Ⅶ IARUYSNUGOAM(魔王軍襲来)
「警報。警報。突然の襲撃を確認しました。相手は恐らく魔王軍であると推測します。」
何この警報万能すぎるだろ。
何?襲撃されただけでなくて敵がどんな人かっていう情報も教えてくれるとかすげぇな。
「ユウキ!起きて!戦うよ。」
「おぉ、今起きたとこだ。すぐ行く。」
そう言って地図と旅行用に用意していたカバンをさっと手に取ってTシャツに短パンといういかにも寝起きな状態で外に出る。
外に出てみたら、研究所の上空をリザードマンが飛んでいた。
もうすでに俺、レイ、コ●助、花丸、スザクの全員が研究所の外に避難が済んでいる。
「で、どうする?戦うのか?」
俺がそう言っている間にリザードマンは研究所に火を噴き、中庭は火事だが、今ここに消防を呼ぶわけにはいかない。消火すればどうにかなると思っていた。
「消火器…」
「ユウキ待って!」
リザードマンは研究所の建物に火を噴く。木製建築ではないはずなので燃えることはないと思っていたが完全に油断していた。
ただの火炎放射ではなく、研究所自体が大爆発したのだ。
「火薬でも仕込んでたのか?」そんな俺の想像を裏切るかのように、
「いや、私がニトログリセリン仕組んでたの。」
「「「………」」」
「てかなんでそんな危険物を仕込んでんだよ!研究所にはなかったはずだろ?」
「研究所にはなかったから作ったの。硫酸も硝酸もグリセリンも石鹸も全部ニトログリセリンの材料だよ?」
「は?まさか―――」
「そう。そのまさかだよ。ここを襲撃されて技術が盗まれたなんてことがあっては困るから仕込んでおいたの。襲撃されたら爆破するシステムを。」
「この研究室、まだ盗まれるような技術ないだろ」
やっぱりだめだ。この子はいつか民間・安全武力の閲兵式と称してサイレアでニトログリセリンと火●18みたいなICBMミサイルでも撃つのだろう。
「おいコラテメェ!随分と姑息な手を使ってくれたな…おかげで鎧が全部ボロボロじゃねぇか――」
その言葉を聞いて、
「突撃ウキ―!」
といって花丸はリザードマンのみぞおちに思いっきりグーパンチを決める。
リザードマンはみぞおちを抑えて痛みに必死に耐えている。
これほんとに魔王軍か?
「テメェほんと何考えてんだよ⁉せめて俺に最後まで話させろよ!そこの男と地図引き渡してくれさえすればおとなしく引くって言おうとしてたのに」
「もう一回突撃ウキ―!」
「痛っ!テメェマジ許さねぇ。」
「待てよ。魔法の地図と俺に何の用だよ?」