファは私の警護も兼ねてるのであなたなんて一捻りですよ!!」


「はいはい…さすがにロボットと格闘戦しようとは思わんよ」


「格闘戦…?生温いです、アルファには機関銃さえ積んでありますから、文字通りの蜂の巣ですよ」


何その軍隊とも戦えそうな装備?あのメイドロボ自体兵器じゃねぇか…。


あまり周りを見ないように真っ直ぐシャワーの所に向かい、しゃがんで出ているお湯に手を当ててみる。


うわ…、すげぇ温い、下手くそだなあいつ。


「温度は?ちょっと熱めの方が良いか?」


「そ、そうですね、少し熱い方が…、くしゅんッ!!」


「決まりだな」


水を弱めにして熱湯のでる蛇口を少しずつひねっていき、手で温度を確認していく。


「…こんなもんか、あとの微調整くらいはできるだろ、少しずつ蛇口を回してくれ」


「…わかりました」


返事を確認すると立ち上がり、そのまま振り返らずに後ろ足で脱衣所に戻った。


「…ふぅ」


「温度はどうだ?」


「え、えぇ…、大丈夫です」


そっか…、そりゃ良かった。


さて、これ以上ここに居たら本当にメイド兵器を呼ばれてしまいそうだし、さっさと立ち去ろうと思ったらたまたま西園寺のお嬢さんの脱いだ服に目が止まった。


たまたまだよ?本当にたまたまだからね。


しかし、お嬢さんがシャワーを浴び終わったらどうするか考えて無かった、海燕さんはすぐには戻ってこんだろうし、このべたべたになった服をまた着る訳にもいかん。


仕方ない、緊急事態だ。


「ちょっと待ってろ、琴音の服を取ってくる」


琴音には後で事情を説明してやればたぶん納得するだろう。


「は、はい!?あ、あなた…、何言ってるんですか!!」


「何って…、着替えだよ、まさか海燕さんが戻ってくるまでずっとシャワー浴びてる訳にもいかんだろ?」


そんな事されたら水道代がヤバイ事になるぞ。


「そ、それはそうですけど…、えと…、朝河さんの部屋に入るんですか?無断で?」


「事情は後で説明するけど」


「朝河さんの部屋で…、朝河さんの服を物色するんですか?」


「人聞きの悪い言い方をするな…、お前の着替えを探すんだぞ」


「朝河さんの服を物色して…、まさか!匂いをかぐつもりでしょう!!」


「お前は俺をなんだと思ってるんだ!!」


そもそも同じ洗濯機で同じ洗剤使ってる事考えたら洗濯後の匂いなんて俺の服と変わらんはずだ。


よし、本当に変わらんのか今度試してみよう、いや、やらんけど。


「や、やっぱり変態じゃないですか!!朝河さんの部屋に入る事は私が許しませんからね」


どうやらウチの居候の部屋に入るにはこいつの許可が必要になったらしい、ここ俺の家なのにね?不思議。


「ったく…、だったらどうしろってんだ?」


「………」


西園寺のお嬢さんも考えているのか、しばし無言が続いたが、やがて何か決意したかのような声で風呂場から声が返って来た。


「あなたの服を…貸して下さい」

























ーーー


ーー


「ふぅ…、まったく、酷い目に合いました」


それもこれを全部あの男のせいです…、心の中で呪詛の念を思いながら私は蛇口をしめます。


冷えた身体をシャワーを浴びたおかげでポカポカ、お湯は…丁度良い温度でした。


私がやってた時は全然上手くいかなかったのに…、ちょっと悔しい。


脱衣所に出てバスタオルで身体を拭き終え、下着を付けると私の前には最大の試練が待っています。


「これ…ですか」


私の着替え…、付け加えるなら、あの男が普段来ている普段着。


自分で言い出した事とはいえ…、男の人の着ていた服、しかもあの男の服を着るのには凄く抵抗があるんですが…。


あるんですが…、これも琴音ちゃんを守る為です。


「よし…」


と決意して、シャツを着てみました。


「うわ…、ぶかぶかですね」


シャツだけで私の腰は軽く超すサイズ…、あ、あれ?私の身長ってこんなに低いんでしたっけ?


鏡でちょっと確認…、というか、今気付いたら私、男の人の服とか着るの初めてじゃないですか。


お父さんとか家族の服も同然ですが着たことなんてありませんし。


「これが…、男の人の服、ですか」


クンクン…と、ちょっと裾の匂いをかいでみてーーー。


「って…、何をしてるんですか!私は!!」


それが完全に無意識だったのが、鏡にうつった自分を見て気付かされる。


「これじゃ変態みたいじゃないですか…」


もう良いです、何も考えずにさっさと下を履いてここから出ましょう。


「下…」


下…、ズボン。


「う、うぅ…」


鏡を見ると本当に顔中を真っ赤にした私が居たので、私はもう鏡を見るのを止める事にしました。
























ーーー


ーー



「はー…、やれやれ」


本当、年頃の娘、つーかガキってのはめんどくさい。


一悶着の騒ぎもようやく終了し、俺は居間で1人、タバコで一服していた。


煙を吐いて紫煙を漂わせていく。


まさか娘1人にシャワーを浴びさせるのにここまで苦労するとは思わなかった。


俺からすりゃ琴音もお嬢さんもまだ高校生くらいのガキだ、着替えだなんだそんなに気にする事かよ。


まずちっこい、胸が無い、そして色気が無いと逆三拍子が揃ってる。


「…タバコ、吸うんですね」


「あっ?」


タバコを口にくわえていると後ろから声をかけられた、なんだ、終わったのか。


「俺の家で俺がタバコ吸うのに何の問題が…、ぶっ!!」


振り返るとそこには西園寺のお嬢さん。


「熱っ!!」


そして俺は思わずタバコを口から落とし、タバコはポトリと足に落ちた。


それも無理は無い、西園寺のお嬢さんは顔を真っ赤にし、俺が貸してやったシャツの裾を掴んでギュッと下に伸ばしてる。


おいおい、服が伸びちゃうでしょ?


いや、そんなツッコミはどうでも良くてだな…。


「なんでズボン履かないんだよ!ちゃんと置いといただろ!!」


そう、西園寺のお嬢さんはあきらかに履いてない。


「ズ、ズボンなんて…、は、はける訳ないじゃ無いですか!は、恥ずかしい!!」


いやいや、こいつはいったい何を言ってるのか?


「お前、今の台詞すげぇ意味深に聞こえるぞ、つーか恥ずかしいのは今の格好だ」


「そんなの…わかってますよ」


見たところシャツのサイズがぶかぶかでお嬢さんも裾を伸ばしているので下が見える事は無さそうだ。


けど…、なんつーか、その、涙目で顔真っ赤にしてぶかぶかの服の裾掴んでもじもじしてるのは。


いやいや、冷静になれ、あいてはガキ、色気無しと先ほど思ってただろ。


「とりあえず…、出ていって貰っても、良い、ですか」


「あ、あぁ…」


灰皿を持って慌てて立ち上がり、さっさと居間から退散する。


…ここ俺の家なんだけど、あぁ、うん、もういいや、どうでも。


ギュッとタバコを灰皿に押さえつけて消化すると、チラッと居間を見た。


西園寺のお嬢さんは体育座りをしてこちらに背中を向けている。


顔は見えないが、なんつーか、落ち込んでるっぽいのはなんとなくわかった。


「あ~ぁ、…ったく、めんどくさい」


のろのろと台所に向かうと冷凍庫からアレを探す。


あの…、アレ、真ん中ポキッて折れるアイス。


冷凍庫で冷やしてあるおかげでカチンコチンに凍っているそれを見つけるとその中から一本取り出した。


「よし、このオレンジ味のやつでいいか」


このアイス、味の種類は多いが多い分、人気不人気もはっきりしている。


我が家ではとりあえずオレンジ味が一番人気が無いようでオレンジ味が残りまくってる。


みかん自体は好きなんだけどね、オレンジ味ってなるとなんかあんまりなんだよな。


さて、そのオレンジ味のアイスを手に取るともう一度居間に戻り、背中を向けてるお嬢さんの首もとにピタリと付けてやった。


「ひゃうッ!?」


冷凍庫からの取り立て冷え冷えなそのアイスを当てられ、びっくりして飛び上がったお嬢さんはギロリと俺を見てくる。


「…ほれ」


「なんですか、これは?」


「お前が食べるのに失敗したアイスだよ、安心しろ、今度はカチカチの冷え冷えだ」


アイスをお嬢さんに渡してやるとお嬢さんは驚いた顔で俺とアイスを交互に見つめた。


「それな、真ん中をポキッと追って食べるんだぞ、じゃあな」


さて、今度こそ店に戻るかと居間から出ようとする。


「…待って下さい」


「ん?」


するとお嬢さんから声がかかった。


「このアイス、真ん中を折るのなら、二つに分けるって事でしょう?」


「まぁ…そうだけど」


「だったら…、その」


ポキッとお嬢さんはアイスを真ん中から二つに折ると、片方を俺に向けて差し出した。


「半分こ…、えと、一緒に食べませんか」


顔はうつ向いててよく見えない。


オレンジ味あんまり好きじゃないとか、それ棒のついてる方じゃないとか、まぁ言いたい事は色々あるけど。


「一緒にって…、ここでか?良いのかよ、お前」


「ま、まぁ、背中向いてますし、あなたにも背中を向いて貰えれば」


「なんだそりゃ」


可笑しくてつい笑ってしまいながらも、言われた通りにお嬢さんに背中を向けて座る。


オレンジ味のアイスの中身をチューと吸う、うーん、やっぱりオレンジってなんだかな…。


「まったく…、今日は散々です、どうして今日に限って朝河さんが居ないんですか?」


「その言葉、全く持って全て俺の台詞だからな、だいたいお前ーーー」


「西園寺です、西園寺 翠」


「ん?」


「前から思ってましたがお前何て呼ばれかたはあなたが偉そうで不愉快です、高屋敷さん」


「なんだ?お嬢様とお呼びってか?」


「普通に西園寺で良いですよ、一応、あなたの方が年は上ですし」


「おい、一応ってなんだ一応って」


「年齢的な話しだけでいえばあなたの方が年上ですからね、しかしこのアイス…美味しいですね、オレンジ味ですか」


なんだ、こいつはオレンジ味全然いけるのか、まぁ好みなんて人それぞれだし。


俺はどうにもこのみかんに近付けましたって味はあんまり好きじゃないんだよなぁ。


「~♪オレンジ味とは、なかなか良いチョイスですよ、高屋敷さん」


嬉しそうに弾む西園寺の声を聞きながらシャリっとオレンジ味のアイスを口に入れる。


まぁ、これはこれでアリ…かな。




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