LⅩⅩⅩⅠ n*n/NNAMUKAYH SV NNAMUKAYH(百万VS百万/n*n)
結晶の破壊。
簡単そうで実に複雑な試練だ。
対角線が3cmほどのひし形をしているこの結晶を狙うのは百万VS百万の闘いなら簡単だったかもしれない。
相手は分身を駆使し自在に戦力の分配が可能であるという点を踏まえればこの戦いの戦力は百万VS百万/n*nだろう。
目的の達成はこの戦力差がある状況ではとても難しい。
斬撃が飛んできたら防ぐ、ただそれだけで精一杯で、隙なんて見つけようがない。
しかも相手は分身を使った移動術が使える。
俺と距離を取ってから俺を囲むように分身する。
その後分身を解除した際、相手は一体どこに集まるのかがわからない。
奇襲も、方向の読めない移動も自由自在だ。
それに加え、普段なら使える分身や〈百万の恩返し〉が使えないこちらとしては非常に厄介だ。
小僧や2代目魔王なんかよりは自分の能力に頼り切らず純粋な武力で勝負していると思いこんでいたがそうではないようだ。
あくまで俺は百万人分の力があるだけ。
その百万人の力を使うのではなく、それを分散することで小手先のテクニックとして活用していただけだった。
「それだったら………俺が小僧と特訓していたときのほうがまだまともな戦い方をしていたな」
こちらは単純な百万人分の戦力しか無いが、相手には戦力を分散するという手段が存在する。
「ただ、方法がないわけじゃない。」
相手が俺を囲み込んだ。
その瞬間、分かれた敵のうちの一体に向かって突進する。
そうすると相手は予想外の行動に戸惑いながら、俺のすぐ近くにいた分身に全てを集合させてしまう。
思いっきり剣を振るい、赤い結晶をめがけ渾身の一撃を決めた。
どこから来るかはわからなかったが、焦った時にこうやって集合してしまう、というのは予想していた行動だった。
ーーーパリンッ、
という音とともに割れたその結晶を合図にするようにして、
相手の体は粒子となって消えていくように散っていく。
試練達成の証を授けるためにか、天使が現れた。
「案外あっけなかった。」
という言葉に対し、
「そうかな?君は手練れだと思ってたが案外苦戦していたと思うけど。」
とラファエルは少しおちょくるような態度を取る。
「これが邪神相手の試練だったら俺よりも苦戦しただろう、とは思う。俺以上に能力に頼り切っている部分が多い連中だからな。」
というとラファエルは苦笑いし、
「まぁ、邪神は術式があるから強いだけだからな。」
と言う。
俺は剣を鞘にもどして、ラファエルとかいう天使から渡された証を手にし、中央の雲の方へ歩き出した。
ーーー魔王は大丈夫だろうが、小僧はうまくやっているんだろうか?




