LⅩⅩⅩⅩⅧ Ⅷ NERIHSONUOAM (魔王の試練 Ⅷ)
ーーードルスヘルム。
ベルフェゴールがかつて統治し、今はサタンの支配下にある国。
ベルフェゴールが国のトップとしての仕事を怠り過ぎたため、国として機能しなくなった国。
ベルフェゴールのことを、国民全員が恨んだ国。
ベルフェゴールが仕事をしなさすぎて、サタンですら手をつけられなくなった国。
つまりは、ベルフェゴールのせいで荒廃した、今はもうない『かつてあった国』。
この国で見た光景も、起きた出来事も、あまり明確な記録は残っていない。
ただ、一つ確実に言えるのは、ドルスヘルムでの生活、あるいはその子孫たちの生活は『とても苦しいものだった』ただそれだけだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
俺目の前にあるのは、あの国の景色。
枯れ果てた農作物、
舗装されていない道路、
折れた電柱、
下水が吹き出すマンホール、
ツタがからんでもう木材など見えなくなり、ツタが支えてるようにして生きている家………
そして、異常なまでにやせ細った妻と娘。
俺には妻と娘がいた。
俺はドルスヘルムの城に仕えていたため、食べ物に困ることはなかった。
国王は農民からの搾取を行い、農民の食事はままならないのに対し、自分はたらふく飯を食い、城の者にもある程度の食事は用意していた。
ただ、城に仕えていた者の家族はそうはいかず、人とは思えないほどやせ細った者が多い。
しかし、家族に食事を与えることはできない。
その結果、家族からは恨まれる。
家族に給料を渡してはいるものの、農民も生活のため、ごくわずかな米を法外な値段で売っているためすぐ金がなくなってしまう。
そして、給料を持って帰ってきたザガンの目の前には、
彼の妻と娘が飢餓に苦しみ横たわっていた。
もう息をしていない。
その光景を見て気がついた。
ーーーこの景色、前も見たことがある。




