85話 9/15 腐肉病の話、逃げるための魔法は必要なさそう
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「そう言うこったな。要は特効薬になるような薬草を探して儲けているわけだ。まあそれも薬草の知識があるおかげだがね。見つけるのは得意なんだよ」
「そう言う事か。だが、それでは市場が飽和するだろう? 幾ら高い薬だからと言っても腐肉病に罹るのは極稀だ。それに対処する形でいれば、薬は余るだろう?」
「腐肉病の薬は使用期限が短いんだ。薬草を採取してから3日しか持たねえ。腐肉病に罹ったからと言って、その後に薬草を探しに行っても見つからない可能性があるだろう? だから常に腐肉病の薬については買取がされるんだ。貴族が金を出すからな」
「ああ、想像に難くない。腐肉病で死んだと言われれば、貴族社会で後ろ指を指されかねん。基本的には戦死か老衰しか許されていないのが貴族社会だからな」
そうなんだよな。病死であっても老衰とするのが貴族社会だ。ただ、腐肉病は一目で解ってしまうからな。大抵は激痛に耐えられずに死ぬ。だから顔が歪むんだよな。
死に顔を人前に見せないのは戦死以外には許されない。貴族の葬式はややこしいんだよ。私は別に貴族から降りると解っていたのでどうでもいいなと思いながら勉強はしていたが、面倒この上ない。
その時に歪んだ顔を見られたらどうなるのか。当然噂になるし、弱みになる。ただの憤死だったとしても、腐肉病で死んだのではと思われてしまう。
そんな事は死んでも嫌だからこそ、腐肉病の薬が高値で売れるわけだ。死んでから侮蔑されるのが嫌だからという貴族らしい理由でな。そうか。その薬の効果期間がそんなに短かったのか。
「クランに入っていたら報酬も山分けだろう? そんなのは嫌だからな。がっつりと稼いでやるためにもパーティーで活動しているんだからな」
「なる程な。腐肉病の特効薬を探すからか。しかし、戦闘になることもあるだろう? 森だと特にだな。そう言う場合はどうしているんだ?」
「そこは俺ら斥候の腕の見せ所よ。戦ったら死ぬと思っても良いんだ。戦闘はなるべく避ける。まあ撤退戦も何度かしたことがあるが、基本的には逃げに徹する。これが基本だな」
「そうか。逃げるための斥候か。普通のクランとは真逆な訳だ。それには当然違う技術を要求されると。そう言う事か」
逃げるための斥候は貴重かもしれない。普通は戦闘に辿り着くための斥候なんだよ。逃げるための斥候は恐らくだが、少ないだろう。
逃げる技術と追う技術。これは正反対の技術だ。この斥候はその少数の技術を得ているからこそ、パーティーにも居られるんだろうな。パーティーは荷物は不用だろうからな。
「逃げるための斥候は少ないと思うぜ。特にこの都市ではな。追う方が稼げると思っている奴らが多い中で、俺らは逃げながら成果を上げているんだ。逃げるのに魔法使いは必要ないからな」
「だろうな。逃げるための魔法がない以上はその通りだ。……逃げるための魔法も作れないことは無いが、魔法使いである必要性が無いからな」
「そう言う事だ。魔法使いの大半が、動きが遅え。中には早い奴もいるが、それなら斥候の方が確実だな。見つからないように動くのが一番良いんだよ」
「お待たせしました。肉大盛りの辛み増し増しです」
魔法が必要ではないと。逃げるための魔法も作れないことは無い。魔法陣魔法であれば作れるだろう。文字列閥も作れるだろうが、それは言わないでおく。
「注文を頼む。おまかせを1つ頼む。これでな」
「解りました。おまかせ1つ!」
「そう言う訳だ。魔法屋には悪いかもしれないが、俺らには魔法は必要ねえ。魔法が必要になる時は死ぬ時だ。俺らの戦いはそう言う戦いだ」
「なる程な。勉強になったよ。長々と話させて悪かったな」
「別に良いって事よ。クランに入らないのにもそれなりの理由ってもんがあるんだよ」
クランは大きければ大きい方がいい。それについては間違っていない。だが、こうやって特定の分野に特化すると少ない方が有利になる場合もあるのか。その点は勉強になった。
魔法屋として何か活かせるかと言われたら難しい所ではある。逃げるための魔法を用意することはまず無いからな。大抵は戦いたいから追いかけるんだから。
逃げる為の魔法と言っても色々と思い付くがね。匂いを消す魔法に気配を消す魔法、姿を隠す魔法に大きな光と音を放つ魔法。熱を遮断する魔法なんてものも考えられる。
魔物に因って何を使うのかの判断が試される訳か。それは確かに魔法使いの仕事ではない気がする。斥候の役割だよな。それが逃げるための斥候の役割だもんな。
魔法で解決とはいかなさそうだな。何事にも限界がある。魔法で出来る事と出来ない事がある。逃げるために出来る事はあるが、判断が試される上に即応性がない。それは駄目だろう。
なんにしても、新しい魔法の発見とはいかないな。文字列閥には真似をされそうな感じではあるがね。文字列閥は詠唱がネックなだけで、どんな魔法でも作れるからな。
魔法陣魔法は文字列閥と似たところがあるからな。似て非なるものなんだがね。形が特殊なことも、文字列閥に取っては無いも同じ。形を指定してしまえば済むのだよな。
デメリットを真似する必要があるのかと言われれば無いがね。形が魔物であると言うのはデメリットでしか無いからな。形が変えられないと言う点では欠陥のある魔法なのだよ。
欠陥の無い魔法の作り方があるのかと言いたいが。全てを指定できて、かつ詠唱が単純な物が果たしてあるのかと言ったところだ。そんな魔法は無いのではないかと思う訳なのだが。
まあなんにしても勉強にはなった。クランを組まない理由も真っ当な理由があるのだな。その辺はかなり勉強になった。魔法とは殆ど関係なかったがね。




