LⅩⅩⅩⅡ EKAKONOGIASEDOYSIAS(最初で最後の賭け)
〈博愛〉の試練の内容は、武道修練と聞いた。
ただ、ミカエルいわくそれは一本の枝をへし折るだけのものだという。
「おーい、ラミエルさーん?」
雲の橋を渡り、島に着くとそこには誰もいなかった。
「枝には耐久力を、腕には腕力を、足には脚力を、全身にはバランス能力を。」
背後からその声が聞こえた瞬間俺は槍を構え、振りかざされた枝を弾くようにして槍を降る。
恐らくラミエルであろう老人が構えているのは白い枝。
ただただ真っ白な枝だった。
枯れ葉一つ付いてないその枝の長さはおよそ1.5mほど。
太さが対してあるわけでもない。
「ワシがラミエルであることはわかっておるだろう?
試練内容もミカエルが言っておるのだろう。
とにかくこの枝をへし折れ。」
「〈遊霊・漆・武具装甲〉〈遊霊・漆・身体装甲〉〈紫電黒炎〉」
ラミエルが振りかざしたあの枝には〈紫之迅槍〉の純粋な攻撃力のみじゃ対抗できない。
遊霊の力を借りてでもどうかわからない。
本気でやらなければならない。
俺に対していかにも面倒くさそうな感じで話すラミエルに怒りを感じて、思いっきりその挑発に乗ってしまっていただけなのかもしれないが、
念には念を、という気持ちで俺は術式を発動させる。
武器の威力は“武具装甲”と“紫電黒炎”で。
身体能力は“身体装甲”と〈紫之迅槍〉で。
防御力は“身体装甲”で。
それぞれ完璧に強化された状態だった。
しかし、枝に切りかかった〈紫之迅槍〉は弾かれ、枝には傷一つ付いていない。
「ーーーこれを使うつもりはなかったがやっぱり使うしか無いのか。」
〈雷鳴響世之聖神〉の力を使おうとすれば自分の自我は失う。
これが失敗すればもう後はない。
これがこの戦いでの最初で最後の賭けになる。
とはいえ、先に〈遊霊・漆〉の術式で装甲をつけておけばある程度の補強はできるから単純な〈雷鳴響世之聖神〉の力より大きな力を発揮できるはずだ。
「〈遊霊・漆・武具装甲〉〈遊霊・漆・身体装甲〉〈紫電黒炎〉」
「ーー神器開放ッ!」
俺はすべてを解放した。そして再び枝に向かって突進する。
しかし、その力では枝を折ることができなかった。




