表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/56

真実(3)

  「更に5年。ジェイムズ達がここを去ったのを機に兼ねてより私が考えていた計画を妃に話した。別の男の子種を貰って跡継ぎを産んで欲しいと。妃は驚いたが後継者がいないのではこの谷は滅亡してしまう。それを盾に私は妃を説得した。相手の男はデリルが選び、何度かこの谷にやって来た。私はそれを断腸の思いで見ているしかなかったのだ。

  それから数ヶ月が経った。妃に懐妊の兆候が現れると間もなくその男は姿を見せなくなった。そして生まれたのがジャスミンなのじゃ。」

王は淡々と話しを続けた。

「それでその相手の男というのは。」

「・・・・現、清国皇帝、宣宗せんそう。という話じゃ。・・・・・あの頃はまだ私より地位の定まらぬ男であったが、今から8年前、皇帝の座に就いたと聞いた。妃から宣宗の事を聞いたことはなかったが、デリルの話によると、血気盛んな若者であったが、近習の者達にはとても優しく、勿論妃に対しても物腰は柔らかであったということだった。ジャスミンの名も清国の呼び名は茉莉花マリファという、それは美しい花から取ったものだ。あの子は宣宗と我が妃の良いところだけを受け継いでいると思う。どんな手段であれ、私に子が授かったのだ。一生大事にしようとこれまで慈しんできた。だが年月を追う毎にオピウムの産んだ子の消息を知りたくなった。私にとって唯一血の繋がった者だったから。できれば私の後継者に、と考えるようになってしまった。私はデリルに命じ、そなたの行方を捜した。苦労の甲斐あってイギリスに住んでいるということがわかった。バーナードの所在はわかっていたから、彼を通じそなたがここに来たくなるように仕向けて貰ったのじゃ。ああ、勘違いされては困るが、だからと言ってジャスミンに対する態度が変わる、というものではない。あの子は私の娘だ。だが息子と娘で自ずと周囲の期待するものが異なる。娘はやはり女なのだ。そなたをこの数ヶ月見てきてその思いは強くなるばかりだった。・・・ケイン。あの子の素性は決して怪しいものではない。親子として名乗り合うことは決してないが、あの子は生まれながらの皇女なのだ。分ってくれるな?」

じっとケインの目を見つめる王の目から幾筋もの涙が流れていた。

「はい。」

同じようにケインの目からも涙が流れた。

「では1つ聞くが、今の話を聞いて、ジャスミンに対する気持ちに変わりはあるか?」

「・・・陛下。僕が真実を知りたいと言ったのはそんなことではありません。彼女に対する気持ちにはいささかも変わるものではありませんし、聞いたことによってこの先ずっと彼女を守るのは自分しかいない、と痛切に感じました。・・・・陛下、改めてお願いいたします。僕を陛下の息子として、又、ジャスミンの夫としてこの谷に一員に加えて下さい。」

「おおおおお!そうか!嬉しいぞ。ケイン。私は今までこんなに嬉しいと思ったことはない!そうじゃ!早速婚礼の支度じゃ!」

「待って下さい!その前に僕はしなければならないことがあります!」

ケインは再び居住まいを正した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ