LⅩⅩⅩⅩⅤ ORIHS・LARTSA(〈遊霊・白銀〉)
「〈遊霊・白銀・拡散〉」
目の前に見えたのは、雪のように白い狼が見せた銀世界で、
その白い狼たちは、スライムを喰い散らかして、
ーーー白銀のように輝く世界を見せた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「あぁ……白銀の方の力使うのは初めてだったけど……やっぱ神の駒変わると感覚も変わるのかな?
なんかちょっと違うんだよなぁ、漆とか赫の時とは………」
首をゴキゴキ鳴らしながら、そこにいた規格外は何やらボソボソと何かを呟いている。
「あ、そっちは無事か?青の増え鬼……スライムに食われてたりするやついねぇよな?一応全員助けたつもりだが……」
そう言いながらその規格外は、こちらを向いて気さくに話しかけてくる。
「あ、あぁ……ありがとう。誰一人欠けず生き残ってる……」
もうほとんど頭は回っていなかった。
突然の出来事すぎて何が起きているのか理解が追いつかない。
ーーー狼を使役する男。
ーーー黒いコート。
ーーー握られている紫色の槍。
ーーー背中に連なる雷鼓
ーーー黄金に輝く体を包む赤い狼
全てを理解した時、ザガンは完全に終わりを確信した。
魔王の試練のルールの一つには、「挑戦者は、神の手助けを得てはならない」と言うルールが存在する。
今回はベルフェゴールの状況確認に来たはずのサタンに突然助けられてしまったせいで自分たちは試練にもう一度挑むことすらできなくなってしまう。
それを回避するには、「仮に、故意に神と協力したわけではない場合、その神を振り切ることができれば試練を継続可能。ただし、神に捕まった場合は再挑戦の権利はないものとする。」というルールを使うしか道は残されていない。
ザガンは叫ぶ。
「撤退!撤退!神の駒と俺の安全を最優先に動け!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その瞬間、ダンジョン内の一角にとてつもない煙が立ちこめる。
「煙幕?魂の流れを追えばザガンだけならーーー」
と、俺は神の駒に誘導される形で、神の駒を持つ別動隊を捕え、神の駒を回収する。
ーーーただ、何故そもそもこいつらは神の駒を持っているんだ?
明らかに性能は劣化品のように見える。
神の駒は内側が空洞になっており、そこに術式が彫られているのだが、材料になっている石が硬すぎて最高神が神の駒を生み出してから追加で術式を彫ったり術式を消したりということはできない仕組みになっている。
ただこの神の駒は材質から術式まで何もかもがおかしい。
まるで偽造されたかのような違和感を感じる。
「蠍部隊か。くだらないことを」
そういって神の駒を眺めている間に飛んできた謎の鳥に、神の駒は横取りされてザガンが逃げたであろう方向に向かって鳥は進んでいく。
「『大罪の余韻』か。あいつらもなかなかやるな。
ベルフェゴールの邪魔をするなら潰そうかと思ったが、こいつらは潰すのも面倒だし……まぁこれも試練の一環ってことにするか。
邪神のあいつならダンジョンそのものは普通にクリアしそうだし。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そう言って、規格外はダンジョンを去って行ったのであった。




