最終話 9/1 さあ成果を発表しよう
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9月1日光曜日。今日は貴族から平民になった記念日。1周年だな。さて、行くか。今日はこれから貴族院で大講義だ。魔法陣魔法、ついに世の中に出していく。
予約は2か月前から入れている。アンデッドの季節と重なったから大丈夫かなとは思っていたんだが、まあ大丈夫だろう。8月に入る頃には終わってたしな。
クソ暑いこの季節、人が集まるのかどうか不安はあるが、命題が壮大な事になっているからな。来ない方が悪いという事で。因みに元実家は必ず来る。来ない訳がない。
そりゃそうだろうさ。1年でなんかよく解らないことに貴族院に返ってきて、大層な命題をぶち上げてきたんだから、気にならない訳がない。
因みに命題は「新しい魔法の作り方と魔力の色の解明」こうなっている。魔法に興味がある貴族家ならば確実に来る。知らないでは済まされないからな。
今は控室にやって来たところ。この感じは久しぶりだが、扱いは平民だ。平民が大した研究でも無いのに貴族院に持ってきやがってといった感じだろうな。あの案内人は貴族。かなりの格下の筈だが、それでも平民よりは上だからな。
それでも最上位の客としてのもてなしをされていると思うぞ。平民の中ではと注釈はつくけどな。この部屋の広さと豪華さは歓迎しているという表れでもある。
歓迎されていなかった場合は、本当にただの部屋に案内されるから。多分だが、送り付けた先が良かったんだろう。元実家の敵対派閥の良い所に送り付けたからな。成果がなんでもない感じであれば、こうはならなかったはずだ。
ただ、もの凄い質問は飛んでくると思うぞ。特に元実家の派閥からは、この発表が無かったことになるくらいの質問が飛んでくるだろう。それくらいは答えてやるけどな。
今回の発表内容は3つだ。1つ目は魔法陣魔法の作成方法。これについては新規の作成方法で間違いない。例えこの1年で発明されていたとしても、発表段階に至ったのは私くらいだろう。
そもそも、かれこれ何年間研究していると思っているのか。魔法を習い始めたころからだから10年には達していないけれど、それくらいは色んな魔法を作ってきた。後だしでも勝てるくらいの実績はあると思っている。
2つ目は鑑定魔法による魔力の色の特定とその特性。魔法の効果が上乗せされる魔力の色の組み合わせから、何故か見えた身体能力の色まで。色々と発表が出来ることがある。
3つ目は重ねがけ魔法の発表だな。これに関してはわざと命題に入れなかった。入れたら先に真似をされる可能性があったからだな。これの特徴は非常に面白いんだよ。
前に+3魔法をスーザンに使ってもらうように頼んだだろう? その件の報告が詳しく来たし、まあ思っていた以上にいい感じの報告になったんだよ。
まずもって、スーザンの魔力は初級魔法4回分しか無いらしいんだよな。この時点で麻痺魔法+3が発動するのかが解らなかった。+4になっている可能性もあったからな。
+4だと、初級魔法5回分の魔力を使う可能性があったんだよ。それだとスーザンでは発動できない。しかし、実験としてみるのであれば、これほど適した人材はいないと思った。
発動しなければ+4になっていた。つまり、数は増えなかったが強化はされていたという証明にもなる。どうして数が増えなかったのかも考察しないと駄目だろうが、その辺は考えなくても済んだ。
そう、スーザンでも発動出来たんだよ。少なくともこれで5回分の魔力が必要という可能性は無くなった。そして、効果も凄まじいものだった。
タイフーンウルフが1撃で行動不能になった。初級魔法1つで、である。これは快挙だといってもいい。中級魔法であればあるいはと言われていたし、そうなるだろうとは思うが、初級魔法の域でこれを成し遂げられたのは大きい。
そして、驚くことに、この後もスーザンは魔法を3回使えたんだ。つまり、強化は+3になっていたんだが、使用する魔力は1回分と同じだったという事なんだよ。
勿論、後日に+1、+2、+3の検証もやって貰った。結果は+3で始めてタイフーンウルフが完全に行動不能になるという事。+2ではほぼ無力化は出来たが、まだ動けたそうだ。なので+3まで上げる必要はあったという事になる。
これが波紋を呼ぶ理由、それは上級魔法の強化が可能になるという事なんだよ。今までの上級魔法に重ねがけが出来るという点が上げられる。
しかも、上級魔法1回分の魔力で2倍以上の威力の魔法を使えるんだ。これが革命的ではないと誰が言えようか。文句は完全に封殺できる。
唯一文句も言えない事があるとするのであれば、上級魔法で実験をしていないという事だろう。だが、それに関しては法則性を解くことである程度は逃げられる。初級魔法、中級魔法、上級魔法で違うものというのは、威力や範囲に関することのみ。その他は一緒であると言われているんだ。
だからなんの不備でもないし、なんなら実験してみれば良いだけの話なんだよ。それで出来なければ、文句を言って来てもいいんだ。まあ、大丈夫ではあるだろうが。
それにだ。そもそも魔力の色の相性を突き止めたことで、魔力の色による威力の増加は出来るんだから。他国よりも優位に立つことは可能なんだよ。
まあ、解らないことがあったら聞いてくれればいいし、その場で答えてやるさ。準備はしてきたんだ。やれないはずがない。それに会場が会場だ。本当にいい場所を選んでくれた。
貴族院で一番大きな会場、大講義室10番。ここを押さえてくれている。恐らくだが、私の予想では今日の講義は私の物以外1つも入っていないはずだ。
時期的なものもあるんだが、聞き逃す貴族が居るとは思えない。元実家も何を言い出すのかと見に来ることは絶対なんだから。
その時、控室に貴族が入ってきた。今日声をかけた貴族家の1つ、ステファネリ侯爵家の当主、ステファノ・マルコ・ペンツィオ・ル・ステファネリ・ゲ・ オーベルト侯爵その人だ。
因みに、名前・ラ行・家名・ガ行・領地名となっている。呼ぶときはステファネリ侯爵となる。領地の名前が後にくるのは領地貴族だからだな。当主以外は領地までは呼ばないぞ。
「臣下の礼を取らずともよい。お前はただの平民のヴァルダン・ガブリエルだ。トリスタン家を追放された平民だと言う事だ。解るか?」
「承知しております。では、失礼いたします」
「楽にしろ。それで? 何度も手紙を寄こしている事から色々と解っていると思うが、今日の成果はどうなのだ?」
「トリスタン家の評判を地に落とすことも可能な材料を用意してございます。いかようにでもお使いください」
「そうか。……ククク、そうか。何年かけた? 追放から1年でここまでやれるはずがない」
「7年……いや、8年になるかと思います。ただし、命題の半分についてはという事。もう半分と隠し玉はこの半年でものにしました」
「そうか。……これほどの才能を見落としていたか。それはそれは大きな落とし物だな。さて、行くか。お前の覚悟を見せてみろ。見世物として落第であれば、お前の命も無いと思え」
「精々長生きをしてやりましょう」
「ククク、そうだ。それでいい。では、行くとしようか」
「は!」
さて、1年越しの、いや、8年越しの復讐と行こうか。根に持っていない訳がないだろう? 平民にしてくれた方が有難いとはいえ、追い出されたのも事実だ。さあ、盛大に反撃を食らうといい。
名を落とす程度で終わるのかどうかだな。その辺はステファネリ侯爵が手加減をするのかどうかにかかっているだろうな。私の知ったことではない。
さあ、大舞台の始まりだ。今日、ここで、歴史の1ページを刻んで見せる。
いやー、ここまで実験に付き合ってもらって感謝しかないです。実験の結果、駄目だという評価が下った訳ですが。日常で日常を書いてはいけないという事が解りました。日常系は日常の非日常を切り取らないと面白くないという事が解りましたね。動きが無かったもんな。私は読み返す自信がない。一気読みは無理だろうな。読み返すのに1年くらいはかかりそう。でもいいんですよ。解ったことがありましたから。次の実験に取り掛かりましょうか。好き勝手に書く可能性もありますけどね。疑問に思ったことがあれば、また実験みたいな物語ができると思います。
ここまでお付き合いいただいた方、本当にありがとうございます。また別の作品で会えることを楽しみにしています。




