ⅩⅩⅧ OKOTOATEMISOWIJA(味を占めた男)
「実はドッキリだったんウキ!」
「吾輩たちが事前にギャラを払ってこいつを雇ったが、まさか一瞬でお前が勝ってしまうとは。」
「これでギャンブルを心の底から楽しんでもらおうと思ってねー」
「心の底から恐怖しかなかったぞ!」
「ってなわけで帰りますねー」
とか言って帰ろうとするカイルに俺は、「〈氷の槍〉」
心臓めがけて槍を突き刺して懸賞金1000万を約束通りきっちりいただいた。
「「「「「こいつやりやがった!」」」」」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
所持金4億1000万アルトは4100兆アルトにも膨れ上がった。
レイは「儲けた金は儲けた人のもの!私が大稼ぎしても1アルトもあげないからね?」と言っていたので、カイルを雇うギャラでほとんどの金を使いきってしまった彼らは大金持ちになった俺に羨望のまなざしを向けていた。
6回の試合の結果はというと、全員ヒーラーでダメージに耐え続けるDENさんの斬新すぎるプレイに対応できずに時間切れによるDENさんの防衛勝利が続いていた。
1回目は俺が少数派だったため100倍の金を手に入れたが、その先はほかの人もDENさんに投票し始めて、10倍どまりだった。
その時だった。次の挑戦者が現れた。
水の国の王女、アクアだ。
「アクア!?」
「私、このゲームに結構課金してるのよ。」
「こんなとこまで来て大会に出たかったのか?」
「いえ、あなたのギャンブル力を見に来たの。」
その後配られたパーティ表にはまだガチャで出てきたばかりのかなりの強キャラを持っていたようだ。
かなり課金しているという言葉は伊達ではないようだ。
「これはアクア様の勝利が決まったな。」「DENさんもさすがに勝てないだろ」
という観客の声が聞こえてくる。
「どうするのユウキ?って質問はしないよ?アクア様に全賭けでしょ?」
「は?何ふざけたこと言ってんだよDENさんに全賭けだ。」
「「「「「え?」」」」」
「ユウキ?さすがにそれで全財産消えたとかなったら私すっごく幻滅するよ?私ホントにユウキのこと嫌いになるかもよ?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「アクア様が負けた!?」
「でも使ってたの全員環境キャラだったろ?」
「いくら耐久戦が強かったDENさんでもこれはチートを疑わざるを得なくなってくるよな。」
観客はかなり困惑している様子だった。
まぁそれは無理もない話ではある。
環境キャラでパーティーを組んだはずなのにそれでも全員ヒーラーの耐久パーティに負けてしまう。それは確かに珍しいかもしれない。
ただそれは、アクアの使用したキャラすべてが完璧に育成されている場合に限った話なのだ。
このカジノでバトヒロをやっていたプレイヤーの多くは古くてもまだまだ使えるキャラを使っていたため、レベルはもちろんパーティ表には乗らない隠しステータスまでマックスまで育成した人が多かった。
じっくり育成する期間もある上、強化素材の入手手段も用意されているためマックス強化が前提だった。
が、彼女は恐らく違う。
俺は1回目の賭けが終わった後すぐにゲーム攻略サイトを覗きに行って環境キャラなどの確認をしていた。
が、最近のガチャで出たキャラクターはレベルアップはマックスまでできるのだが、強化素材が解禁されていない。
なぜなら3日後にあるイベントフェスで初めて解禁されるというように運営が公表している以上強化できていたらチーター以外の何物でもない。
つまりまともにプレイしていればパーティー表に乗らない隠しステータスを強化することができないのだ。
つまり、今のパーティではDENさんの耐久パーティが優勢といえるだろう。
「これで全財産が尽きたー」
「アクア様を信じていたのに」
「攻略サイト見とくんだった…」
という声が聞こえてくるのに対し俺は、
「所持金の単位京とかあんま聞かねぇっていうか聞いたことねぇな」
「41京アルトもあればすっごくおっきな会社作れるんじゃない?」
「いや、俺は毎日高級ホテルのスイートルームで生活する。飯は毎日出前でいい。毎日アニメ見ながらゲームする毎日を送ればいい。
課金石なんて腐るほど買えるし、死ぬまでニートでいいんだよ俺は。」
「なんか大金持ちになったのに今までの生活をちょっと良くするぐらいで、大きく中身変わらないんだね!なんか素敵!やっぱり私惚れ直したかも!ユウキ、結婚しよっか」
「なぁガル。財産目当てにしか見えないのは俺だけか?」
「俺をあんな風に助けてくれた男はこんな奴じゃなかった」
「どうするウキ?ユウキがとんでもない穀潰しになったウキ。そしてレイがもう取り返しのつかない方向に走ってるウキ」
「吾輩にはもうどうにもできん。」
「ほっとけばいいと思う。」
「お前ら結構辛辣なこと言うなぁ!」




