LⅩⅣ IAKATATONIKNOH(本気の闘い)
「本気で、やり合おう。」
ルシファーのその一言を聞いて俺は〈紫之迅槍〉を握る手を強くする。
ルシファーが持つ〈乱槍〉は恐らく神器だ。
神器は〈神格〉と呼ばれるオーラを放ち、そのオーラの濃さで神器の質もわかるのだが、
〈神格〉を感じ取れるのは神だけだから、生物兵器も〈紫之迅槍〉を神器だと思っていなかったのだろう。
〈神器〉は神にしか扱えないもので、槍使いでも神でもない生物兵器にはただのガラクタにしか見えないのだろうが、きっと〈乱槍〉にはとんでもない力が宿っている。
ルシファーは俺に向かって〈乱槍〉を振りかざす。
その軌道はとても乱雑で、暴れていた。
俺は〈鉄生成〉で作った鉄の柱で〈乱槍〉を受け止める。
「姑息な真似をするな!」
何度も、先程よりも暴れた軌道で〈乱槍〉は飛んでくる。
ーーーこの軌道は読めない。
そう思って俺は自分の周りに〈闇への贈り物〉を展開する。
乱雑な軌道で俺の近くに飛んで来た〈乱槍〉は、闇に吸い込まれることなく、闇を突き破って俺を襲う。
〈紫之迅槍〉で強化された機動力のおかげでなんとか〈乱槍〉を弾くことができた。
が、
「〈乱槍〉は闇魔法が効かない………か」
「あぁ。〈乱槍〉には強力な闇魔法耐性がある。サタン対策としては最高だろ?」
確かに厄介だ。攻撃の軌道は読みにくい。
〈紫之迅槍〉が無ければ防ぐことすら危ういレベルだ。
そんな攻撃を闇魔法で吸収できない、というのだ。
だったら仕方ない。
あまりの力とその代償が故に、最高神以外に使う気は無かったがこうなっては手段を選んでいられない。
あの奥の手を使うしかない。
究極、最高、至高…………
そんな言葉が似合う〈七人の邪神〉。
身体能力や頭脳が人間を超えているのはもちろん、神の駒を持ち独自の力を放つ事ができ、〈神器〉を扱えたり、人間を超えた最高の存在として崇められる邪神。
その中でも武力に秀でた俺だが、
ルシファーやレヴィアタンように、自分の組織の中に戦闘力を持つ幹部を持たなかった。
反乱を防ぐため、と言っているがそれが原因で自分の勢力の戦力は自分自身のみとなっていた。
そのため序列は第3位に留まっていたが、
隠していたこの能力を含めたら、彼は第一位かもしれない。
邪神から真なる神………伝説の存在とされる〈聖神〉にも届くかもしれない。
俺が切ろうとしているのはそう言えるレベルの奥の手なのだ。
「おっさん。頼みがある。ルシファーの神の駒の回収だけお願いできないか?
闇魔法、使えたよな?」
そうこっそり生物兵器に耳打ちすると、彼はため息を付いて
「何をする気がは知らんが、それぐらいならできるかもしれん。
ただ、ルシファーの〈傲慢〉の源となる"自信"を剥ぎ取るのは貴様の役目だぞ。」
生物兵器の言う通り、これができなければ全ては上手くいかない。
神の駒に魂を込められない状態でルシファーを殺す。その目的のために動いているのだから。
「あぁ任せろ。俺があいつの"自信"を剥ぎ取ってやる。その代わり、俺がどんな状況に陥っても神の駒を回収しろ。」
俺は大きく息を吸い、叫ぶように唱える。
「〈紫之迅槍〉。この神器は今我の祈りに応え覚醒す。神器開放ッ!」




