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10人の英雄  作者: 照山/松佳
第1章 
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第7話 コードネーム《S-5》 file 伊藤杏

悪戯者キャンサーとの戦闘を終え、S部隊への基地で装備品などを自室に置いた後、私は久しぶりに実家へ帰ってみようと思った。S部隊に入隊してから中々帰っていなかったため実家に顔を出すことにした。顔を見せないと心配するかと思ったため実家のインターホンに指を触れた。


「ただいま」


「お帰り杏。久しぶりだね」


「うん」


「さ、ご飯出来てるから食べちゃいなさい」


「分かった」


家に入ると数年ぶりに父やペットのインコ2匹と姉に会った。ちなみに家族のうち母は英雄ヒーローでは無いが父は5年前まで英雄ヒーローA部隊員として名古屋で活動していた。また、姉に関しては英雄ヒーローS部隊の事務員として活動しているため微能力だが時々私と顔を合わせている。


「杏お帰り。どうだい?英雄ヒーローの仕事は」


「楽しいけど大変なこともあるかな・・・でも隊の皆優しいし頑張るよ」


「そうだな!父さんの時もいろいろあったけどそれはそれで楽しかったぞ」


父が英雄ヒーロー活動時、当時の10人のS部隊は口論が多々みられた。しかし、それは仲間だからこそ出来る口論であるため口論が終われば仲の良いメンバーである。まだ私の隊にはそういったことは無いがおもいっきり喧嘩して仲を深めるのも一つの手なのかもしれない。


「それはそうと杏。能力の方はどうなんだ?」


「私の能力?順調に成長してるよ?」


「そっか。それなら良いんだ」


「それがどうしたの?」


「いや、何でもない」


父は私の能力のことを何か言いたげだった。しかしその先は何の話をされるか聞きたくなかったためスルーすることにした。だが、私は過去に自分の能力で悩まされたことがある。



中学に上がりたての頃、私は英雄ヒーローになりたいと考えていた。まだ中学に入ったばかりであるため進路のことは周りは考えていなかったため友達には言わなかったが心の中ではそのように考えていた。


そんなある日、友達と遊んでいると体が熱くなる感覚を覚えた。風邪かなと思いすぐに帰宅し、丁度午前で帰宅していた英雄ヒーローの父に事情を説明した。父は同じような能力を保有しているため私の話を真剣に聞いていた。


「風邪じゃないかな?」


「良いか杏。風邪じゃないのは確かだ。しかしお前は英雄ヒーローの器がある」


「というと?」


「簡単に言えば英雄ヒーローの素質つまり才能があるということだ。父さんの能力が発現した時に杏と同じ現象が起きたから問題はない。ただずっと続くとなると英雄ヒーロー本部へ行かなければならない。何かあったらすぐに教えてくれ」


「分かった」


母にも事情を説明し、英雄ヒーローS部隊の事務員をして帰ってきた姉にもこの事を話した。体の熱さは3日続いたがすぐに収まった。収まったことを報告後、本部へ生きこれまでの経緯を父は説明した。


「なるほど・・・体が熱くなる・・・能力が出たのかもしれません。研究室で調べることにしましょう」


「分かりました。さぁ杏、しっかり話を聞いてくるんだよ?」


「分かった」


その後私は研究員に連れられ脳波を測る機器のある部屋へと入った。脳波を測って能力を調べることが可能である。機器を装着し1時間経過を観察し結果報告を受けた。


「お疲れ様です杏さん。そして拓一さん。杏さんの脳波を調べたところ能力の発現が確認されました。気になる能力ですが杏さんの能力はかなり負担が大きい能力です」


「どういった能力なのですか?私の無重力透明ゼログラビティ・エアと同様の能力ですか?」


「近いのですが杏さんの能力は透明化エアチェンジャーと呼ばれる能力が確認されました。ですがこの能力は扱いが難しいことで有名です。全国には30人の英雄ヒーローがこの能力を保持していますがS部隊でやっと扱えるレベルです。便利な能力ではあるのですが危険も伴います。中学生の杏さんには難しい話かもしれませんが能力の発現が確認された以上能力を伸ばす必要があります。中途半端にしておくと命の危険があります。やってみませんか?そこは杏さんと拓一さんの判断に任せます」


【命の危険】【扱いが難しい】等という言葉が聞こえたが英雄ヒーローになりたい私にとっては絶好の機会であった。


「やります!頑張ってみます!」


「拓一さんの方は?」


「私は杏の意見を尊重します。自分の能力と近いため何かしらサポート出来たらと思っています」


「分かりました。では能力開発のため転校の準備のほどよろしくお願いします」


「了解です!」


その後私は英雄ヒーロー能力開発研究学校に転校することになった。この学校には特定の特殊能力エキストラスキルを持つ学生や扱いが難しい能力を持っている学生が集う学校に私は入ることになった。入学後、透明系能力を扱う13人の少人数のクラスに入り同じ境遇を持つクラスメイトとともに勉強していくことになった。


「このクラスに入ることになりました伊藤杏です!能力は透明化エアチェンジャーです!よろしくお願いします!」


自己紹介終了後は友達を作ったりして交友を深めた。また、翌日以降は授業へと移り透明系能力保持者に関する授業であったり、実際に能力を使って自分の実力がどれくらいあるのか確かめる実験を月曜日と金曜日に行ったりするなど多岐に渡る授業内容であった。


「(いつかS部隊の入ってこの能力を生かせるようにしていきたいな)」


それ以降、私は自分の能力を巧みに扱えるようになってきた。透明化エアチェンジャーを使って今後どのように自分と向き合っていくことが出来るのか楽しみで仕方なかった。また、応援してくれた家族の皆には大変感謝している。

次回9月25日投稿予定

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