84話 9/15 忙しくなってくれた方が良いと思うようになった、パーティーの冒険者
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お、空いてるじゃん。漸く見つけたぞ。空席率が少なくて羨ましいですね。私の店は偶にしか人が来ないからな。偶にしか来なくて良いんだがね。多いと仕事が回らない。
スクロールの作成が追いつかないからな。兎に角、人が来すぎるとスクロールが足らなくなるんだよ。初級で34枚しか作れないんだからな。魔力量的に。
ただ、今後は限界まで魔法を作っていきたいよな。今まではちょっと限界まで忙しいのはとも思っていたんだが、少しばかり考え方が変わってきたところではある。
客の数は少しずつだが、増えつつある。毎日誰か来るといった感じで、最低1つは魔法が売れて行っている。勿論試用期間という事も忘れてはいけないが、店が軌道に乗りつつあるのを感じる。
店が軌道に乗るのは大変嬉しいことだが、これはまあ、私の魔力の色に助けられたな。色が付いていないからこその今の売上なんだ。色がついていたらまだまだ先だっただろうな。
今の調子に合わせて魔法を売っていけば、確実に並以上の魔法屋になれる。それは確かだろう。癖のない魔法が売りなんだから。私の店の売りはそこなんだよ。結局はな。
癖が無いから魔法が売れる。魔法の癖も多少はあるが、使える魔法として認知されている。試用してもらえているって事はそう言う事だろう。
ここからは詠唱の好みや、威力、効果、その他諸々を比べられるだろう。それでも負けないつもりではいる。使用者に合わせて弄っていける魔法陣魔法の強みを活かせる。
形が気に入らないと言われれば、それまでなんだがね。形だけは変えられないんだよな。いや、変える方法はあるんだが、威力や数、範囲が変わってくるからな。それはなるべく避けたい所ではある。
魔法陣魔法を売り込むのに、売りが弱いのが難点だが、仕方がない。こればかりはどうしようもないんだよ。売りになる魔法が開発出来ていないんだからな。売りになる魔法が在れば、話がもっと発展していくんだが。
兎も角、私の魔法屋はある程度成功のラインに乗り始めたと考えても大丈夫のはずだ。そうであれば、今まで以上に魔法を作っていかないといけない。在庫がこれでは足りないというラインにまで店を持っていきたいところではある。
「前、邪魔をするぞ」
「ああ、良いぜ」
「冒険者か?」
「おお? おお、そうだが、どうした?」
「何、魔法屋を始めてな。魔法屋の宣伝をしているんだよ。クランに魔法使いは居ないか?」
当面の目標は、店に在庫が無くなるまで魔法を売ることだ。売って売って売りまくる。そのための宣伝は欠かさない。在庫管理をしなければならないくらいには売り上げを伸ばしていくぞ。
「すまんな。そもそもクランに入っていないんだ。パーティーでやってるからな」
「……珍しいな。クランに所属をしていないのか。という事は、フリーで動いているのか?」
「まあそうだな。討伐がメインじゃ無いんだ。俺らのパーティーは薬草採取に特化してるんだ。基本的には北西の森で活動している。戦闘を出来るのは3人しか居ないな。その中に魔法使いは居ない」
「すまない。パーティーで動く冒険者と出会ったのは初めてでな。色々と聞かせて貰っても良いか? クランに入らないのが不思議に思っているんだ」
かなり珍しいとまではいかないまでにはいるんだが、珍しいことには変わりない。基本的にはクランに入り、そこで活動をするのが普通なんだが、偶にこういう人がいるんだよ。
「ああ、いいぜ。俺らの所のパーティーは6人だな。俺は斥候だ。戦闘が出来るのは、さっきも言ったように3人。斥候も3人だ。それでパーティーを組んでいる」
「なる程な。そういう組み合わせになるのか。それで? 薬草採取専門と言ったな? 森の中での採取だけで食っていけるものなのか?」
「それについては腕次第だな。どれだけ薬草の知識があるのかに因って変わってくる所だからな。俺らはそれで食えるだけの費用を稼げているぜ。戦闘と違って危険は少ないしな」
「薬草はそこまでの値段がするのか? もう少し買い叩かれる気がしていたんだが」
薬草と言っても種類は沢山あるだろうが、戦闘職と比べてもそこまでの収入が上がるとは思えないんだがな。必要なのは解る。薬草採取の冒険者が居なくなると困るのは解るんだ。だからと言って薬草にそこまでの金を出すのかという話だな。
「普通はそう思うだろうな。現にクランで動いている所は買い叩かれているだろうな」
「薬草採取のクランもあるという事か。そこに入っていないという事はそれ以上の収入を得るだけの手段があると考えても良い訳だな?」
「そう言うこったな。汎用性の高い薬草は必要だが、言い方を変えれば、何処にでもあるんだよ。俺らが探しているのは風土病に効く薬草だ。この都市にもあるだろう?」
「ああ、腐肉病か。確かにあれの薬は手が出ない程には高いが、そうかあれを狙っているのか」
腐肉病はこの土地の風土病だ。発症する人間がそもそも少ないからな。余り警戒はされていないんだが。何故か貴族がよく罹る病気と知られている。……私もそれについては調べてあるが。
感染源が食べ物の可能性が高い病気なんだよ。発症までの潜伏期間がかなり長い病気なんだろうと思う。あくまでも予想でしか無いんだがな。罹る人が高齢者に多いという時点で察しが付く。
平民の平均寿命は40歳かそこらへんだな。子供が死ぬことが多いから仕方がないんだが、これくらいの平均年齢なんだよ。一番生きても60かそこらじゃないのか?
対する貴族は80過ぎ位までは生きる。平均でも65歳位じゃないか? それくらいに平均寿命が違うんだ。そして、貴族の高齢者にその病気になることが多いと。
風土病の要因は環境か食べ物が殆どだ。環境の可能性も捨てきれないんだが、恐らくは食べ物だと思っている。解らんがね。まともに研究をした訳では無いからな。
因みに腐肉病は肌の一部が緑色になるのが初期症状。それから5日程で肌が紫色になっていき、7日目位から腐って落ちていくという病気だ。治療方法は肌が紫色になる前に薬を服用することとなっている。紫色になってしまったらお終いだ。
激痛を伴う病気らしい。緑から紫になる過程で激痛が走り、腐肉になる頃には、激痛の余りに死ぬものもいるという。普通の薬では治せないんだ。




