68話 9/14 使役魔法は無理だろうと思う、8人目の客は大口になりそうだ
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店番をしながら考えてはいるんだけどなあ。何かいい魔法は無い物なのか。無いと簡単に切り捨てるのは本当に簡単なんだが、それだと私の店の売りが無くなってしまうことになる。
鑑定魔法が上手くいってくれると嬉しいのだが、鑑定は鑑定なんだよ。一度見たら暫くは使わないでも良いだろう? 直ぐに成果が現れる訳でもなし。その度に中銀貨1枚を消費するのは馬鹿らしい。
定期的に売れて、且つ、他店に無い物が望ましい訳だ。何もありませんでしたでは今後の店の運営に関わってくるからな。何か売りになるものを探しては見たいんだよな。
前世の魔法を、物語にある魔法を再現するのであれば、幾つか候補は出てくるんだろうが、所詮は物語の中の物でしかない。そんなに直ぐにいいアイディアが出てくるわけでは無いんだよ。
例えば、人気がありそうな所で行けば、使役魔法。魔物を使役して戦う事が出来る。テイマーと言ったか。テイマーをやろうとすることが出来るのかという話になってくる。
答えは出来ないだろうと言うのが私の見解だ。テイム、使役をすることが出来ないという訳ではない。使役をする魔法であれば出来るだろうと思われる。
簡単に言うと、魔物にいう事を聞かせる魔法な訳だから洗脳系の魔法な訳なんだが、これが禁忌に触れるかどうかというのは一先ず置いておこう。とりあえず、出来るのは出来ると思う。
魔物にいう事を聞かせる。意志を伝えてそれで縛る事は可能だろうと考えられる。だが、使い物にはならないだろうな。テイマーの様にはならないだろう。
何故ならば、効果時間があるからだな。いう事を聞かせられ続けるという魔法は存在しないと考えられる。あくまでも縛られるのは魔法の効果時間内のみの話だ。
効果時間が初級の魔法でどの位になるのかは解らんが、強い魔物になればなる程、短くはなっていくだろうな。一定の時間効いているという都合の良いものにはならないだろうと思う。
それが5分なのか、10秒なのかは解らない。強くなればなる程に短くはなるだろう。魔法の等級が上がれば上がる程に時間が延びていくだろう事も想像できるが。
貴族の道楽程度の代物にしかならない気がするし、そもそも量産させられるのも堪ったものではない。それだけを作る為に魔法屋をやりたくはない。
そんな訳でだな。魔力が続く限りは使役できるが、それがどの位長続きをするのかが解らない。どれだけ弱い相手であっても、良い所8時間も持てば御の字だろう。
そうなると、8時間ごとに契約の更新が必要になり、中銀貨3枚は必要になってくる。本当に貴族の道楽くらいでしか使い道が無いのではないか?
少なくともテイマーの様な活躍をさせるのは無理だろう。1戦闘限りの魔法であると割り切るのであればまだしも、それならば他の魔法を使った方が良いだろうしな。
そんな訳でだな。使役魔法は駄目だろうという事が考えられる。スキルとは違って、魔法は効果時間が決まっているのだよ。無限であれば良いのかもしれんが。
無限の魔法などはありはしない。魔法はあくまでも有限の代物なのだよ。そうそう都合よく行く訳がない。都合のいい魔法があれば、誰もが使っているという話だからな。
魔力という対価を払っている以上、永続という事は在り得ない。この警備結界とて同じことだ。半年に一度は魔石を交換しなければならない。永遠に使えるという訳では無いのだよ。
永遠に近づけるように魔道具師の皆は努力を続けているのだがな。幾つもの魔道具が考案され、幾つもの魔道具が消えていったことか。戦争に使われる事もあっただろうさ。
魔法も戦争で使われる物なのだがな。大規模な戦争には魔法が付き物だ。上級魔法を乱発するのが戦争だからな。だから魔法兵は優遇されるし、選ばれるのだが。
私的にはこれでよかったとは思うがね。わざわざ戦争に行きたいとは思わないし。平穏に過ごせればそれでいいと思う訳だ。血と汗と泥に塗れた戦場なんて行きたくも無いね。
カランカラン
「新しい魔法屋がある! 買わなきゃ!」
「いらっしゃい。どうぞ、見て行ってくれ」
元気があってよろしい。まあ私よりも年上だろうがね。私はこれでも15歳なんだ。今年で15歳になったばかりだが。誕生日は6月の16日だ。別に覚えなくても構わんよ。
貴族院には10歳で放り込まれて、15歳で放出される。私は遅生まれだな。別にそんな事はどうだっていい訳なのだがね。5年間もあんなところに行かされたんだからな。
じっくりと見ているな。そこは火属性だと書いてあるはずなんだがな。まあ別に構わんがね。何の属性でも構わんさ。とりあえず、売れてくれそうなのは確かな訳なんだが。
一通り、全属性の物を見たな。結構じっくりと見ていたが。今は半額品の物を見ている。それは売らんぞ。2度目以降の来店者しか売らないつもりだからな。
「面白い魔法ですね、店主さん。おススメの魔法はなんですか?」
「おススメか。おススメは考えたことが無かったな。癖が無くて使いやすいのはゴブリンだとは思うが、属性はどれも大して変わらんよ。何を相手にするのかで決めてくれ」
「あたいが相手にするのは森でゴブリンやアントを相手にすることが多いよ。レッドベアにも撃つことはあるけど、大体はゴブリンやアントかな」
「森か。森であるならやはりゴブリンか。ノイジーバードは森では使い物にならんからな。マッドフロッグでも良いが、ゴブリンが一番無難だろう」
森か。森で活動するという事は、スラムのクランでは無いな。都市側のクランだろう。森を中心に戦っているようなクランだという事だな。
恐らくはメインはレッドベア狩りを行っているクランなのだろう。まだまだ下っ端である彼女は相手にさせて貰えないと言ったところだろうか。
「じゃあ風属性のゴブリンの魔法とマッドフロッグの魔法。それと水属性のゴブリンの魔法とマッドフロッグの魔法をくださいな」
「ああ、数が少しずつ違うから自分で選んでくれ」
「じゃあこれとこれと……」
おいおい、幾つ持っていくつもりだ? 4つでは無さそうではある。売れてくれるのは有難いが、そんなに買って行っても良いものなのか? その辺りの常識が解っていないからな。
「これだけ! これだけあれば足りるでしょ」
「それだと大銀貨1枚と中銀貨6枚だな」
「んー、まあそんなもんか。はい」
「毎度あり。そうだ。所属クランと名前を教えてくれ」
「クラン「黄昏に消えゆく魂」のドロシーだよ。じゃあね、店主さん」
「ああ、またどうぞ」
16本も売れたな。それだけ大きなクランに見つけて貰ったと言う事なのだろう。彼女、ドロシーだけで試し打ちをするわけが無いからな。皆の分を買って行ったと思った方が良い。
大きなクランに見つけて貰えたのは凄く嬉しいことだ。特に森で活動するクランに見つけて貰えたと言うのは運がいい。森には年中行くクランだからな。風属性と水属性が定期的に売れると言う事だからな。勿論、気に入ってくれればという所ではあるのだが。
気に入ってくれると嬉しい所ではある。が、1度に16本も良く持てるな。抱え込んで持っていったが、荷車でも引いているのだろうか。それの方が心配なんだがな。




