2話 フェンリルはイメージと違う
「……っていうか……なんで神さまがわたしの目の前に?」
「あはは……確かに言ってなかったね」
笑いごとじゃないと思うんだけど……。
「僕はね、君、ルナのことをずっと見てきたんだ。もちろん、見過ごす訳にはいかないのはわかっていた。でも、神さまっていうものはしょっちゅう用事が入ってね。で、今はこの世界を担当してるんだ。説明長くてごめんね」
確かに説明は長かった。
でも、わたしは家にいる間は本を読んでいた。
もちろん新品ではない。
でも、おもしろい。
もっと読みたいと思うようになったの。
だから、こんな長~い説明でも、大丈夫。
「ううん。大丈夫」
その時、わたしでは気づかなかったけど、クラに言われてから気づいた。
「聖女様が笑いました!」
わたしは自分の顔をさわってみた。
「ほんとだ。笑ってる……」
ぽろり。
とうとうがまんしてた涙が溢れ出す。
神さまとクラがぎょっとした。
「ど、どうしたんだ!?説明が長かったのか!?」
「お、お腹がすいたんですか!?た、食べ物用意してきます!」
二人とも、慌てすぎだよ。
でも、なんでだろう。
「すっごく……うれしい!」
涙を流しながら、真っ赤な顔をしながら、わたしは笑ったんだ。
その時、
ぐ~~~……。
わたしは顔がかあっと熱くなった。
「そうか、食べ物をもらっていなかったんだったけな。よし!ご飯を食べよう!」
ご飯……!
「久しぶり……だな……!」
「こっちですよ!」
クラにつれられ、
「おっきい!」
おっきい建物に来た。
「食堂はこっちですよ~」
だけど、空腹のあまり、話を聞いておらず、部屋と逆方向の部屋に入ってしまった。
そこには、
「あ?なんだ?」
おっきいおおかみさんがいたの。
「人間の小娘じゃねぇか」
おおかみさんをじーっと見てると、
「お前、オレの声が聞こえるだろ」
話しかけて来た。
「うん。聞こえる」
「ふーん、じゃあ聖女か。まぁどっちにしろ、オレには関係ねぇからな」
その時、ルナのもふもふの心が覚醒した。
もふっ!
「うわっ!」
もふもふもふ……。
クラの時と同様、今のルナは何を言っても聞かない。
「お前……やめろ!」
ぽんっ!
その時、狼が人間の姿に変わった。
「………。」
「なんだよ?」
「はんらのにーちゃん」
「どこで覚えて来たそんな言葉」
『もふスキその② [カビ]を浄化できるもふクリーニング(小)を習得しました。』
「おおっ!」
2こめ!
「ルナさん、こんなとこにいたんですか。って、え?ルカじゃないですか。何やってるんですか?」
「何って、昼寝だ、昼寝…っていい加減やめろ!」
「ルカっておおかみ?」
「いいえ、フェンリルですよ」
「イメージと違う」
「ですよね」
「うっせえ」
「怖い……」
「そうだよ。ルカ君」
「なんでオレが悪者扱いに?」
ルカは突っ込みの達人!
「あーもう!めんどくせぇ!」
その時、ルカが消えた。
「どこ行ったの!?」
「多分屋根の上ですよ。昼寝しにいったんでしょう」
「そっか……」
もっともふりたかった……。
「がっかりしてもしょうがないですよ。ご飯食べにいきましょう!」
「そうだね」
気持ち変えよう……。
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