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ふれあう心

  王の容態が進展せぬままいたずらに時は過ぎ、4ヶ月が経った。大臣でありジャスミンの叔父、ヤコブはムファド王の容態が良くないらしいということを薄々感じたらしく、自分が次期王であるということを表立って口にするようになった。ジャスミン1人の力ではどうにもならなくなる程に。そんな彼女の唯一の支えはやはりケインの存在だった。いつでもさりげなく傍にいてくれる、それだけで救われた。ケインもジャスミンから聞いた話を全面的に信じたわけではなかったが、誰かが彼女を狙っているということは紛れもない事実なので、できるだけ彼女の傍から離れないように努めていた。それまでジャスミンに仕えていたカシミールとプレーナムもケインが信用のおける人物だとみなすと、ケインの荷物を勝手にジャスミンの部屋に持って来て寝食を共にし、彼女を危険から守って欲しいと懇願した。さすがに同じ部屋は困ると辞退したケインだったが、「皇女様のお命には代えられません!」と、じつに実のある説得に根負けし、その夜からジャスミンの部屋で生活を共にすることになった。それで一層お互いのことがわかった。ケインは自分の出生、両親、額のアザの事等をジャスミンの口から聞くに及ぶと益々彼女との深い繋がりを痛感した。


  一方ジャスミンは小さい頃より父王から詳しい話を聞かされていたので、既にまだ見ぬ男性に恋をしていた。実際ケインがその人らしいと解った途端、自分の一生を捧げる人だと感じた。寄り添って歩く2人の姿は微笑ましく、彼等を見た者達に安堵の気持ちを起こさせた。それに対してもヤコブは苦々しく思い口を挟んできた。よそ者のケインに対する待遇が気に食わないらしい。しかしヤコブのあからさまな態度も今のジャスミンにとっては全く気にならないようだ。政務が終わると必ずケインに寄り添い、王の部屋で意識のない父に話しかけながら時を過ごすようになっていた。

  またケインにとってはヤコブのジャスミンに対する態度が不安材料ではあったが、取り立てて何をされたという訳ではないため、周囲に注意を払いながら不穏な日々を送っていた。


  そんなある日。1人の不可解な行動がカシミールによってケインにもたらされた。

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