453話 10/26 パトリシア来店
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初級魔法の素材は沢山あるんだが、中級魔法の素材となってくると1万分の1くらいしかないのはいただけないとは思う。だがそれが現実だからな。
初級魔法で初級魔法素材を簡単に補充できるのは良い事なんだよ。1つで30にも40にもなるからな。回収率がもの凄く良い。だが、中級魔法を回収するのに使うのは初級魔法なんだよ。中級魔法ではないんだ。中級魔法は使われないんだよ。
この近辺で言うと、沼地にいるロードゴーレムに使われるくらい。タイフーンウルフにもレッドフレイムベアにも中級魔法は使われない。
理由としては簡単だ。コストがかかり過ぎるからだな。タイフーンウルフを倒すのに、初級魔法を50個使わないといけないとしても、こちらの方がコスト的には安いんだよ。
初級魔法の値段は中銀貨1枚が相場だ。もう少し安い所もあれば、若干高い所もある。それはいい。中級魔法のお値段が問題な訳だ。中級魔法は中金貨1枚が相場である。安くとも小金貨9枚程するのが普通なのだ。値段は1000倍である。
だから、大銀貨5枚で倒せる魔物を、中金貨1枚で倒すのはコスト的に無しなんだよ。20倍のお金がかかる計算なんだ。それならば、初級魔法をかき集めて、20体倒す方が良い。
前衛の負担は大きくなるが、それはある程度仕方がない。そんな事よりもお金の方が大事なのである。人の命がかかっていたとしても、人1人の命はそこまでの金額にはならない。
それが冒険者の常識である。命を賭けているとはそういう事なんだ。明日には死んでいるかもしれない、そういう生活を送っているのが冒険者なんだから。
まあ、殆どのクランが人死にを気にしていないのかと言われたら、そんなことは無い。まず大前提にあるのが、誰も死なない事なんだよ。それが基本なんだ。
前衛の変わりは幾らでもいるとはいえ、前衛を使い捨てにするクランという風聞が立つだけでも問題があるからな。加入者がグッと少なくなる。
減った分は補充しなければならないが、それが集まらないとなるとじり貧になるからな。クランもそんな事は望んでいない。だから、前衛は命を賭けてはいるが、そもそも死なない様にしている。
そんな考えで動いていても、不測の事態は起こり得るし、死ぬこともある。どれだけ連携を密にしていても、死ぬことはあるんだ。ただ、中級魔法を使うだけの価値があるのかの判断になるんだが、人の命は中級魔法よりは軽いんだよ。
特にこんな大都市ではな。肉壁にするだけの人間であれば、スラムに沢山居るんだよ。単独行動をした挙句、仲間の足を引っ張って死んでいく人間は少なくない。
特に小規模なクラン程そうなる。今の時期だと、ウルフの吊りだしを見抜けずに少数で吊り出されて囲まれて死ぬなんてことは、割とよくある話なんだよな。
かといって、初級魔法の素材になる魔物に中級魔法でも打とうものなら、大赤字が確定するんだよ。そんなバカな事をする奴はいないって事なんだよな。
まあ、ロードゴーレムだけは別なんだが。あれは初級魔法では倒せないから中級魔法を使っている。その分、魔石だけでもいい値段がするんだけどな。大きさも大きいし。
聞いた話によれば、タイフーンウルフと同格の筈なのに、魔石の大きさは3倍を超えるんだそうだ。その魔石を何に使っているのかは知らないんだけど、何かに使っているんだろうな。
ロードゴーレムの厄介な所は、再生力にあるんだよ。マッドゴーレムと同じく、主成分は泥なんだよな。泥は、沼地に大量にあるんだよ。
それを使って、傷を修復するんだ。初級魔法を余程効率的にぶつけないと死ぬことは無い。絶えず再生を繰り返されて、無駄打ちに終わるんだよ。それに前衛が基本的に役に立たないというのもある。物理耐性が高すぎるんだよな。
泥だからな。切っても意味が無いし、吹き飛ばしても再生する。物理だけではロードゴーレムを倒すのはほぼ不可能と言われているんだよ。ほぼなのは、討伐された事があるからだ。それも1人で討伐をしたとの記録が残っている。
理論上は可能ってだけの事をやってのけた人がいるって事なんだよ。武器は大槌。吹き飛ばすことを前提とした武器である。それを再生する前に、更に攻撃を加えるという力技で倒している。
足場の悪い沼地で、取り回しの悪い大槌を再生よりも速く振り回さないといけない。普通の人間には無理なんだよ。一種の極まった人のやる事だからな。
まあ、その人に限っては、ロードゴーレムで荒稼ぎをしていたらしいんだけどな。そういう人もいるってだけで、普通は無理だから。諦めて中級魔法を使うのが良い。
それでも利益は出るんだから、沼地の冒険者は頑張っている訳なんだけど、まあ、絶対数が少ないからな。その分精鋭が揃いやすい環境でもあるんだけど。
平原が一番簡単なんだが、死亡率が最大なのも平原だ。特に今の時期にウルフに殺される事が多い。平時でもワイルドボアに勝てない人が多いんだけどな。
実はと言うと、初心者であればあるほどに、森の方が良いらしいんだよな。詳しいことは知らないが、森の方が魔物が弱いってのは確かなんだよ。
アントとゴブリンが主体だからな。アントは衝撃系統の武器に弱く、ゴブリンはそもそも数で攻められなけれな負けはしないだろう。
カランカラン
「いらっしゃい。ゆっくりと見て行ってくれ」
「また来たよ! またあの雷属性の魔法を買いに来たよ。直ぐなくなっちゃうんだよね。今回は貯め込むためにも沢山買うから。期待しててよね」
「ああ、沢山買っていってくれると助かる。どんどんと買っていってくれ。まあ、雷属性の魔法に依存し過ぎない程度にしておけよ」
「依存は、無理かな。もう既に無くちゃいけないくらいになっちゃっているし。いや、店主さんのいいたいことも解るんだよ? 1つの魔法に依存しすぎると、買えなかったときに悲しい感じになるから、別の魔法も使っておけっていう事なんだよね? 解っているんだけどさ」
「解っているのであればなおさらだな。まあ、個人の選択の自由を奪うつもりは無いが、無い時の事も考えて魔法を買っていけよ。無かったから何もできませんでは話にならないからな」
麻痺魔法は在庫が残る方が珍しかったりする。最近は特にだな。麻痺魔法を買っていってくれる人が多くて嬉しい限りなんだが、依存症を発症されると困るんだよ。
在庫は無限にはないからな。無くなってしまえばそれまでだ。1つの魔法に拘ったら色々と後で困る事になるのは、パトリシアなんだから。
「解ってる。解ってますよ。だから他のも、他のも? あれ? 紐で結んでたよね? こういう方法にしたんだ。穴が開いているけど、いいんだ。そっかそっか、へえ」
「穴が開いたくらいでは魔法が消えることは無い。詠唱文に穴あきがあっても、正しく詠唱すれば魔法は発動する詠唱文なんて影響の出そうな場所には穴は開けないけどな」
「これなら見やすいし、いいよね。実は、縛り直すのが面倒だなあって思ってたんだよね。それが無くなるのは嬉しいかな」
「まあ、面倒だろうなってのは解っていたことだがね。それでも、混ざらないメリットの方が大きいと思っていたんだよ。解決策が出てきたからこんな風になったけどな。案をくれた人には感謝をしないといけないだろう」
「そうだね。心置きなく読めるんだからいいよね。直ぐに読めるって本当に良い事だと思うんだよ。あ、今日はこれだけ買っていくから」
「……解った。中銀貨9枚だ。……丁度頂いた。毎度どうも。またどうぞ」
行ったか。結局、置いてあった麻痺魔法を全部買っていった。依存症も程々にしないと後が怖いからな。まだ若いんだから引き返せるうちに引き返しておかないと。
魔法使いは魔法を使えてこそなんだよ。特定の魔法しか使えませんでは話にならないんだよな。他の魔法もちゃんと買っていっているが、使うんだろうな?




