LⅤ EMIHONUKOHSOB(暴食の姫)
「貴様、ベルゼブブを〈神の魂が眠る石碑〉にはめ込むというのは、本気か?」
サタンが神になったというのに、その師匠でも年上でもある生物兵器は今までと何ら変わらない口調で会話する。
「あぁ。〈神の魂が眠る石碑〉の先、〈天界〉に行くためにすべての神の魂を〈神の魂が眠る石碑〉にはめ込む。」
それを聞いた生物兵器は不思議そうな表情で
「それじゃあ貴様の魂はどうするつもりだ?
まさか自害して、〈天界〉での目標を俺に託すなんて言い出さないだろうな?」
「いや、それはない。
それに関しては秘策があるから安心してくれて構わない。」
「ならいいが………」
「てかおっさん。一応言っとくけど、俺神だぜ?」
「だからどうした?貴様が何であろうと俺は知らん。」
俺は生物兵器の今までと変わらない態度を見て少し安心した。
「まぁそのままの方が俺は嬉しいけどなぁ…
正直な話、敬語とか使われまくってめっちゃ下手に出られるの、あれ苦手なんだよなぁ……」
「まだ貴様はそうだろうな。
なぜ貴様がそこまで人を牽引できるのかということに理由を上げるなら、貴様が謙虚だから、なのだろうしな。」
なんだかそう言われると照れるな………
なんか恥ずいし無理矢理にでも話題変えようかな。
「とにかく!
誰も異論がないなら出発する。暴食の姫が住む料理大国ヨールビアノへ!」
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細長いテーブルのいわゆるお誕生日席に座る1人の神。
そのテーブルには、1人で食べ切れるのが怪しい………というか100人いても食べ切れないであろう量の料理が並べられていた。
「うむ。今日の料理も、どれもうまそうだな。」
洋食、中華、フレンチ、イタリアン………
様々なジャンルの料理が並んでいるが、
「しかし最近飽きてきたな」
それを聞いた料理人は
「え?飽きた………?」
「ああそうだな。何かが足りないと思う。」
「何かが………足りない?」
「ロクロスのような美食大国を見習うのはいいが、一風変わったものが食いたいなぁ」
「一風変わった物………?」
「お主、さっきからわしの言ったことをちょこちょこ繰り返すのをやめろ。
文字数と時間の無駄じゃ」
「文字数……?」
「いや、なんでもない。
とにかく新しい料理をなにか考えよ。」
「はい………わかりました。」
とんだ無茶振りだな。と料理人は感じながらも、厨房に戻った。
彼女はテーブルに並べられた料理を食べ始める。
決して不味くはない。むしろ美味い。
だが何かが足りない。
飽きが来ないような何かが。
舌の肥えた彼女を楽しませるような斬新さが。
「"あの神"の様な奇抜な発想があれば面白いのだがな。」
そう言いながら彼女………〈暴食〉のベルゼブブは次の食事のメニューがどんなものかと心を踊らせた。




