LⅩⅩⅩⅤ IAHEK (気配)
「〈遊霊・赫・邪神の加護〉」
〈邪神の加護〉は、〈武具装甲〉と〈身体装甲〉と〈紫電黒炎〉を、俺のみならず生物兵器とベルフェゴールとレイなど、任意の味方にも付与する術式。
最高神との戦いにおいて、〈遊霊・赫〉で力が足りるのかは謎でしかないが、この術式を使うか使わないかで今後大きな差が出ては困る。
元々の戦闘能力が高い生物兵器やベルフェゴールはともかく、レイに関しては素の能力に不安しかない。
元々彼女はロボットだ。
サタンファクトリーで製造しているロボットには魔力を生成する機能や魔法を使えるようにする機能は搭載されていない。
魔法が使えない彼女は拳や武器でのみしか攻撃を行えない。
俺が魔王城で魔力を込めたあの槍をレイに貸しているが、それでも戦力としては不安要素しかない。
例えば、ゲームで例えるならば。
強いキャラばかりを揃えたパーティで挑む小学1年生よりも、対して強くもないキャラでずる賢い立ち回りをするプロゲーマーの方が強いことだってある。
これは勝敗が、使うキャラではなく対戦している人の素の能力に依存しているからだ。
今回の例で言うと、レイがとてつもなく強い神器級の槍を持って最高神と戦っても最高神が木の枝一本で勝てる可能性があると言うことだ。
そんな戦力差も多少は縮めなければならない。
この先の戦いがどうなるかわからない以上備えておいて損はない。
「マモン………今ケリをつける。」
そう呟くと、俺は〈紫之迅槍〉を持って、〈聖神〉として最高神に突撃する。
最高神に飛びかかった俺は、最高神の右肩に向けて〈紫之迅槍〉を振りかざす。
〈遊霊・赫〉を使ってなんとか操作できる〈聖神〉の力をフルに使って最高神に斬りかかるも、弾かれて切先が変な方向に向かったせいで、少しかすり傷がついたぐらいのダメージしか入らなかった上、
すぐにその傷も黄金の光によって修復されてしまう。
「くそっこんなんじゃまともに戦えねぇだろ」
「愚か者が。謁見の場に立った瞬間即座に私に飛び掛かるとは。
創造主に対する恩は何も感じていないとしか思えない行動だ。」
「大事な親友を殺してくれた恩はここでしっかり返すつもりだけどな?」
俺は何度も連続で最高神に切り掛かるもロクなダメージを与えられない。
初撃と違い、すべての攻撃を弾かれるようなそんなイメージだ。
「おっさん!」
生物兵器の分裂による撹乱攻撃も、全てが最高神に跳ね返され、
「ベルフェゴール!」
ベルフェゴールの〈小槍虫〉でも攻撃が一切通らなかった。
「お前ら3人の気配など、その魂からダダ漏れているオーラでバレバレだ。」
3人。おそらくだがレイはもはや眼中にすらないと言いたいのだろう。
重々しい空気を壊すように、
「えーい!」
と最高神の胸に魔鋼製の槍を突き刺していたのは、
ーーーレイではなく、ベルフェゴールの術式で作られた〈自動守護〉だった。




