89話 9/15 タイラー視点 魔法使いに金を出さないクランもある、やっぱり魔法は威力だよな
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夜はリスクが高い。だけどリターンも多い。まだ俺のクランはクラン同士合同では行かない。合同で行くのは10月に入ってからだ。だって、まだ500人も前衛がいるからな。
夜で500人ってのは少ないかもしれない。それでもやるんだよ。組んだら報酬が減るじゃないか。分けなければならないからな。それは嫌だから。折角倒しても半分近く持っていかれるんだ。まだ焦るような時期じゃないって事なんだよ。
クランリーダーの考えを正確に解っているわけではない。でもまだまだやれると信じているし、クランの士気も高い。それなのに合同の話は持ってこないだろう。
どうせ戦うのであれば、がっつりと儲けたいと思うし、魔法の金額だってあるんだ。魔法使いを多く抱えるという事は、それくらいの経費は必要なんだよ。
俺だってある程度の予算は使っていいと言われているしな。無駄遣いはしないつもりではいるが、魔法を探すのも仕事のうちなんだよ。魔法は必要経費だと言ってくれないと困ってしまう。
自分の財布から出せと言われる様なクランであれば辞めているな。魔法使いが居ないクランもあるが、そういう所で損をしているクランもあるってことだよ。
魔法には金がかかる。膨大とまでは行かないまでも、財布にはダメージになる。それを自費負担でと言われると厳しい。色々と出来なくなってしまう。
今のクランは共用費の中から魔法代が出るから助かってる。まあそうでもしないと魔法使いが寄り付かないって言うのもあるんだろうけどな。
魔法使いの有無は戦局を左右する。特に今の時期なんかは、ワイルドボアの突撃を止められるのかどうかが勝負の分かれ目になってくる。
前衛だけなら突撃を躱して、側面からの攻撃をして、乱戦に持っていくのがセオリーだ。魔法使いが居ればまた違った戦い方になってくるんだけどな。
魔法使いの出方で、作戦が変わる。魔法使いが突撃を止めるか止めないかというのが分岐点だ。突撃を止められなかった場合は前衛だけの時と変わらないからな。
だからまずは魔法使いは、突撃を止めることを考えないといけない。どんな魔法でも良いから突撃を止めないといけない。突撃を止めるためには威力のある魔法が必要だ。
威力は絶対だ。突撃を止められる威力は絶対に必要なんだ。魔法が当たっても、突撃が止まらなければ意味がない。弱りはするが、それだけだからな。
だから魔法はまずは威力が大事なんだ。確実に相手を止められるだけの威力が必要なんだよ。俺はそう言う魔法を好んで使っている。
人それぞれだからな。正直な所、突撃を止められない魔法に意味なんてないと思っているが、それは言わない。言って喧嘩になったことは既にあるからな。
信念は曲げられないんだ。簡単にはな。俺の場合は威力があればいい。たとえどんな魔法で有っても、威力が高ければそれでいい。突撃を止められなければ前衛に迷惑がかかるからな。
前衛としては、突撃を止めた方が戦いやすいに決まっているじゃないか。俺は前衛をしたことが無いけど、躱して側面を攻撃するよりは相手を止めて、正面から殴り合った方が楽じゃないか。それで合っていると思うんだよな。前衛が楽が出来なければ、数は減っていかないんだし。
前衛ははっきり言ってしまうと、消耗品と同じなんだよ。怪我をすれば置いて行かないといけないし、死んでしまえばそれまでだ。誰かが代わりにならないといけない。
前衛だってそれは嫌だろう? だから魔法使いは前衛を残すために魔法を使うんだ。3人で合わせて突撃を止められればそれでいい。何も1人で止めろとは言わないからな。
1人で止められるのであれば、それはそれでいい。だが、そこまでの威力がある魔法は中々に無い。どうしても範囲や効果を考えると、1人では止められない。それは解っている。
解っているが、例の魔法屋には1人で止められそうな魔法があった。凄い威力の魔法があった。これなら1人で殆どの突撃を止められる。そんな気がしている。
全部は無理だ。無理なんだよ。魔法で全ての突撃を止めるのは殆ど不可能に近い。前を止めたら後ろは突っ込んでくるだけだから止まるんだけど、それでも横を逸れると止まらないからな。
そう言う場合は諦める他無い。突撃を止めるための大楯使いがいるんだから、その人に任せればいい。そう言う役割の人だっているんだよ。
そうでなければ、魔法使いが居なければ、魔物を狩れないって事になるからな。前衛には色んな役割の人がいるんだよ。全部含めて前衛って言うけどさ。
さて、配置に付いたぞ。ここからはいつ来てもおかしくないんだ。夜の平原を甘く見たらたちまち場の空気に飲まれてしまう。それは避けないといけない。
特に俺は一番最初に魔法を使うからな。3人2組のローテーションだ。俺は最初の組みだから。何時でも使えるようにスクロールを構えていないといけないんだよ。
「来たぞ! ワイルドボア110!」
「戦闘準備! 魔法使いは頼むぞ!」
「任せろ!『ドキトルチアル。ドレテユ。デ。ダレツヒジュ。ミミブテルリエ。フェラーキト。カカログエディクル。トレ』」
「やるぜ!『大空に羽ばたけ怪鳥。夏嵐は天幕を吹き飛ばす。空は一面の青空。下降気流の最下流。全てを吹き飛ばす風の刃』」
「行くぜ!『大熊の風爪。乾坤一擲。大車輪の轍』」
形はレッドベアだからな。これは結構な速度が出ている。まあ着弾は一番遅いがな。風刃、矢、レッドベアの順だ。速度は仕方がない。問題は威力だからな。
風刃では止まらない。矢で少しは減速はした。そしてレッドベアがワイルドボアを吹き飛ばした。後ろのワイルドボアごと後ろへ吹き飛ばす。
そうだよ。これだよこれ。この威力。やっぱり魔法は威力なんだよ。ワイルドボアの突撃を殆ど止めてしまったあの威力。これが俺が求めてる魔法だよ。
威力が強いとやっぱり良いな。それだけで有利になる。これが半額だって言うんだからまとめ買いしたいよな。他の人がどう思うかは知らないが、魔法はやっぱり威力だよ。今回で再確認したな。




