447話 10/25 58人目の客
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現在、スクロールに穴を開けて紐を括りつけている最中だ。暇だからな。とっととやってしまうに限るんだよ。本当にいいアドバイスを貰ったと思っている。
端に穴を開ける分には問題ない。皮紙は弱い訳でもないし、端なら文字を潰さないでも大丈夫だからな。ウバンジャは凄いな。改善点を直ぐに出せたんだから。
見るのに邪魔だというのは、正直思っていたからな。これはいい発見だ。年の功とはよく言ったものだ。改善点が見つかるなんて思ってもみなかった。作る側もそこまで苦労するものではないし、本当にいい案だ。これは流行りそうだな。
他の店が知ったら、真似すると思うぞ。私なら真似をする。情報料? そんなものはない。盗んできて終わりだからな。商業ギルドに売ったところで銀貨になるのかって情報だよな。
一応、発案者は私ではないし。真似しても問題ないが、色はどうしても被ってしまうと思うんだが、どうするんだろうな。私の店の問題もあるんだが。
色なんて良くて20色あるかないかなんだよ。似た色は沢山あるし、何処まで分けられるのかという問題もあるんだよな。これは無視できない。
かといいつつも、まだ先の話だしなって事で放置。という選択肢も取れるんだが、リアムの件があるんだよな。紐の色をどうするのか。それが問題になるんだよ。
クライヴ君と相性のいいリアムの魔力の色は赤色の筈なんだよな。同系色の筈なんだよ。紐の色はどうするんだ? 青にするか? 魔力の色に合わさなくてもいいんだろうか。それが問題になると思うんだよな。
今後は鑑定魔法も売り出していく予定なんだが、紐の色イコール魔力の色としておかないで良いのかという話なんだよ。かといって、リアムも赤にするのは、何か違う気がするんだよな。
クライヴ君とリアムの魔法が混ざる。それは良いのか? 良くないよな。じゃあ、違う色を使わせるのかってのも、ちょっと違う気がするんだよ。難しい問題ではあるんだけど、2つに1つしか選択肢が無いんだよなあ。2つに1つ……あ。
ああ、そうか。紐を2本結べばいいのか。赤だけのクライヴ君と赤と白のリアム、白だけの私と分ければいいんだな。そうすれば何とか解決する。
ちょっとばかり面倒と言うか、何がどうなっているのかが解らないかもしれないが、納得は出来る。……問題の先延ばしともいうんだけどな。
白の魔力持ちが出てきたときにどうするのかの解決方法が無いんだよなあ。私の魔力の色は透明なんだよな。透明な紐なんてないんだよ。どうするんだろうか。
その時はその時に悩もうか。とりあえずはリアムの色は赤と白にするとしよう。……もう1人赤色が被ったらどうするのかも今後考えていこうか。
何かと難しい問題が出てくるな。簡単な問題ばかりだと嬉しいんだが。そもそも問題がない方が嬉しいんだけどな。問題が無い事なんてある訳がないんだよ。
無理難題でなければいいな。解決不可能な問題なんて抱え込みたくないんだよ。普通に魔法屋がしたいだけなんだよな。副業はいいだろ? 金が必要なんだから。
弟子は多く抱え込みたい。出来れば作れる回数の多い弟子を抱え込みたい。そして、柔軟な発想を持っている弟子も欲しい。新しい魔法の開発にも使える人材が欲しい。
贅沢なのは解っているんだけどな? 魔法の作り方を学んで、直ぐに改良点が出てくるような人を雇えるのかって話はあると思う。普通は出てこないんじゃないのか?
カランカラン
「いらっしゃい。ゆっくりと見て行ってくれ」
「いらっしゃいませ!」
「おお、ここがおしゃべりニコラスが言っていた魔法屋かい。あちしにも魔法を売ってくれるんだろう? 散々自慢されたからねえ。聞き出すのにも苦労はしたんだが、まあいいさ。使える魔法を売っているって話だしね」
「ニコラスか。確か、未来への行脚というクランに所属していて、平原を主とした狩場にしていた魔法使い、だったか。そこからの紹介か?」
「紹介と言うか、自慢話に耐えかねて聞き出したってのが正解さ。あのおしゃべりに場所まで話をさせるのにはてこずったが、形が特殊な魔法を扱っているって話だし、魔法としては使えるって言っていたからね。期待はしているのさ。……ん? 何の作業をしているんだい?」
「ああ、これか。これはスクロールの端に紐を括りつけているんだよ。今までは全体を括っていたんだが、端に穴を開けて括った方がいいのではないかと教えられてな。今はその作業中だ。後はここの魔法だけなんだが、ここの魔法はまだ使わないから、そっちの魔法を見てくれ」
「使わないのに並べてあるのかい? まあいいさ。見させて貰うとするかね」
「ああ、存分に見て言ってくれ。それと、名前だけ教えて欲しい。客の名前と顔は一致させておきたいんだよ」
「あちしの名前かい? あちしはタマンサっていうんだよ。おしゃべりニコラスとは腐れ縁みたいなものなんだ。よろしく頼むよ店主さん」
腐れ縁ねえ。近所だったとか、教会でよく話していたとかなのかな? そんなところまで詮索するつもりは無いんだけども。紹介で来てくれるのは有り難いよな。確実にお客が増えるんだから。もっと宣伝してくれてもいいんだけどな。
自分の取り分が無くなるのは避けたいというのは解るんだけど。良いものであるほどいいたくはないだろう。自分で使えないというのは辛いからな。
とりあえずは、この雷属性の魔法の山を何とか片付けないといけない訳なんだよ。後はここだけなんだから、頑張って紐を括りつけないとな。
「ふーん。確かに変わっているねえ。形が変だ。おしゃべりニコラスの言う通りって訳かい。癖は強そうだけど、使えないって事は無さそうだし、威力はそこそこあるしね。まあ、何で水属性や土属性も売ってるんだいっていいたくもなるけどね」
「とりあえずは全方面の魔法を作ってある。土属性も水属性も買いに来る客は居るからな。各方面でって考えもあるんだろうが、見つけて貰った以上は客なんだよ。なるべくは準備しておきたいだろう? そういう風に商売をやっているつもりだ」
「物好きなんだねえ。東側で同じことをやっている奴はいない事も無いけど、それでも少数派だよ。そいつも個人でやっているだけだから、店には迷惑なんだろうけどね」
「店の方針が全てだとは言えない所があるからな。魔法屋には魔法屋のルールがあるのかもしれないが、作り手に縛りを設けるのは無粋でしか無いと思うんだよ。作りたいものを作る。それでいいと思うんだが、どうだろうか?」
「いいんじゃないのかい? 好きにすればさ。それに客が付いてくるのか離れるのかは、客次第だ。離れていくのであれば、見直した方がいいんだろうけどね」
「それはそうだ。そうだ、この店の売りの魔法は、今見ている雷属性の魔法なんだよ。平原であればなんにでも使える」
「は? そんな都合の良い事があるのかい? 幾らなんでもそれは無いんじゃないのかい? 風属性でも火属性でも無く、氷属性でも無いのにかい?」
「疑問に思うのも解る。使ってみてくれれば解る事だがね」
「そこまで言うんだったら使ってみようかね」
「クライヴ君、会計だ」
「はい。中銀貨1枚になります。……丁度頂きました」
「毎度どうも。またどうぞ」
行ったか。珍しいのは解る。凄く解る。だが本当の事ではあるんだよ。なんにでも使えるんだ。使ってみてくれれば解る事ではあるんだが。ゴーレム系には効かないんだが、平原であればなんにでもだから、間違ったことは言っていないからな。




