第1話 英雄たち
時は現代日本、安定した治安で知られているこの国で悪戯者と呼ばれる集団が存在していた。悪戯者は凶悪な犯罪を犯す集団であり、1945年の日本の敗戦以降、あらゆる所で犯罪を繰り返していた。これに対抗するため日本政府は警察傘下の英雄部隊を設立した。
しかし、設立当初は名前がダサい等と否定的な意見が多かったが悪戯者からの驚異を排除してくれるなどの活躍が評価され英雄の知名度が上昇した。また、英雄部隊には武器の携行と交戦が許可されており、悪戯者に対抗している。
英雄部隊は英雄司令部とS~Dまでの部隊が存在し、S部隊は10人しかいないが厳しい訓練に耐えた精鋭である。A部隊は全国に駐屯している他、B部隊の教育を行っている。B部隊は戦闘には参加できないが主力のA部隊、S部隊から日々知見を得ている。C部隊では新人教育が行われており英雄としてどのように役割を果たしていくか学んでいく他、海外研修も行っている。そしてD部隊では負傷隊員のリハビリ等を行っている。
日本国・東京 英雄S部隊 男子部屋
この英雄S部隊には選ばれし10人の英雄が治安維持のため活動している。編成としては男子が5人、女子が5人と分けられている。
「おはよう!今日も良い天気だ!さぁ起きろ起きろ!トレーニングの時間だ!」
朝から元気が良いのはコードネーム《S-3》の垣田森一。彼は朝から活発的かつ部隊のムードメーカー的存在である。
「うるさいぞ森一~!朝はゆっくりさせてくれ~」
と目を覚ましたのはコードネーム《S-2》の松本京太。彼にとって朝は天敵であり寝坊も何回もしているが腕はピカ一の隊員である。
「おはよう森一、京太。朝はもう少し静かにしてくれ」
「そうだぞ~今日は休暇なのだからゆっくり休ませてくれ!」
「今日は女子と遊びいくぞ~!」
そう言って起きてきたのはコードネーム《S-1》このチームの隊長でもある結城靖治。そしてコードネーム《S-8》の福川孝。残りの一人がコードネーム《S-9》の武田直昭。この5人が英雄S部隊の男子メンバーである。
「今日はなにするんだ隊長」
「今日は全員で出掛けるぞ!女子部屋に突撃しよう!」
そして5人の獣たちが女子部屋に突撃した。しかし、突撃前に追い返された。予想していた展開に笑いが込み上げてきた。
「ハッハッハ!朝から元気があるなぁ!お前たち。今日は休暇だが何をするんだ?」
女子部屋の前で立ち尽くしているところを見た部隊司令官は5人のメンバーに問いかけたが色々と察したためスルーすることにした。
「まぁ楽しめよ~!折角の休暇なんだからよ~!」
「了解です司令!」
その後女子部屋から5人のメンバーが出てきた。コードネーム《S-4》の安達水崎、コードネーム《S-5》の伊藤杏、コードネーム《S-6》の月城萌、コードネーム《S-7》の高橋彩葉、コードネーム《S-10》の梶川さゆの5人が英雄S部隊の女子メンバーである。
「まったく~女の子の部屋に突撃するのやめようね?隊長なんだからしっかりしてよね!」
「ごめんよ~水崎~今日は全員で遊びに行く予定だけどどこ行きたい?」
「・・観戦・・・」
「何の?」
「野球が見たい!野球観戦!」
実をいうと安達らは情熱的な野球ファンである。普段は清楚な女子であるが野球場に行くと贔屓のチームを応援する際、大声を出して応援してしまうのである。
「よしじゃあ野球でも見に行くか!みんなはどうだ!」
「賛成だぜ隊長!」
その後10人は試合開始の時間までそれぞれトレーニングを行い、一日の日課を終わらせた。英雄S部隊は日課を毎日欠かさず行っている。その後準備を整え、野球の試合開始1時間前に球場へと向かった。
「さぁ行くぞ!」
「おー!」
すると悪戯者の出現を報せる警報が発せられた。土日祝日は決して悪戯者が現れるわけではないのである。
『東京都錦糸町にて凶悪犯罪を確認。S部隊は準備を整え現地に急行せよ』
「こちら《S-1》。了解。悪戯者が犯した犯罪は」
『《S-1》以下全隊員へ。錦糸町にて発生した悪戯者の犯罪は銀行強盗。人数は8人。人質を取って立て籠っている。警察官もすでに到着していると思われるが要請を受けた』
「了解。武装は確認されるか?」
『現在調査中だ。今後追加情報を伝える』
その後10人のメンバーは対悪戯者装備を装着しS専用戦闘車2両に5人ずつ乗車し出動した。
「野球観戦はまた今度で良い。残り何十試合もあるんだからさ。今我々がすべきことは警察との協力が必要だ」
「あぁ!さぁ行くぞ!」
10人の英雄はS専用戦闘車で現場へ急行した。英雄たちにとって悪戯者との交戦はこの国を平和と安定で満たす義務があると実感している。
次回9月1日投稿予定(中4日)