第5話 コードネーム《S-3》 file 垣田森一
銀行強盗の悪戯者排除後、垣田は更なる能力のためトレーニングルームで一人筋トレをして自信の能力の能力妨害の上昇能力化と新能力の獲得のため心身を鍛えている最中である。
上昇能力化というのは英雄本部の能力開発部に問い合わせて申請後に本部から掲示された特訓メニューをこなし能力上昇テストに合格すれば自信の能力を上昇させることが可能である。また、新能力というのは自信が保持する能力の派生型を生み出すことが可能である。これも本部で申請して訓練後のテストでで合格すれば能力を派生させることが可能である。
「もっとたくさん能力の強化をして皆の役に立ちたいぞ!」
垣田は隊長でも副隊長のどちらでもないが英雄S部隊のムードメーカーとして、能力妨害保持者として迷惑をかける訳にはいかないのである。俺にとって英雄というのは特別なものだから。
「あの時助けられたからには今度は俺がいろんな人を助けなければ・・・!」
垣田が英雄を目指すきっかけは今でも忘れることはなかった。
英雄を志すきっかけとなったのは小学校6年の時の頃であった。当時の森一(以下俺)は元気一杯な小学生であった。しかし、友達と遊んでいたとき英雄となる転機が訪れた。
「この揺れ・・・地震?!」
友達と遊んでいたときに下から突き上げてくるかなり大きめな地震が発生した。突然の揺れであったため俺は慌ててしまった。また、5分おきに何度も何度も揺れが発生してきたため恐怖を感じ友達と解散し自宅へと戻っていった。
「(母さんは大丈夫だろうか・・・)」
地震発生中の移動は危険であるのは授業でも習ったため危険であることは十分承知の上であったが家族のことが優先であったため揺れの中走って自宅へと戻っていった。
「母さん!ただいま!地震大丈夫!?」
「・・・」
かろうじて自宅へと戻ることができ、母を呼んだが返事がなかった。それもそのはずで巨大地震によってあらゆる建物が崩壊していたため母が瓦礫に埋もれてしまっていた。
「森一!逃げなさい!津波が来るよ!」
俺を呼んだのは母ではなく父さんであった。父さんは俺に津波が来ることを伝えてくれたため逃げることにしたが津波はもうすぐそこまで迫っていた。
「父さんも・・・!父さんも逃げようよ!」
「俺は母さんを助けてから行く。だから森一、お前だけでも逃げてくれ!」
「わ・・・分かった!」
その後俺は背後に迫り来る津波から逃げようと必死に逃げたが巻き込まれてしまった。当時の俺はリレーでアンカーを努めるほど脚力には自信があったが津波はそれ以上の速さで俺を巻き込んだ。
「(やば・・・死ぬ・・・)」
走馬灯というのだろうか。それが見えた。父さんと母さんは大丈夫なのだろうか・・・。と考えながら目を閉じた。しかしその瞬間誰かに助けられた。意識が朦朧としてくるなか俺を助けてくれたのは誰かと必死に胸のバッチに目を凝らした。
「(英雄・・・)」
『こちら英雄S部隊の水上操作。要救助者を確認!』
英雄に助けられたことに安心して俺は再度目を閉じ、時間の経過を待った。俺は助けてくれた英雄の方にせめてありがとうの一言でも言いたいと思いながら病院のベットで目を開いた。
「やぁおはよう。大丈夫だったかな?」
「あなたは・・・英雄の方ですか!?助けてくれてありがとうございます!それで・・・父さんと母さんは・・・?」
「残念ながら君の父さんと母さんは・・・」
その一言で俺は察した。しかし、見つけてくれたことに大変感謝している。
「それで俺は今後どうなるんですか?」
「君の今後は英雄保護学校に行くことになった。そこで君は今回の地震と津波被害で独り身となった子達と一緒に学ぶことになると思うけど良いかな?」
英雄保護学校は何らかの事情で独り身となった子たちを保護する学校である。また、英雄育成学校への進学も可能である。助けてくれた英雄の方の提案に悩んだ末に決めた答えは
「分かりました・・・そこに行きたいと思います・・・。今回は本当に助けてくれてありがとうございます。今度は自分が助ける番です」
「お!じゃあ決まりだね!」
「もうひとつ良い?最後に名前教えて!」
「俺は英雄S部隊の繁信慶吾。保有能力は水上操作。君は?」
「垣田です!垣田森一です!これからよろしくお願いします!」
こうして自己紹介も終わり俺は県外の病室から繁信さんが部屋から出ていくのを見送った。その後退院し英雄保護学校の横浜校へ入学した。そこで俺は人を助けられるようなすごい英雄になることを誓った。
「これからは人を助けられる立場に・・・」
しかし、俺の得られた特殊能力は能力妨害であった。それでも俺はひたすらに努力し亡き父と母のためにも英雄として奮闘していくことを誓った。そして助けてくれた恩師の繁信さんにも。
次回9月17日投稿予定