早熟の天才 三輪鉄矢編(終)
さて、前書『消えた天才~将棋界の恐るべき闇~』ではスッキリしないまま終わってしまった。本書ではその追加取材をしたものを加筆させていただく。
まずは成田誠である。成田は二○一六年に鬼籍に入られた。享年七十三歳。死因は肝臓がん。成田の葬式にはたくさんの人が詰めかけた。らくらく上野将棋センターは成田の知人である広瀬靖幸が受け継いだが、経営不振に陥り約一年後に廃業となった。
続いて藤野俊幸。前書の出版後になんと藤野から電話があった。
「実は当時、暴力団に所属していた将棋好きのおじさん「I」と繋がりがありました。指導の関係だったので手厚く接していたんです。ですがその内まずい世界に入ってしまったと気づきました。当時の賞金大会の運営委員の一人がIなんです。Iが賞金を持ち逃げしていったと聞いています。Iは将棋好きでそっちの世界に知られていましたから、放っておけば私にも暴力団側から問い詰められていたでしょう。それで私は怖くなり北海道に逃げ帰りました」
当時、私を暴力団側の人間と勘違いをしたようだった。前書の出版を知り、失礼をしたと詫びがあった。どこの出版社か身分を尋ねてきたのもうなずける。Iの現在は消息不明。少なくとも日本にはいないという。外国の地で暮らしている可能性が高いそうだ。藤野は続ける。
「Iはシンガポールに憧れていました。もしかしたらそこで将棋好きな人と指しているかもしれませんね」




