【なな】―アル―
大変遅くなってしまいごめんなさい!
ただ世の中にはテストと言う地獄の三文字があることを忘れてはなりません!なんと、わたくし!2位から66位への人生最大の汚点を晒してしまいまして……親に叱られPCを取り上げられそうです! 嫌だぁ、骸さんとかミクとか……封印したくねー、とごめんなさい。ということでものっそい遅れることがあるかもしれません!本当にごめんなさい……。
む?
皆のもの、おはよう!ってな感じでお早い御目覚めですね?
え?こんなに早い時間に記録魔法の魔法円盗み出して何を記録しているか教えてくれ?
ふふ……まだお子様には早い事をしているのですよ?
リュンヌ様っあぁっ!どうしてそんなにエロい吐息をっっ!あぅっ、わたくしはっわたくしはっ!
もう、ずっと寝ていてくれればいいのに……。むむ?起きだす気配が……致し方あるまい……記録は一時中断だ。 ではの!
そう言って彼女は、疾風の如く去っていったのでした、まる
リュンヌ様の朝は早い。
大抵、5時前には起きて何かをしていらっしゃる。
リュンヌ様は王宮お抱えの魔導師だけれど魔法を使った瞬間を私は見たことがない。
まぁ、私には魔法をかけていますけど……。
「リュンヌ様~」
ある日のことです。
私がいつものように、名前を呼ぶと……
「……アル……で良い……」
小さい呟き。
物事をはっきり、きっぱり言うリュンヌ様には不似合いです。
ですから良く聞こえなかったのでございます。
「すみません、リュンヌ様…何ですか?」
私がそう聞くと、珍しく顔を真っ赤にさせて、
「……アルと呼べ! 命令だ!」
と、強く言ったのでした。
私は下僕ですから、特に異論はありませんので、
「はい、……ア、ル様?」
呼びなれませんが、なんだかほんのちょっと近づけたようでうれしかったです。
そのあともとくに用事がないのに、
「アル様、アル様」
と呼びまくっていました。
馬鹿王子は気に食いませんが、アル様は大好きです。
ああ、“あちら”にもこの様な人がいたのなら私はココロを失わずに済んだのでしょうか?
† † †
「リヒト様がお帰りになられたぞ!」
「今回の視察は早く終わったな」
「あの娘にご執心だからな……」
人々は、囁き合う。
殿下は、ベリアルの弟子に執心だと。
皆は、不満に思った。
なぜ、姫が居るのに関わらず、あんな小娘に構うのか。
姫はあんなに美しく、弱々しいのに。あんなに非道な事をしてとった姫君だというのに、と。
ああ、帰ってきてしまった。
私とアル様の時間を出来うる限り割いて回る極悪王子が。
なぜ、こんなに早く帰ってくるのです!そう心の中で毒を吐きます。
リヒト様の好みは、控え目だけれど自分を包み込んで、分かってくれる娘、がタイプみたいです。15年間好みの性格を演じ続けていたので、当たっているとは思うのですが……。
といけない、いけない。ついつい演じている娘の性格が地になってしまう。
思うのですが……とかwどこの控えめ~。
でも私にはもう……自我すらないのかもしれません。