表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/44

【さんじゅうご】ライ

リヒト様の新しい結婚相手のお話。

短いです。

すみません。




「ライ、機嫌を直して?」

「や、です。へーかが嘘、ついたのがいけない」


 ぷん、と顔を風船のように膨らませて、睨みつける女の子。

 きらきらと輝く絹糸のような金髪美形は、それはそれは困り顔で、女の子の背丈に合わせしゃがみ込む。


「ごめん、て。タヌキ大臣達が五月蝿くてさ。解放してくれなかったんだ」

「リヒト、頑張れば……黙るよ。タヌキ共も」


 さらり、と恐ろしいことを言う。

 それに苦笑しながらも、


「すみません、お姫様。機嫌を直していただけますか?」


 女ならだれでも恋に落ちてしまいそうな、顔でふわりと笑う。

 それを見て、顔を熟れたリンゴのように真っ赤させた後、


「赦してあげましょう――今回だけ」


気取って、ふふんと鼻を鳴らす。 

 それに、くすりと見えないように笑うと、リヒトは、


「こちらへどーぞ?お姫様」


 と手袋に覆われた手を差し出した。




* * *




「な、なにあれ!?めちゃくちゃラヴラヴじゃないですか!?」


 つい双眼鏡から目を外し、大声で叫んでしまう。

 いや……アル様が居なくて暇だったとか、リヒト様は実はロリでコンなのか……とか様々な思惑が駆け巡るけどさ、違うよね、うん。


「でも……可愛すぎね?」


 一人瑠璃の呟きだけが広い部屋に響いたのであった。



* * *




 大丈夫、まだ。

 まだ、耐えていられる。

 彼女がほかの男を愛しても、愛されても……まだ、まだなのだから。

 

 まだ、巡ってはいけないのだから。


 彼女が何度、忘れても、慟哭しても、絶望しても、生き続けてくれれば。

 

 俺の自己満足、エゴ。

 

 ああ、空回り。






 

 

 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ