【きゅう】朝日が。
激しく自己嫌悪です。
テスト勉強中に書いててごめんなさい。
私は政治家になったとしても絶対に公約を守らない無礼者で……瑠璃、様。これは違うんですよぉ~~。息抜き、そう!息抜きです!だ、だからお許しを~。
「早く勉強なさい無能なのですから」
はいぃ~~。
私は今村瑠璃。
そう、一人の自我を持つ人間。私には、特技や人を引き付ける魅力はなかった。
だから、私は――…。
† † †
普通に自分の部屋で勉強をしていた。
うたた寝をしてしまって、衝撃で目を覚ました。
目を開くと神殿と呼ばれそうな白い建物の中心の水の中に落ちていて濡れ鼠だった。
驚いている周りの異国の顔立ちをした人間達は、私を見て驚いていた。
だから私は――死ぬ気で嗤った。
“わたしにはなんの利用価値もありませんよ?”
と。実際そうだった。
特殊な能力も無ければ、高貴な出でもない。
何も出来ない。人の真似しか。幸いこの世界では、幼く見られたので“何も分からない子供”として扱われた。
その方が都合が良かった。
「失敗しました……」
私は与えられた“二ノ部屋”でぼんやりと自分の手の平を見つめていた。
怒らせてしまった。
今までの信頼を台なしにした。きっとリュンヌ様も、もうアル様とは呼ばせてくれない。
人間とは、そういうもの……。
「あーあ」
そういえば何で私はここに居るのですかね。
理解できません。
何か使命が与えられた訳じゃない。不思議な能力が身についた訳でもない。
この世界で、やり直そう、なんて思ってしまった私は愚かだったのですね。
やはり私は、ここでも自分を消さ無ければ生きて行けないようです。
明日どんな顔で会えばいいのか分かりません。
これは私の感情?
それとも――。
真似している人の感情?
もうそれすらどうでもよくなってきました。
「疲れました――…」
私はそのまま意識を失いました。
† † †
「うぅ……」
朝日が眩しいですー。
今村瑠璃15歳。
超然美形様と魔王様の機嫌を損ねてしまいました。
追い出される5分前です。
追い出されたらそこら辺で自害でもしようかと考えています。
「おはようございます。ルリ」
ドアの方に顔を向けると、ああ。私の身の回りのお世話をしてくださっているアンナさんです。必死に頼み込んで“様”付けは止めていただきました。
もちろん、控え目少女を演じて、ですよ?
最初から図々しい人は嫌われます。
経験上の注意ですねー。
所詮人間なんて第一印象ですから。
「おはよう、ございます……」
少々消極的な方が私的には楽ですので。
今こうしてアンテさんと話せているのだからリュンヌ様は近くにいらっしゃるのでしょうか?
大変気まずいですね!
「あの……」
声を掛ければベッドメイクしていたアンナさんがクルリと振り向く。
ふんわりとした茶髪に垂れ目のアンナさんはいつも口元に微笑を湛えています。
なんとも、余裕の表情。
どっからでもかかってこいやー!イメージが散布しています。
「何でございましょう?」
「リュンヌ様は?」
分かりきっているのに縋り付く。
「“いつも通り”とお答えして置きます」
そう言って去っていく彼女の姿に惚れそうになりました。