ⅩⅩⅩⅤ NATAS(サタン)
俺は〈七人の邪神〉の1人だ。
「〈憤怒〉のサタン」。それが俺の呼び名だった。
自分に蓄積されていく怒りである”余憤”を根源にエネルギーを練り、攻撃力に変換することができる。
ロボット生産の最大手「サタンファクトリー」という企業の社長でかなりの資産家。
魔王こと、「〈強欲〉のマモン」と交友関係にあり、2人の怒りを買うのは死を表すともいわれていた。
そんな神が目覚めたのだ。アルカナの前で怒りを露わにして。
「管理者権限による強制シャットダウンを命令。
管理者モードアクセス専用の全機共通パスワードの実行を開始。 490465416894065409804564964644809640604164984065416404079970078875001910949017090198409640649406501」
俺は強制的にロボット4人のシャットダウンを行い、暴走を阻止する。
次に、俺は急いで秘書に連絡を取る。
「急な連絡ですまない。
今目覚めた。旅をしていた仲間のロボットが抵抗軍にハッキングされてしまった。
そいつを片付け次第、ロボットをそちらに引き渡す。修理してくれ。そちらに行くまでの間に受け入れ準備を整えろ。
後、俺は1週間以内に抵抗軍はもちろん、俺を殺した組織である革命軍も確実に潰す。」
この文面を急いで書き上げる。
これまでに要した時間はおよそ2秒。
まさに神のなす業だろう。
「ガル、あいつらをフロントのロビーに連れて避難しろ。」
と言ってあいつらを避難させる。
「おぉ、さすが邪神の1人。目覚めて間もないというのに…」
「アンドロイドがしゃべんじゃねぇよ」
アルカナ、いや。彼の操っていたロボットの首が一瞬にしてとんだ。
「いつか絶対、本体ごと殺してやる。逃げんな、なんて言わねぇよ。逃げても地の果てまで追いかけて殺す。
たとえ逃げた先がどこであろうとも。」
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俺は今、サタンファクトリ―のとある部屋で、修理部の長と話をしていた。
「この感じだと、ハッキング状態の解除に1か月は要します。そこから壊されたデータの復元などを行うと、4人同時に作業を行っても、半年ほどお時間をいただくことになってしまいます。」
「半年で足りるのか?」
「は、はい。必ずや半年で終わらせて――」
「時間は度外視で構わん。とにかく確実に終わらせろ。失敗は許さねぇ。何年かかってもいいから確実にやれ。」
「承知いたしました。では、失礼します。」
そういって彼は去っていった。
彼の手に落ちたロボットたちの前で、俺は宣言した。
「絶対、お前らが安全に生きられる世界を作る。それまで待っていてくれ。」
俺はそう言って、次の目的地を目指すことにした。
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その時魔王ことマモンは、サタンの目覚めに気づき、準備を進めていた。
ハンガーにかかった黒い革のコート。
テーブルに置かれたチェスの駒のようなもの。
そしてアルティア大陸だけではなく、この世界のすべてを描いた地図。
「サタン。また会えるのか。」
彼は珍しく微笑んだ。




