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危うし!ジャスミン

  生きて帰ることは出来ない? ヤコブの言葉に再び2人は恐怖におののいた。それでもプレーナムは気丈に立ち向かう。

「ヤ・ヤコブ様!このお方はあなた様の姪でもあるのですよ!そして現王のたった一人のお子様です!その方に向かってこの扱いは無礼以上の何ものでもありませんよ!」

「ホウ!この後に及んでもそのようなセリフが言えるとは。さすがプレーナム・・誉めてやろう。だがそのような戯言ざれごともこれまでだ。なぜならそなた達の消息が絶たれてから既に3日経っておる。みな必死になって捜しておるが、何の手掛りも掴めないのだからのぉ。ソレッ!」

その言葉を合図に現れたのはヤコブをあるじとする反ムファド派の数名の男達。谷にはムファド王支持者が大半を占めている中、ヤコブを支持する者もいた。特に近頃になってヤコブの財力が増大するにつれ、少しずつではあったがその数に変化が現れていた。その連中はジャスミンとプレーナムにどっと襲い掛かり、あっという間に縄で2人を縛り、石柱にくくってしまった。

「何をする!無礼な!」

プレーナムの声が興奮の余り一段と高くなる。

「おい!何をしておる。早く猿轡さるぐつわを噛ませろ!!」

ヤコブの叱責が飛ぶ。


  「大臣。女性に手荒な真似はいけませんよ。」

その時、また別の声が響いた。

「テリー様!・・・・ジュディーさ・・ま?  何ゆえあなた方が?!」

「大臣。そんな風に女性を拘束しばっては失礼ですよ。どうです?あの方法を試されては?一度見たいと仰っていたではありませんか。」

声の主はリュー・テリーだった。ジャックたちと一緒に発掘をしていたはずの彼が何故ここに?しかしその顔は宮殿で見た時とは打って変わった冷酷なものだった。しかもジュディーまでもが一緒とは。一体何故・・・・・?

テリーはジャスミン達を全く気にせずヤコブに話しかけた。ジュディーは気がとがめるのかその陰に隠れ顔を背けている。

  「テリー。おお!そうじゃ。そちの言う通り、あれを見てみたい!!じゃがここで出来るかの?」

「大丈夫でしょう。この2人だけにして出入り口を封鎖すれば、あとは時間が経つのをじっと外で待っていればいいのですから。」

「おお!・・・・それではそなたに任せよう。じゃが生きてこの2人を帰すわけにはゆかぬぞ。企てを知っておる。」

  「えっ?!テリー!話が違うわ!」

それまで黙っていたジュディーが叫んだ。

「ジュディー。僕に強力すると言った時から君も同じ穴のムジナなんだ。さあ!急ごう!ぐずぐずしていると人が来る!」

そう言うとテリーはすぐ指示を出し、2人の回りに数個の香炉を置いた。何やら煙が立ち昇っている。

「急いでここを出るんだ!」

その声と共にどっと入口に向かうヤコブ達。

「さあ!君もだ!こんな所でアヘンの毒にやられたくないだろう!」

「アヘン?!この煙はアヘンなのですか!」

「プレーナム。君は噂通りの優秀な侍女だね。たっぷり煙を吸ってそのまま死んでいただこう。」

嫌がるジュディーの腕を無理やり引っ張ると、テリーは入口に走った。


   ゴホゴホ!

他に人がいなくなると、急激に煙が2人を覆い始めた。

「プレーナム?」

不安におののくジャスミン。

「姫様!大丈夫です!きっとケイン様が助けに来て下さいますよ!お気を確かに!それにしても3日間も気を失っていたなんて不覚でした。――― いいですか。煙は上に昇ります。なるべく・・・こうして下の方に身体をずらして・・そうそう、じっとして動かずに。動けば風が起こって煙の回りも早くなります。じっと・・・そう。そのままで・・・姫様。お城に戻ったらおいしいものをたっくさん頂きましょうね・・・・」

そう言ったプレーナムの目に涙が光った。

  刻一刻と洞穴ほらあなを覆っていくアヘンの煙・・・・

危うし!ジャスミン!どうなる?プレーナム!!

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