48話 第三の支配人2
「お母さーん!はーやーくー!」
小さな女の子がジュースを片手に持ちながら母親を急かしていた。
「はいはい、ちょっと待ってね……はぁ、うちの子、体力ありすぎじゃない?」
「まーだー?」
「き、休憩させて〜……」
そんな普通の日常を、シータのクローンは見ていた。
この私は感情もある、お腹が減ることは無いし、疲れることもない。
その点で言えば、人間とは全く違う存在となる。
でもやっぱり、笑顔が好きなのは本体譲りでしょうね。
「わっ!」
「あっ……!」
母親を急かしていた女の子が石に躓いて転んでしまった。
それと同時に、母親の方へと女の子が持っていたジュースが飛んでいく。
まずい……!
このままだと、笑顔がなくなってしまいます!
そんな思いの一方通行で、シータのクローンは母親に覆いかぶさった。
「お姉さん!大丈夫!?」
ああ……壊れちゃいました……でも……これで良かったんですよね。
煙や火花は上がっていなかったが、カタカタと静かに震えていた。
クローンは壊れてしまった。
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「と、閉じ込める……?」
「はい。その方が、笑顔がたくさん見れるでしょう?」
「しかし、閉じ込めると帰れないお客様が増えて、それこそ笑顔が減るんじゃないのかい?」
「いいえ、ワンダーランドに来た時点でもう帰りたくないと言うことにも取れます。あまり時間を取っていると、また笑顔が減りますよ。それでは」
「あ……シーター……」
そこから、クローンとベータとアルファは客を閉じ込め始めた。
ワンダーランドの全ての所有権はシータが持っているため、ベータとアルファは何も反論が出来なかった。
「嫌だ!あたしもうここ飽きたもん!早く出して!」
「そうよ!こんなのもう、監禁じゃない!」
「うるさいですね〜、そんな人達は〜……こうです!」
ベータがパチンと指を鳴らすと、2人はメリーゴーランドと観覧車のミニチュアになった。
「シーター、これどこに置けばいいですか〜?」
「メリーゴーランドと観覧車……ですか。もうその2つはあるので、部屋にでも飾って置いて下さい」
「分かりました〜」
いつの間にか、ワンダーランドは監獄となっていた。




