LⅩⅩⅩⅩⅣ Ⅴ NERIHSONUOAM (魔王の試練 Ⅴ)
ーーー"青の増え鬼"
彼は、彼らは、このダンジョンを訪れる人間を捕食し養分とし、切られることで増殖する。
その増殖したスライムがまた人間を食べ………無限に増殖していくのがこのスライム。
これが世に解き放たれたらその時は諦めるしかないとしか言えないような本当に危険なモンスターだ。
しかも、生物兵器を飲み込まれたら分身能力を手に入れ、二度と討伐不可能なモンスターになる。
おそらく生物兵器は分身を飲み込まれただけなら分身の力を無理やり取り戻してしまいそうだが、それ以上に能力を奪われるという事実が怖すぎる。
「生物兵器、おそらくスライムは俺のことそっちのけでお前の能力目当てで殴りかかってくる。
お前の能力を奪われたらもうこいつは二度と倒せねーぞ。」
「だが魔王、お前の神の駒も多少警戒されている。
できる限り、小槍虫以外の術式は避けたほうがいい。より狙われるリスクが高まるぞ」
それだけ言うと、2人はできるだけ攻撃しないで、あくまで避けることだけを考えて戦闘を開始する。
生物兵器は酸を避けつつスライムにその酸を当てさせることで増やしたスライムを少しずつ削り、
ベルフェゴールはコフライで牽制を行いつつ、攻撃は一撃も与えず、そのまま酸を避け続ける。
着実にスライムが減ってきてーーー残りは1匹。
「おい生物兵器ーーー」
「おい魔王ーーー」
「「このラスト1体、確実に仕留めるぞ」」
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〈怠惰座〉も、戦力は0ではない。
ただ、あの国に資源はそんなになかったのだ。
農作業に使っていた桑や、料理に使っていた大きめの包丁なんかしか武器にならないのだ。
ただ、『大罪の余韻』の他の座に比べて圧倒的に戦力が足りていない………というわけでもなく
荒れ果てたあの国で生き延びた彼らは、G並の生存力を持っている。
それに、桑や包丁だって、扱い方に慣れていればうまく使うことだってできる。
とはいえ、分裂への対処法が無い今、戦い続けてしまえばーーー
「ザガン様!囲まれてしまいました!!」
「な、そんな馬鹿な………」
絶望し、もう全てを諦めかけた〈怠惰座〉だったが………
「あいつの様子、チラッと見に来ただけなんだけどなぁ………
ま、目の前で死なれたら目覚め悪いし!」
そんな声が聞こえた気がした。
気のせいだと割り切り、無視しようとしたその時ーーー
「〈遊霊・白銀・拡散〉」
目の前に見えたのは、雪のように白い狼が見せた銀世界で、
その白い狼たちは、スライムを喰い散らかして、
ーーー白銀のように輝く世界を見せた。




