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痰カスと言う名のエッセイ

【痰カス】黒猫を殺す夢を見た

 なんてことのない世間話。



 この期に及んでまだ変な夢のレパートリーを増やすのかと若干萎えつつ、しかし妙な体験であった事には変わりないので久しぶりに記事を書こうと思う。



 こんにちは、くちです。



 まずはタイトルの夢について詳しく語りたい。そのために久しぶりの夢日記を付けたから、むしろこれだけ読んでくれたら別にいいくらいだ。



 以下本文。



 俺はどこかの廃墟に一人ぼっちだった。特に何も考えず立ち尽くしていると、そこに一匹の黒猫が現れたのだ。



 その猫は、俺の足元に擦り寄ってきて、にゃーだかみゃーだか分からない声で鳴いた。何とも愛くるしい仕草だったが、なぜか俺はその猫を捕まえると体を地面に押し付けて首を締めていた。



 緑色に光る猫の目が、どんどん充血してくる。次第に目尻から血が流れて、俺の手をゆっくりと濡らしていく。



 苦しそうな猫の呻き声に続き、生々しく骨が折れていく感触が指にあった。ボキリボキリと頚椎の支えを一本ずつ破壊して、猫は段々と黒い毛並みから赤錆色のような不気味な姿に変わっていった。



 俺は、謝りながらその猫の息の根を止めた。後に残ったのは、耳にこびり付いた歪な遺言の残響と、罪のない生き物を殺して痛めた良心だけだった。



 ……と、まぁこんな夢だったんだけど。



 意味が気になったので、俺は夢の意味を調べてみた。すると、驚くことにこの世界には猫を殺す夢を見ている人が多いようだ。



 もちろん、占いやスピリチュアルなパワーは信じていないし、そこに書いてある事を鵜呑みにする気は全くないにしろ。



 夢とは言え罪のない生き物を殺し、あまりにもリアリティのある正体不明な罪悪感を植え付けられたから、俺は幾つかの記事に目を通すことにした。



 実家で飼ってる猫も黒猫だし、無意味に殺したんじゃあいつも供養されないだろうからな。



 『猫とは女性の象徴であり、男性の夢にでてきた場合は女性問題の暗示です』



 ……はぁ。



『中でも、黒猫の場合は幸運のサインです。不吉なイメージを受けた場合は、何かしら猫(女性)が運ぶトラブルがあるハズです』



 ……へぇ。



『そして、猫を殺す夢で不吉なイメージを抱いた場合は、あなたに嫉妬したり迷惑を掛けてくる方が現れます。しかし、最終的には収束する暗示ですので立ち向かいましょう』



 ……うん。



 色々と言いたいことがあるのだが、これを信じるなら少なくとも二人以上の女が現れて俺に問題を押し付けた挙げ句最後にはハッピーエンドを迎えるということになる。



 何だか、俺がいっつも書いてるラブコメみたいだ。



 俺君、もしかして今度こそ統合失調症にでもかかって、本当に妄想と現実の区別がつかなくなってしまったのではないだろうか。



 ……なんて、今までの人生で導き出し続けてきた捻くれたアンサーを出す気など実は無い。



 少し前、とある理由で『無理矢理にでもポジティブになれ』と説教を受けたことで、今の俺は前向きに物事を見るクセをつけている。



 つまり、可愛げのない卑屈な逃走は無しだ。この夢は、非モテボッチのくちびる君にようやくヒロインが現れてくれるという暗示と捉えるしかないのだ。



 かの有名なココ・シャネルも『いつチャンスが訪れてもいいように準備しとけ』とか言ってたし。俺も来る瞬間のために、今よりはカッコよくなってみようと思ったりするのだ。



 ……あれ、それ言ったのってマリリン・モンローだっけ?



 どっちでもいいか。



 とはいえ、ポジティブに考えるキッカケなんてモノは結局本人の思い込みだ。人生にはただ出来事しかなくて、それをどう捉えたかによって幸か不幸かが決まるのだから。



 平凡な俺がドラマティックを生きるスタートラインに立ったのだと勘違いして、しばらくは人生を楽しんでみようと思ったという。



 俺のように飽き飽きしている人たちも、実は何か一つでマインドを切り替える事が出来るんじゃない?的な、本稿は少しいい方向へ向かうためのメソッドを伝えるエッセイなのでした。



 恐惶謹言。



 まぁ、もしもこの半年くらいに女関係で何かが起きたら、少し占いを信じてやってもいいかもな。

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