13話 元家族のその後
森を歩いている最中、二人の男がこそこそと話している。
母と父は楽しそうにその後を話す。
「………おい、聖女の気配が薄れていっているが」
「おい馬鹿、そんな事を言うな。……気のせいかもしれんぞ」
「いや、でも……」
「……やめろ」
一人の圧に思わず怯む。
その後は大人しくついて行くことしかできなかった。
「リリアは絶対に聖女よ、そうに決まってるわ」
「あぁ、そうだな。あんな小娘よりもリリアの方が何十倍も綺麗で可愛いさ」
「……………」
リリアは黙って歩くだけ。
何を思っているのだろうか。
「……つきました」
そこには大きな教会、そこそこ綺麗なようだ。
中に入ると、大きな水晶玉があった。
「こちらに触れていただけると、聖女かどうか分かります。聖女でしたら水晶玉が光ります」
リリアは真っすぐ水晶玉へと向かい、それを持った。
しかし何も起こらない。
両親は青い顔をする。
「何で!?絶対にリリアよ、リリアしかありえない!!」
「そうだ!……この水晶玉だ。水晶玉が壊れてるんだ!」
父親が声を荒げ、水晶玉を壊そうとする。
「やめて!!」
声の聞こえた方を見ると、涙目になったリリアが声を荒げていた。
「……何でお父さんとお母さんは全部違う人や物のせいにするの?私は、聖女になるなんて望んでない!……もう気づいてるんでしょ?聖女は私じゃなくて、ルナだってこと」
両親は顔を歪める。
現実を、認めたくなかったのだろう。
「……いいよ、私は。あなた達の子じゃなくなっても」
「「っ!?」」
何も言い返せず、二人はただ黙っていた。
「……こんな両親じゃ、あの子も大変だったろうな」
一人がぼそっと言う。
両親は黙って俯くだけだった。
そしてリリアは振り向き、男たちの方へと向かった。
その姿を、両親は何も言わなかった、言えなかった。
「……ごめんね、ルナ」
ぼそっと呟き、目を瞑った。