アンドロイド①
もうすぐで秋が終わり冬が来る。
街路樹の木には紅く色付いた葉が揺られ、来年の春が来る為の準備期間に入る。
ここ日本には四季と呼ばれる季節があり、それが一年間を通して繰り返されるのだが、私には後いくつ四季を繰り返すことが出来るのだろうか……?
「薬は飲んだのか?」
「うん。さっき飲んだよ」
「そうか、必ず薬だけは飲み続けるんだぞ?」
「分かってる」
「お前は私の宝物だ……」
「お父さん……」
そう言って抱き締めてくれた父はもう居ない。
身体が弱かった父は、たったひとりの娘である私をとても大切にしてくれていた。
だからこそ父は遺伝により生まれつき身体が弱かった私の身体を気遣い、独自に研究を重ね私に合った薬を開発したのだ。
そして……
亡くなる寸前に「あるモノ」を私に託した。
封筒の中にあったのは、ひとつの鍵。
その鍵がどこの鍵なのか……?
私は家の中にある鍵穴という鍵穴を全て探し回り、やっと見付けた地下にあった扉の鍵穴に差し込むと「カチッ」と小さな音を立てて扉が開いた。
恐る恐る中を覗いてみると、暗闇の中に何かが見える。
「……あれは?」
奥の椅子に腰を降ろすように座る人の姿……
生きているのか、死んでいるのかさえ分からない。
少しずつ近付き、机の上にある照明に手を伸ばし灯りを付けた。
ボンヤリと灯された明かりに照らされたその人物の顔を見てみると、とても滑らかな白い肌に長いまつ毛、美しく鮮やかに輝くピンク色の唇がとても綺麗な男性が視界に入り、思わずウットリと見とれてしまった。
その美しい頬に手を伸ばし、そっと触れるととてもヒンヤリと冷たい。
不思議なことにその瞬間「あぁ、これは生きてはいない」単純にそう思えた。
だけどあまりの美しさに思わず心が惹き付けられてしまい思わず自分の腕の中に抱き締めていた。
『アンドロイド』
机の引き出しに入っていた父が遺した手紙にはそう書かれてある。
死を覚悟していた父は、独りぼっちになる私を心配して一体のアンドロイドを私に遺して旅立っていったのだ。
私は父からの手紙を机に置くと、説明通りにその『アンドロイド』の首元にあるスイッチを入れる。
小さな機械音と共に、少し身体を揺らした『アンドロイド』は静かに瞼を開いた。
すると綺麗な茶色い瞳がキョロキョロと周りを見渡し、最後に私の顔を見つめニッコリと微笑んだ。
「こんにちは」
少し高く甘い声が私に話し掛けた。
「……こんにちは」
恐る恐る声を掛けると『アンドロイド』は、私の手を掴んだ後、優しく私の身体を包み込んだ。




